ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンと言えば、兄弟で共同で映画制作していることで知られています。彼らの代表作と言えば、勢いよく噴出された肉片が真っ白な背景に美しい『ファーゴ』やカントリーミュージックが心にしみる『オーブラザー』ですが、中でも超有名で必見なのが『ビッグ・リボウスキ』!
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崇拝者を数多く生み、主人公のデュードの生き方を信仰する宗教まで作らせてしまった伝説の作品なので、「テープが擦り切れるほど見たよ」(今はこんな表現はしませんね)という人も多いかと思いますが、それでも気づかなかったトリビアがあるかもしれません。
というわけで、今日はSploidが取り上げたCinefixの「『ビッグ・リボウスキ』の豆7つの知識」を紹介したいと思います。
噂のコーヒーショップ
『ビッグ・リボウスキ』とショーン・キングストンのミュージックビデオには共通点があります。それはコーヒーショップ。このコーヒーショップはロスアンゼルスの有名なロケーション場所で、実際に営業されているわけではなく、撮影用なのです。
このコーヒーショップが出てくる映画は『ビッグ・リボウスキ』だけではなく、『レザボア・ドッグス』、『アメリカンヒストリーX』、『66セカンズ』等など...数え上げたらきりがないのです。
影響力
『ビッグ・リボウスキ』は数多くのフェスティバルをインスパイアしただけでなく、本映画に多大なる影響を受けて組織された「Dudeism」という倫理観やライフスタイルを持つ団体を作ってしまうまで愛されています。
ところで、本作の主人公であるデュードは、反戦争団体の「シアトルセブン」のメンバーでも知られ、映画プロデューサーでもあるジェフ・ドードに多大なるインスパイアを受けているというのはファンには有名な話。
しかし、ウォルターも複数の実在の人物にインスパイアされて形成されたキャラクターということを知っている人は少ないのではないでしょうか。映画監督であり脚本家のジョン・ミリアス(『地獄の黙示録』、『コナン・ザ・グレート』、『ダーティハリー2)、彼からは熱狂的なまでの銃への愛も影響を受けています。
他にも俳優で脚本家、ベトナム戦争の退役軍人であるルイス・アバナシーやアバナシーの友人であるピーター・エクスラインがベースとなっています。
エクスラインはウォルターだけでなく、デュードのキャラクターにも影響しています。彼は1989年にコーエン兄弟とディナーを共にして、自身が小さなアパートメントに住んでいてそこに近隣住民の粗大ゴミの中から見つけた「部屋のアクセントになる素敵な絨毯」をひいているという話をしたのでした。
また、絨毯だけでなく、盗まれた車の中に宿題のプリントが隠されていたのを発見したエクスラインとアバナシーは、それを手がかりに犯人を探したという話も聞かせました。アバナシーはプラスチックバッグの中に宿題プリントやハンバーガーの包み紙を証拠よろしく入れて、ブリーフケースから取り出したのです。その時、その少年の家のリビングには病院のベッドに横たわる父親がいたのだそうです。
Fワード数えてみた。
『ビッグ・リボウスキ』に登場するFワード=292回(『スカーフェイス』よりも多い)で、作品の尺から考えると2分に1回はFワードが発せられていることになります。
ちなみに、デュードは160回(スクリーンに登場するThe Dudeはカウントせず)、manは147回、ホワイトロシアンは9回、「あの絨毯は部屋のアクセント」は5回、そして絨毯のうえにおしっこは17回となっています。
ちなみにFワードが多い映画のリストは次の通り。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』...ダントツですね。
絨毯映画
『ビッグ・リボウスキ』を非常に単純に説明すると、ある男性が大切にしていた絨毯を汚され、それに憤慨して色んな面倒に巻き込まれていく、というものです。
最後に絨毯はエクスマキナとなりますが、簡単にいってしまうと絨毯が大きく取り上げられる映画なのです。
そこで、1998年に 『Floor Covering Weekly(FCW)』という絨毯を特集する週刊マガジンがコーエン兄弟にインタビューをしたのでした。このインタビューは非常にウケが良く、様々な所で取り上げられ、『ゴジラ』の目をモチーフにした絨毯の製作に繋がり、同映画のプロモーションにも一役かうこととなったのです。
また、電話インタビューの際には、リボウスキの豪邸から盗んだペルシャ絨毯の重要性を熱く語りすぎて、記者の方が電話を切ったほどでした。
最後に、コーエン兄弟はFCWの表紙を飾ったという情報も加えておきましょう。
おっきいアレ
ボウリング大会準決勝でデュード達の対戦相手となったジーザスの巨根は、鳥の餌である粒餌を袋に詰めて形成されています。
ほとんど指示なし
デュードのキャラクターをジェフ・ブリッジス以上に上手く演じた俳優はいないでしょう。実際、コーエン兄弟はブリッジスにほとんど演技上の指示をしなかったのです。
例えば、ジェフ・ブリッジスは頻繁にコーエン兄弟に「デュードは道すがらアレをやったか?」と聞いて、「そうだ」と返事をされると、目を擦って充血させたように見せたのでした。ジェフの必要な指示はその程度だったのです。
最後は、映画の冒頭でデュードがグローサリーショップで69セントの小切手を切るシーンの偶然の一致を紹介。初代ブッシュ大統領がイラクとの関係に触れたインタビュー映像が背景に流れている中、デュードは1991年9月11日の日付、つまりあの911の丁度10年前の日付を記入しているのです。これは単なる偶然でしかありませんが、なんだか気になってしまう事実です。
The Big Lebowski says two fucks per minute--and six other movie factoids[via Sploid]
(中川真知子)
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