素材アイテムの収集に称号コンプリート、隠しキャラやステージの解放などなど、やり込み要素が多いゲームほど中毒となって、いつまででもプレイし続けてしまう最近のゲーム。
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たとえそこまで行かなくとも、ストーリーを全部終わらせるのに何十時間もかかってしまうRPGタイトルはゴロゴロありますよね。皆さんは最後まで楽しんでいますか? それとも途中で飽きてしまいますか?
今回は時間のない現代人にとって、テレビゲームをクリアするまでが長すぎるのか? 検証と提案をしているYouTube動画を見て、ちょっと考えてみたいと思います。
YouTubeチャンネル「PBS Game/Show」のジェイミン・ワレンさんが、クリアするまでに40時間や80時間がかかってしまうゲームは、時間のない現代人や年齢層もバラバラの世代にとっては長すぎるのではないか? という疑問を訴えています。
この動画では、ゲームの総クリア時間が長いことを非難しているのではなく、「ゲームに費やす時間を捻出するのが大変だよね」という視点で語られていることにご留意ください。
1日は24時間というリミットがある中で、どうゲームに時間を割くのか?
たとえば『ドラゴンエイジ:インクイジション』でも『スカイリム』でも、全クリアまでにテキストを読まなければいけない時間は合わせて1時間ほどあるとおっしゃいます。
確かにこうしたファンタジーの世界について理解を深めるのも大事ですが、その時間にどっかのダンジョンでも探検してレベル上げがしたい...というプレイヤーもおられることでしょう。
クリアまでの時間は『Forza Horizon 2』であれば10~15時間、『グランド・セフト・オート5』なら30~40時間、『ドラゴンエイジ:インクイジション』ですと40~80時間というように、テレビ番組や映画、読書といった色んなメディアの中で、最も終わらせるまで長く掛かるのが当たり前なのが最近のテレビゲームです。
動画内で取り挙げられている男性のつぶやきには、こんなものがあります。
「俺はこれまで、おそらく1万時間以上ゲームをプレイしている。(もしそれだけの時間があれば)ピアニストとしてコンサートが開けるな。」
テレビゲームをすることが時間の無駄だとは思いませんが、確かにそれだけの時間を何かに使えば、何かしらのプロフェッショナルになることも可能かもしれません。
ゲームに費やしたのと同じ時間だけトレーニング・ジムに通えば、健康的で異性にモテる肉体美を手に入れられたかもしれませんし、勉強をすればスキルアップのために資格や免許が取れたかもしれません。
そして、『コールオブデューティー』に276時間を費やしたプレイヤーが紹介されましたが、「これだけの時間が有れば20世紀の有名なポップ・ミュージックの、ほとんど全部を聴き終えることが出来るだろう」ともおっしゃいます。
子供の頃であれば、時間は無限で(お母さんに怒られない限り)、いつまででもゲームの世界に没頭できたものです。しかし、残業に追われるような社会人にはちょっとキツいところもありますよね。アメリカのCNNのリポートでは、プレイヤーの10%しかゲームをクリアしていないと紹介されたのだとか。
90%の人たちは途中で飽きるか諦める?
ですがゲームを作る側は、どんどんボリュームのある作品を世に送り出すようにもなっています。
そうでなくとも、キャラクターを開放するためには全てのキャラでクリアしなければいけない条件や、とあるアイテムを集めるためにこれまでの道程をもう一度繰り返さなければいけないストーリーなど、時間のない人にはゴールまでがもの凄く遠く感じてしまうものです。
とは言え、消費者側もプレイ時間が長いゲームほど、お金を出して買う価値があると考える人が大勢いるのもまた事実。長く遊べるゲームが魅力的という捉え方も、もちろん正しいのです。
ゲームプレイには映画DVDのように早送りがあるでもなく、本のようにページを飛ばせるでもなく、完全にゲームに没頭しなくてはいけません。音楽を聴きながら本を読んだり、トランプをしながら友人とお喋りしたりと、同時に他のことがこなせないのです。
それにテレビゲームでは、カットシーンでは一時停止が出来ないとあって、シーンをスキップ出来ない限りは見続けなければなりません。
ゲーム・デザイナーのジェーンさんは、「デザインは問題を解決することだけで判断されるべきではなく、問題によってデザインが創出されるべきだ」とおっしゃっています。
中には3時間ほどのプレイでも感動できるようなゲームもあるでしょうし、主人公を最強キャラに育て上げられるゲームもあることでしょう。
しかしジェイミンさんは、テレビゲームを中心に人が生活をするのではなく、人間を中心にしたゲームがもっとあれば良いのにと提案されています。今は家具や機械なども人間工学に基いてデザインされるのが当たり前の時代なので、ゲームもそうあっても良いのではないか? ということなんです。
一例として、デザイン・コンサルタント会社のIDEOでは、行動と個性を製品に落としこむべきだとして、経済性(ビジネス)・望まれる魅力(人間)・実現性(技術)の中間地点に革新が産まれると提案しています。
需要に対する供給を!
そんなジェイミンさんの好きなゲームは、山シミュレーションの『マウンテン』なのだそうです。何もプレイすることもなく、気が向いた時に開いて眺めるだけというのが良いのだそうな。
最近のテレビゲームには、難易度が選べるものが多くありますが、ゲーム進行速度も同様にプレイヤー自身が設定出来たら良いのにな、というのは良い提案かもしれません。
たとえば『The Wolf Among Us』なら各章ごとにプレイできるとか、『The Stanley Parable』や『P.T.』のように短いゲームを違った遊び方で何度も繰り返しプレイができるとか。『マインクラフト』や『No Man's Sky』のようにプレイ時間に関係なく楽しめるゲームなら、過去になかった新しいゲーム体験ができますよね。
ジェイミンさんは「ゲーム・デザイナー側としても、短時間でクリアできるゲームも喜ばれるだろうから、ゲーマーを信じてみても良いのではないか?」と投げかけています。
人の好みも時間の使い方も多種多様ですし、ブっ続けて遊ばなくてもセーブした所で一旦電源を落とせますので、まぁ生活に支障のない程度で好きなものを楽しむのが理想かなと思う次第です。まあ、「時間のムダだなぁ」と背徳感を感じて遊ぶのも格別なんですけどね。
Please Stop Saying Video Games Are 'Too Long'[Kotaku]
(岡本玄介)
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