反キリスト教? ユダヤの陰謀? 反ユダヤ主義?
おなじみのDid You Know Gamingが、今回は『ポケモン』と宗教の関連性について掘り下げてくれました。
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宗教に関する知識が浅いと中々気づかなかったりする細部も、特定の宗教から見れば大問題だったりします。そんなこんなでポケモンが禁止されたり文句が出たり、陰謀説が飛び出したり! いったいぜんたいどんな話があるんでしょう?
■『ポケモン』は反キリスト教的?
進化の石を使うことは悪魔的?
キリスト教原理主義者たちによって作られた説として、ポケモンは「進化」と「オカルト」、つまり「アンチ・キリスト教」であり「悪魔的」であるとするものがあります。これは、ポケモンが魔法の「しんかのいし」を使って進化するからだそうです。
■ジムバッジはソロモンの指輪?
力を持つということ。
ポケモンはジムバッジを使い言うことをきかせることができます。こちらは「ソロモンの指輪」に似ています。ソロモンの指輪は中世のイスラム教、キリスト教、ユダヤ教で伝えられるもので、ソロモン王の持つこの指輪は悪魔たちを操る力があるという話です。
大天使ミカエルより授かったこの指輪で、オルニアスという悪魔に判を押すことで、悪魔オルニアスを操ることができるようになりました。その後ソロモン王はオルニアスに、全ての悪魔の王であるベルゼブブにも判を押させることで、全ての悪魔はソロモン王の支配下に...。
■ポケモン=悪魔。どちらも捕まえて召喚できる!
『レメゲトン』もしくは『ソロモンの小さな鍵』は、5冊の悪魔に関する書を合本させたものです。その中のゴエティアの書には、72種類の悪魔を召喚するための方法が記してあります。後に出版された『ラッド博士の論文集』にはトーマス・ラッド博士のものとされる72種類の天使召喚方法も記してあり、そうして召喚された天使に守ってもらえたり、悪魔を使う際に天使に助けてもらえたりするそうです。
■霊力を持つポケモンとかも神様に違反する!
サイコパワー
ゴーストタイプやエスパータイプのポケモンの持つ超自然的なパワーもやっぱり受け入れがたいもののようです。『旧約聖書』のレビ記19章31説には「霊媒やネクロマンサーに頼ってはならない。彼らを探し、自らを汚すでない。我こそがお前の主、神である」と書いてあります。
ポケモンは所謂アブラハムの宗教と呼ばれる、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教ともいろいろ絡んだ話が今回たくさん出てきていますが、それ以外の宗教(これをまとめてペイガンと呼ぶ)との関連性もあります。ペイガンは教会によって悪魔信仰とみなされてきました。
これは聖書にある記述などを元にした考えであり『旧約聖書』の申命記6章13説には「汝の主である神を恐れ、彼のみに仕え、その名の元に誓うべし」とあります。
■日本にも伝わる伝説を元にしたポケモン
夢を食べる伝説のいきもの
ベイガンとの関連性としては、スリーパー/スリープというポケモンが挙げられます。これは夢を食べるという伝説の生き物「獏(ばく)」を元にしたものです。獏は実在の動物であるバクに似た形で描かれることが多いです。
■英語版「ポケモン言えるかな」を逆再生すると悪魔的な歌詞が...?
悪魔的歌詞
日本でいうところの「ポケモン言えるかな」の英語版に当たるPokérapシリーズの内、「Kanto Pokérap」という曲ではサビ部分を逆再生すると「I Love You Satan」(サタンを愛している)と聴こえるそうですが...聴こえないっぽいですけど。
■でも、『ポケモン』はバチカンのお墨付き
バチカンはポケモンを認めます!
キリスト教の間で『ポケモン』に対して懸念する声があまりに大きくなり、2000年頃にはローマ法王もその声に応えないといけませんでした。しかし、バチカンからの声明は公式に『ポケモン』を認めるものでした。それによれば、『ポケモン』ゲームには「道徳的に害のある副作用」があるわけでもなく、「深い友情の絆」を元にした話であり、「創意あふれる想像力に満ちた」作品であるとしています。
■キリスト教版『ポケモンカード』モドキ
聖なる光で戦うカードゲーム
イギリスでは、ポケモンカードに対抗すべく、「キリスト教パワーカード」が発売されました。120もの聖書のキャラクターが登場するこのコレクタブル・カードゲームの目的は、悪しきキャラクターを倒し、囚われた魂を善のヒーローたちが救うというものでした。
■ポケモンカードにナチ?
任天堂は、ポケモンカードに忍者モノのシリーズも出していました。その中の一枚、「キョウ秘伝, 変わり身の術」には、仏教のシンボルである「マンジ」が描かれていました。しかしユダヤ教の団体、名誉毀損防止同盟(ADL)は、マンジがナチの鉤十字、スワスティカに酷似しており、ユダヤ人にとって非常に不快だとして対しているとしてこれに反対。
元々このカードは日本国外での販売予定は無かったものの、コレクターは日本からこのカードを輸入していたためにこの問題に発展したようです。任天堂はこのカードの製造を中止。ADLはこのカードが不快感を与えるための意図を持っていなかったと理解を示し、任天堂の決断も受け入れました。
■ユリ・ゲラーはポケモンを反ユダヤ主義だと思っている
ユリゲラーとユンゲラー
ユンゲラーの名前の元となったかもしれないイスラエル出身の超能力者ユリ・ゲラーもまた、任天堂のユンゲラーは反ユダヤ主義的なものだといちゃもんをつけたようです。ユンゲラーの腰に描かれた雷状のしるしがナチの親衛隊SSのロゴに似ているというのです。実際にはESP実験用に用いられたゼナー・カードがその元ネタとなっているのですが。
■それともポケモンはユダヤ人の陰謀?
実は陰謀だった!
このように反ユダヤ主義的とも言われてしまう『ポケモン』ですが、イスラム教からは『ポケモン』は若いイスラム教徒をユダヤ教に誘う為のユダヤ人の陰謀だという説があるようです。
元々はエジプトで、誰かが「ポケモン」という言葉は「宇宙に神は存在しない」と言う意味だと言ったのを聞いた親が心配して...というところから話が広がったようです。
ポケモンサイドは「ポケモン」は「ポケットモンスター」の略だと説明したのですが、噂は広まり、ついにはサウジアラビアのイスラム法学者がファトワーを出し、ポケモンを禁止する事態に。
それは、ポケモンには「誰もが知るシオニズムとイスラエルのシンボルであるダビデの星」を含むポケモンカードが存在するから、ということです。ポケモンカードにはダビデの星は出てきませんが、「無色2個エネルギー」カードを見てそう認識してしまったようです。
しかし、面白いことに日本版の『ポケモン赤緑』では、フーディンの額になんとダビデの星が存在しますが、そちらには気付かれなかったよう。
ピカチュウは日本語で「私はユダヤ人」
この問題に関連して、学校ではビラが配られました。そこには「『ピカチュウ』は日本語で「私はユダヤ人」という意味だ」などと書かれていたそう。数週間後、ドバイでは「ポケモンは進化論に基づいた作品だ」、ユダヤ人のダーウィン主義者的な考えだとされ、ポケモンが禁止されます。
これに対して、ユダヤ教の団体ADLも黙っておらず、ADL局長は「これは恐ろしいことだ。そしてこれがファトワーにくるまれて、神による真実としてみなされているのならば、なお恐ろしい」とコメントしています。
こんな問題や禁止令などが出たものの、すぐにまたポケモンが遊べるようになったそう。第3世代のポケモンゲーム以降は議論になることもなく、多くの人に楽しまれているようです。
■でも第3世代ポケモンにはヘブライの怪物が出てくる
グラードン、カイオーガ、レックウザ
しかし、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』に出てくるグラードン、カイオーガ、レックウザは、ヘブライの伝説に出てくる怪物を元にしており、『旧約聖書』にもベヒモス、レヴィアタン、ジズとして出てくるあたりは皮肉に感じます。
製作者が意識しないところでも宗教的なシンボルなどが含まれていることもあるわけですね。今回は中々奥の深いトリビアでした。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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