動画再生時に流れるコマーシャルってウザい! と思われる皆さまへ。
今回はYouTubeで公開されている、熊の動画を観てみるとしましょう。どこかの国の、どこかの山の中で撮られたもののようですが、携帯電話のカメラ機能で撮っているため、撮影者が声を押し殺しています。
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とても大きなクマさんで、毛がモフっとして目がつぶらで、可愛らしいなと思います。ですが30秒ほど観ていると...あーもう、YouTube特有のコマーシャルが始まってしまいます。
ふたりの子供を持つお母さんの、日頃の疲れや鬱屈した気分を速やかに治してくれる薬のようですが...私たちには関係がないので、とっととスキップを押しちゃいましょう。
とりあえず、キュートなクマ動画を観て、癒やされてください。どうぞ!
あれ? スキップしたのに飛ばされたサイトがおかしなことに...!?
飛んだ先で色々クリックしてみた方々であれば、お気付きになったかと思います。サイトがピンボケし出したり、時計の回転が速くなったり、ブラウザーがバグったのか? それとも自分の頭がオカシくなったのか? まるで幻覚でも視ているかのようです。
しょうがないので動画に戻ると、あれあれ? コマーシャルの中のお母さん、日常が続いていますよ?
陰惨な事件現場を通り過ぎるお母さん
そうすると、帰宅途中に殺人事件があった家の前を通り過ぎるお母さん。なんかちょっと気分が悪いですよね。と思いきや、え? 道の向こうにはもうひとりの自分が立ちはだかっていますよ...!?
猛ダッシュで追ってくる自分
そうこうしている間に、逃げた甲斐なく自分自身にボコボコにされ、仕舞いには車で轢かれてしまうお母さん。早く家に戻らなければ、ふたりの子供が危ない!
うしろー!
いえいえ。危ないのは、その謎の薬「クラリドリル」を常用しているお母さんアナタです。強力で即効性と持続性が有るとは宣伝されていますが、何に効くのかには一切触れていないウソ臭いパッケージ...どうやらこれは中毒性と幻覚作用のある危険なドラッグなのです。
ダメ。ゼッタイ
「io9」で紹介されていたこの謎だらけの怖い動画は、YouTubeの機能とコマーシャルの常識を逆手に取り、視聴者を巧妙なトリックで恐怖のドン底に陥れる悪夢そのものでした。でもこれが、いつも爆笑動画を公開している「Adult Swim」からのものというから、これまたビックリですよね。
一応彼らなりのブラック・ジョークなのでしょうけれども、終始ブラックなままなので後味が悪く、まるでホラーなショート・フィルムでも観ているような感じです。
ソレっぽく作られた特設ウェブサイトも存在し、実は細かく書かれた注意書きには、クラリドリルの常用で鬱症状や自殺衝動に駆られるといった旨の小難しい文章が載せられていたりもするのです。しかも、長時間放置すればするほど幻覚めいた現象が起こる仕掛けも施されているので、動画でもサイトでも2度も3度も「???」とさせられてしまうのです。
現代人が構築したテレビ・コマーシャル手法だけでなく、インターネット商法をもパロディーで黒く染め上げたこの戦略、見事に一本取られました。
[via Laughing Squid via io9]
(岡本玄介)
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