多くの映画ファンが、悪役がヒーローに個人的な恨みを持っているという設定を愛している上に、世界征服なんてある種の妄想にも近い野望よりも、私怨の方が理解しやすく、また、製作側にとってもドラマに発展させやすいという利点があるので、そのような設定のストーリーは多く作られています。
しかし、ヒーローに対する私怨など全く関係なく、確固たる目的をもって行動している悪役もいるのです。
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そこで今回は、io9がまとめた「打倒ヒーロー」なんて二の次の、「打倒ヒーロー以上の目的を持つ偉大な悪役たち」をご紹介します。一部ネタバレがありますので、ご注意ください。
■『ロボコップ』シリーズに登場する全てのヴィラン
悪の中の悪。こいつに善良な心は一切存在しない
ギャングのボス、クラレンス・ボディッカーの目的は純粋に金。また、オムニ社のボスは成功するかしないかに関わらず、ロボコップ計画でより多くの金を生み出そうと計画していました。
■『ジェームズ・ボンド』シリーズに登場するほぼ全てのヴィラン
ボンドは常に邪魔者
ジェームズ・ボンドの敵達はどこかの時点でボンドに強い怒りを抱くようになりますが、元々彼らには、情報を操作して世界を支配する、または巨万の富を手に入れるといった目的が存在しています。彼らにとってのジェームズ・ボンドは「突然やってきて計画をハチャメチャにしていく」人物なのです。
■『スーパーマンII』のゾッド将軍
憎きジョー=エルの息子が地球に? じゃ、殺しておくか......
核爆発の衝撃で、犯罪者として閉じ込められていたファントムゾーンから脱出したゾッド将軍(とその仲間)は、月面の宇宙飛行士を殺し、彼らが地球と交信していたからという理由で地球にやってきました。そして、出会った人や物を相手に超能力を試し、悪事の限りを尽くして地球を支配したのです。
ゾッド将軍らはスーパーマンの命を狙いましたが、それは地球を支配した後でのこと。偶然ジョー=エルの息子がスーパーマンだということを知ったからであって、スーパーマンを追って地球に来た訳ではありませんでした。
■『スキャナーズ』のダリル・レボック
妊婦にとんでもない副作用を発生させる注射をしてやるぜ!
頭部爆発シーンが有名な、デビッド・クローネンバーグ監督が超能力者の野望と戦いを描いた映画『スキャナーズ』。
超能力者(スキャナーズ)のレボックは、自分の出生方法同様、妊婦に睡眠薬「エフェメロル」を投与し、副作用で胎児をスキャナーズに突然変異させる「ライプ計画」で世界征服を目論んでいました。
■『GALACTICA/ギャラクティカ』のサイロン
生き物はとりあえずみんな殺そう
機械生命体サイロンは、アダマ艦長だろうが、ギャラクティカの他の乗組員だろうが関係なく、生命体の殲滅を計画していました(リブートでは「ファイナル5」云々の流れが出てきますが、そこは無視することにしましょう)。
■『ドクター・フー』のダブロスとダーレク
憎しみしか知らないのだからしょうがない
宇宙支配を企むダブロス博士と、そんな博士の計画のために生み出されたカレド族を突然変異させて創った惑星スカロのミュータント種族「ダーレク」。DNA操作により、ダーレクは憎悪以外の感情を持っておらず、種族維持のために、あらゆる生命を絶滅しようとしていました。
■『エイリアン2』のカーター・J・バークとウェイランド社
金の為なら仲間も売り飛ばす
ウェイランド社社員のカーター・J・バークは、ゼノモーフを生きたまま持ち帰り生物兵として利用することを計画した会社の極秘命令を受けていました。この命令を遂行できれば大金が手に入るため、リプリーや他の乗組員の命さえ犠牲にするような計画を企てていたのです。
■『ターミネーター』のスカイネット
ジョン・コナーさえ居なければ人間なんて一捻り
スカイネットとターミネーターは、サラ・コナーと息子のジョンの命を狙うに描かれていますが、私怨があって殺そうとしているわけではありません。スカイネットは人類抵抗軍の優秀なリーダーであるジョン・コナーを排除することで、残りの人間を一掃できると考えていたのです。
ちなみに、ジェームズ・キャメロン監督繋がりで言えば、『アバター』でもパンドラの先住民族であるナヴィに対して個人的な恨みがあった訳ではなく、単に資源開発の邪魔だったというだけでした。
■『バビロン5 遺物』のサードスペース・エイリアン
傲慢なエイリアン
ヴォーロンすら恐るサードスペース・エイリアンはミステリアスで、「自分達だけが生存するに相応しい生命体である」と信じている、タチの悪い生き物です。自分たち以外を破壊するということが目的のサードスペース・エイリアンにとって、ヒーローは意味の無いものでしかありません。
■『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のネットワーク
酔っ払いに計画をぶち壊されるなんて......
比較的新しい映画なので、ネタバレになりすぎない程度に書きますが、本作において、主役のゲーリーと友人たちはネットワークが順調に進めていた計画の前に偶然立ちはだかってしまったに過ぎません。
■『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』のヌアダ王子
人類滅亡は多くの悪役の夢
追放されたヌアダ王子は、伝説の最強軍団「ゴールデン・アーミー」を蘇らせて人類を滅亡させようと計画していました。
■『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のルネ・ベロックとヘルマン・ディートリッヒ大佐、ナチス軍
みんなの目的はただひとつ
少年たちの完全リメイクも話題になった名作。この映画に登場する全ての人たちが、アークによって解き放たれるであろうとされる超自然現象を追い求めています。
ディートリッヒとナチス軍はその力を軍のために利用したいと考えており、フランス人考古学者のベロックは純粋に我が物にしたいと企んでいました。彼らにとって、インディアナ・ジョーンズは餌に群がるハエくらいの存在でしかなかったのです。
■『ゴーストバスターズ』の破壊神ゴーザ
破壊の神なんだから、破壊が目的
リメイクも話題も盛り上がっている、現代の女子中学生たちをも夢中にさせた傑作コメディ。
門の神ズールと鍵の神ビンツが出会うことで復活した破壊の神ゴーザの目的は、世界の終末をもたらすこと。同様に、『ゴーストバスターズ2』に登場する16世紀の大量虐殺をして最終的に斬首されたカルパチアのヴィーゴも、美術館に置かれた肖像画から蘇るという目的がありました。
ヴィーゴは美術館勤務の男性を操り、彼の意中の女性の息子を連れ去り、その息子に転生しようとしたのです。ヴィーゴはゴーストバスターズの存在すら知りませんでした。
■DCユニバースのダークセイド
自由意志なんて要らないだろう
彼のモチベーションはストーリー毎によってばらつきがありますが、主なゴールはユニバースから全ての自由意志を消し去り、彼の持つイメージ通りに再形成することです。この偉大なる目的の前においては、スーパーマンも同盟軍もコバエ程度でしかないことでしょう。
■マーベルコミックスのギャラクタス
食べなきゃやっていけない
ギャラクタスは、惑星を崩壊させたときに解放されるエネルギーを食べるコズミック・ビーイングのひとりです。描く人によってヒーロー扱いされることもある一方で、ギャラクタスが気にしていることは己を維持するために世界を貪り食うことのみなのです。
■『トランスメトロポリタン』のスマイラー
アメリカ大統領になったら権力を振りかざしたい気持ちも理解できる
大統領になった狂人のやることと言えばアメリカを混乱させること、そして自在に操ること。スマイラーは、腐敗したアメリカ政治にペンで挑むジャーナリストのスパイダー・エルサレムなんて、敵とも何とも思っていないのです。
[via io9]
(中川真知子)
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