ゲーム中には登場しなかった感染者のことから、元々考えられていたストーリー展開、本作のインスパイア元となった作品についてなどなど。おなじみDid You Know Gamingが、今回は『The Last of Us』の豆知識を届けてくれました。
キノコを食べたくなってくる(?)このゲームの裏話を見てみましょう。
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■まるまる2年間秘密裏に制作が行われていた
2009年の『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』の完成以降、開発元のNaughty Dogは開発チームを2分割しました。『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』の制作にかかるチームと『The Last of Us』チームです。Naughty Dogは『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』の発売前に『The Last of Us』を発表しようとしていましたが、結局発表は後回しにされることに。
■『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』に『The Last of Us』のイースターエッグが
『砂漠に眠るアトランティス』のゲーム中には、新聞記事に「科学者達は未だ致死性の菌類の解明に至らず」と書かれています。これはもちろん『The Last of Us』へのティザーとして入れられたイースターエッグですが、『砂漠に眠るアトランティス』が発表されていない状況では誰もそれに気づくことはありませんでした。
■イースターエッグのあるバー
『The Last of Us』にも、先の『砂漠に眠るアトランティス』に出てくたものとよく似たバーが登場します。「オサリバンズ・アイリッシュ・パブ」という名前のバー/パブとなっており、これは『アンチャーテッド』シリーズのキャラクター、ヴィクター・サリバンの名前にかけたものとなっています。
■『The Last of Us』に『アンチャーテッド』が与えた影響
『黄金刀と消えた船団』では、ヒマラヤでテンジンというチベット人のキャラクターが登場します。このテンジンと主人公ネイサン・ドレイクの掛け合いが、ストーリーを語るのにとても良いコンビネーションだったため、Naughty Dogは『The Last of Us』でもジョエルとエリーの二人のキャラクターを用いることにしたのです。
■元々は『ジャック×ダクスター』が作られるはずだった?
Naughty Dogが開発チームをふたつに分けた当初、ふたつ目のチームはまだ何を開発するのか決めていませんでした。『ジャック×ダクスター』シリーズの新作をしようかとも考えられていましたが、ふたつ目のチームを作る理由を正当化するためには完全新作を作らないといけないということに。こうして『The Last of Us』が制作されることになりました。
■感染者の元ネタのキノコ
『The Last of Us』に登場する感染者は、冬虫夏草属という菌類からインスパイアされたもの。その中には頭からキノコが生えてくるものがあり、昆虫の脳に入り込んでその昆虫の運動機能をのっとりもするのです。
■『The Last of Us』の元ネタは?
BBCのSFドラマ『プライミーバル』の中のエピソードに、未来の菌類「殺人カビ」が登場します。人を菌に感染させ、人をカビ人間にしてしまうというエピソードでした。
VB.comのディーン・タカハシさんが『The Last of Us』のクリエイティブ・ディレクター、ニール・ドラックマンさんにこの事について関連性をインタビューしたところ、ドラックマンさんは「違います、BBCの番組で我々がパクったのは『プラネットアース』です。番組の中で冬虫夏草属に関して、それがどう昆虫に影響をあたえるかなどの話からです」と応えられています。
ディレクターのブルース・ストレイリーさんはそれに加えて、彼らの見たその番組では「ゾンビ蟻」という言葉も使われていたそうで、そこから感染者のコンセプトが形作られていきました。
ストレイリーさんは「菌類の写真と、そのカラフルさ、繊細さには、そこには美しさと興味を掻き立てる何かがあります(中略)私達はそのエレガンスと繊細さと、純粋な苦悩、苦痛、寄生菌に乗っ取られるという嫌悪感を対比させたかったのです。
他にも本作をインスパイアした作品としては、『トゥルー・グリット』、『28日後...』、コミックとTVシリーズ『ウォーキング・デッド』が挙げられています。ドラックマンさんは、ゲーム業界でのストーリーテリングは全体的に手抜きになってきているとのことで、『The Last of Us』ではオリジナリティのある話を作らなければという思いでやったそうです。
映画や文学などの他にも、現実に起きた出来事からもインスパイアされているとのこと。例えば1918年に流行したスペインかぜからは、人類の脆さ、そしてパラノイアに陥った人々がパンデミックを止めるためにどこまでするかです。ニューヨークではスペインかぜの流行を止めるため、公の場で咳をしたり鼻をすすったりするだけで500ドル払うか投獄されるということが起きていました。この流行を止めるために、全米で映画館、図書館、学校や教会まで閉鎖されることがおきたのです。
ドラックマンさん自身、父親となったばかりで、「突然、自分の子供を守るために自分がどこまでするだろうか、ということに気づくことになったんです。これまで思いもよらなかったことでした。これが大きなインスピレーションとなりました」と語っています。
■元々はハリウッド映画のような悪役が存在した
ゲーム中には典型的な悪役を配して、家族を守るためにプレイヤーに倫理的にうかがわしいことまでするかどうか決断させる。それを目指してジョエルとエリーを追いかけ回す悪役をゲームに登場させるというアイデアをドラックマンさんは当初持っていました。結局、そうすればあまりにもハリウッド的なストーリーになってしまうということで、ドラックマンさんは悪役を入れないという決断をしました。
この「悪役」は初期段階のストーリーではテスでした。テスは裏切り者ジョエルを追いつめ、捕らえ、エリーはジョエルを救うためにテスを殺さないといけないという話となっていました。ドラックマンさんは最終的にはジョエルとエリーを「善でも悪でもない」という、彼らに襲いかかる無法者達と彼らを同レベルの倫理観のキャラクターにしました。
■没になった感染者達
Pax 2013ではNaughty Dogが『The Last of Us』本編に登場しない敵キャラを紹介しています。本編に出てくる感染者とは違う、背中から糸を引くキノコの生えた髪のないキャラクターです。他の初期コンセプトには、全身からキノコの生えたゾンビのようなものもありました。しかしこれらのコンセプトでは、「まだ生きている感染した人間」には見えない、と開発チームは判断してボツにしたそうです。
他にも感染した「ゾウ」もボツにされました。線上のキノコが足から伸び、頭にはキノコの花みたいなものが咲いていたもので、シナリオ上でもこれにジョエルが追いかけられるという話が設定されていました。
■本作の動物たち
初期段階で動物たちが街中を自由に闊歩するところは入れる予定になっていました。これは有名なキリンのシーンになりました。また、初期段階ではエリーは子犬を飼っている設定もありました。コンセプト画でもエリーが負傷した犬を抱えているものがあります。ジョエルとエリーが犬を迎えるという話も完全にカットされることになりました。
■エリーでのプレイについて
エリーは抗体を持っているために、胞子だらけのエリアで活動するという設定も当初存在しました。この設定では、もっとゲームの早い段階からエリーを操作するという事になっていました。エリーを操作することに関しては、ゲームのマーケティング時には「エリーとしてはプレイできない」とわざと嘘を言ってこれをサプライズにしようとしていました。
■男女平等のため戦った開発チーム
Naughty Dogは開発中にリサーチ部門が男性プレイヤーのみを対象にテストを計画していたことを知り、そこに女性プレイヤーも入れるように要請しました。ドラックマンさんは「このプロセスでの一番の驚きは、リサーチグループが女性ゲーマーを計画に入れていなかったということです。我々はわざわざこれを要請しなければなりませんでした。これが過去の遺物であり、近い将来こんなことが起こらないようになるよう願っています」と語っています。
『The Last of Us』のパッケージでも、会社の方から、男性であるジョエルが支配的に手前に配され、エリーを後ろに小さく写すようプレッシャーがかけられたそうです。Naughty Dogはこれを拒否、ジョエルとエリーを共にパッケージに入れたものとなりました。
■エリー≠エレン・ペイジ
エリーの姿は、最初に出たトレーラーと、その後出たトレーラーでは少し違います。これは最初のトレーラーに写っていたエリーが女優のエレン・ペイジさんにそっくりだったから。しかし変更後も、多くの人が作中でエリーを演じているのはペイジさんだと勘違いしています。Redditに現れたエレン・ペイジさんは、このエリーとの酷似性について尋ねられ「私の見た目をパクられるなんて、光栄に思うべきよね。でも私がゲーム中で演じているのは『BEYOND: Two Souls』の方だから、嬉しいとは思わないわね。」
今回も興味深い裏話の数々が見えてきましたね。感染したキノコまみれのゾウの姿をちょっと見てみたかったですね。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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