今回の美術のお時間は、立体造形の...タイヤ編です。
今や世の中なんでもかんでもエコロジーだリサイクルだと叫ばれておりますが、たとえば使い古した廃タイヤはどう再利用されるのでしょうか?
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かつては不法投棄が社会問題になったりもしたそうですが、その傍らで、公園の遊具や花壇や椅子、サンダルなどに再利用されてきましたし、新たに溝を刻んで中古タイヤにしたり、はたまた石炭と混ぜて燃料にする方法もあるそうです。
韓国人アーティストのヨン・ホー・ジさんは、その古タイヤを利用して大きな立体作品をつくることでエコに貢献しているのです。
本文中でも何点か取り挙げますが、まずは写真ギャラリーで、古タイヤから生まれる様々な動物やモンスターの作品をご覧いただきたいと思います。ご本人が出る動画もご用意していますので、合わせてどうぞ。
タイヤの張り付き方がちゃんと筋肉に見える
「io9」に掲載されていたヨン・ホー・ジさんは、1978年生まれの36歳。2005年に韓国の弘益大学校で彫刻を専攻して学士号を取得し、2008年にニューヨーク大学でファイン・アートを専攻して修士号を取った、れっきとしたアーティストなんです。
なのでアヌビスのような『ジャッカル・マン』や、ミノタウロス然とした『ブル・マン』などを拝見しますと、ただ闇雲に形造ったのではなく、しっかりと人体や動物の骨格や筋肉構造を勉強されたであろう痕跡が見て取れます。
同じく、雄牛人間もマッチョ
そして8分弱のものですが、ヨンさんのドキュメンタリー動画もあります。最初にタイヤを使い始めた動機や、アーティストの意義、そしてタイヤ以外の素材を使った新作についてもちょこっとお話されています。
材料はタダみたいなものでしょうけども、重くて堅いタイヤを切ったり仮組みするのはかなりの重労働でしょうね。
ヨンさんは、人から環境問題についてよく質問されるそうですが、最初はそんなことを念頭に置いて制作したのではないそうです。
ただ自分の作品を表現するのに合致するであろう、変わった素材を求めてトライしてみただけだとおっしゃいます。ですが後々に、作品づくりを通して環境問題のことも考えるようなったのだそうです。
ゴム(タイヤだけでなく、ゴム類はゴムの木の樹液から作られるのですが)は、タイヤなどの製品にしてしまうと自然に還らないということがあり、人々にその循環を意識してもらうために古タイヤに第二の人生を与え、アートにすることで新たな形で循環をさせようと考えるようになったのだそうです。
現在を生きる作家として、魂を込めて作品を創る。それ以上でも以下でもないとおっしゃいます。
ということで以上、ファンタジー系RPGにでも出てきそうなモンスターや動物が、廃タイヤから創出されるエコロジーなアートでした。今後もヨンさんのご活躍に期待大ですね。
This Artist Turns Old Tires Into Dark, Disturbing Nightmare Monsters [io9]
(岡本玄介)
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