ハロウィンということでいいホラー映画を探している人も多いのではないでしょうか。少しだけ怖い思いをしたいなら『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ゾンビ・ストリッパーズ』、『ゾンビーノ』なんかがいいかと思いますが(なんかゾンビものばっかりですね...)、もっとコアでディープなものがご所望なら、ifcが紹介した「議論を巻き起こしたホラー映画10選」なんかがピッタリかもしれません。
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ちなみに、あまりにも残虐な描写が含まれる作品並びに不快な表現が多い作品に関しては、映画の簡単な内容と共に各国の反応も紹介してい
ます。実際の視聴に関してはくれぐれも自己責任でお願いします。
『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』
子供の夢をぶっ壊す極悪サンタクロースの殺戮ホラー。当然といえば当然ですが、PTAや全米のキリスト教団体から猛烈に避難されました。しかし、それが原因で皮肉にも一気に知名度が上がり、続編が5作も作られることに。
『フリークス』
1932年に公開された同作は、見世物小屋が舞台の本物の奇形者や障害者を登場させた映画。イギリスでは公開から30年もの間、公開が禁止された超問題作品です。
ホラーといっても期待するような怖さはありません。ただ、この作品は他のどの映画よりも見た人を「考えさせる」でしょう。
『食人族』
ルッジェロ・デオダート監督のファウンドフッテージ映画。裸の女性が串刺しになっている衝撃的すぎるパッケージを見て、観るのをやめてしまった人もいるかもしれませんが、正直言って、この映画はそこまでグロくはありません。
しかし、公開された1980年当時、配給側は映画をヒットさせるために、意図的にドキュメンタリー映画のように宣伝したために、実際に食人が行われたと誤解した人が続出したのです。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』
ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、アメリカ映画協会が作られる1ヶ月ほど前に公開されました。そのため、この映画を見てしまった子供たちは生き返った屍体や食人の描写に心底震え上がり、Varietyは「暴力への性的興奮」を非難したのでした。
『ソドムの市』
ホラーというよりアートフィルム扱いされている『ソドムの市』ですが、マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』を原作とする本作品は、レイプや拷問、殺人の過激な描写が議論の対象となり欧米で上映禁止となりました。
『発情アニマル(オリジナルタイトル:Day of the Woman)』
メイル・ザルチ監督の山で輪姦された美女が復習の鬼と化す暴力ホラー映画。輪姦の描写があまりにも鮮明で暴力的なため、今日でも議論され続けている「映画史上最悪」とも言われる作品です。2010年にはTimeの馬鹿げた暴力映画トップ10にも選ばれました。同年リメイク作品が公開されていますが、そちらはレイプの描写が多少マイルドになっています。
ザルチ監督は配給元を見つけることができなかったため、自分で配給することに。しかし大規模公開にこぎ着けることはできず、ドライブインシアターで何度か公開されただけでした。しかし1980年、Jerry Gross Organizationが配給に乗り出し、タイトルを『Day of the Woman』から『I Spit on Your Grave』に変更して再リリースされたのでした。
本作には評論家からは否定的な意見が多く寄せられています。映画評論家のロジャー・エバートは「アート要素のないゴミのような映画で、人生において最も残念な経験のひとつ」とコメント。また、評論家のデビッド・ケイスは、1980年代の最低映画に定めています。
批評家、映画ファン問わず批判的な意見があがる一方で、Encyclopedia of Horrorは、「本映画は賛否両論あれど、実際に映画を見ていない人からの批判が多い」とも指摘しています。
同作が禁止された国は、アイルランド、ノルウェイ、アイスランド、西ドイツ。理由は「女性に対する激しい暴力」とされています。カナダは公開当初禁止されましたが1990年代に一部の州が解禁の運びとなりました。
オーストラリアでは検閲されたアメリカ版が1982年にR18+で公開されましたが、その後、禁止に。最終的に2004年にフルアンカットバージョンがR18+で解禁になっています。
ニュージーランドでは、1984年にフルバージョンが20禁指定され「暴力描写あり、不快な内容である」と注意書きが添えられました。カットされたバージョンですら1984年と1985年に同様の認定がされています。アイルランドでは販売禁止となっています。
ちなみに、このレイプとその復讐劇がメインのストーリーは、監督がニューヨークでレイプ被害者を助けた経験が元になっているとのこと。そして、劇中の残虐極まりないレイプシーンは事件を伝えるためには必要な描写であり、主演女優のカミール・キートンを「役を引き受けたとても勇敢な女性」と評しています。
『エクソシスト』
映画セットが呪われているという噂と神聖冒涜のテーマが原因で、配給のワーナーブラザーズは主演のリンダ・ブレアを守るためにボディガードを雇う事態になりました。また、ウィリアム・フリードキン監督の伝説的映画はサブリミナル画像を使用したことでも糾弾されました。
『悪魔のいけにえ』
トビー・フーパー監督は、元々、ゴア描写が最低限しか無いという理由でPG指定になるだろうと考えていたようですが、映倫はX指定(17歳以下の観賞を全面的に禁止した)を下し、極めて暴力的な映画だと判断されたのでした。そして、数分間のシーンをカットした後、R指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)になったのです。
この他、イギリスでは公開初期の頃に一時的に禁止され、オーストラリアではフルバージョンが禁止になった後、1984年にR指定で許可が下りました。また、ブラジル、チリ、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、ノルウェイ、シンガポール、スウェーデン、西ドイツでも一時的に上映が禁止されたのです。
『セルビアン・フィルム』
本作について、少しだけ長く書いていきたいと思います。
ゴア、グロ、近親相姦、ペドフェリア、レイプ、スナッフ、ネクロフェリア。これ以上ないほど胸糞悪くなる要素が詰まったセルビアのホラー映画。ゴアホラー好きな訳者でも楽しめないスルジャン・スパソイエビチ監督の映像化された狂気です。
スパソイエビチ監督はこの映画を次のように説明しています。「これは私たちがセルビア政府から日常的に受けているいじめを描いています。催眠術で人が望まないことを実行させる指導者の画一主義的な力に関する映画なのです。見る人はその暴力を感じて欲しいのです。」
幼い子供を持つ訳者は、ペドフェリアが写っている本作に対して生理的嫌悪しか感じません。文章にすることすらおぞましいのですが、この映画には「母親の体内から出てきたばかりの新生児を、取り上げた男性がレイプする」シーンが含まれています。(問題の描写は写っていませんが、新生児の悲鳴のような鳴き声が...)
監督は強いメッセージをもって撮影に挑んだのかもしれませんが、このような幼子に対する性的暴力に反射的に強い拒否反応を示す人は少なくありません。見れる人はこのジャンルが好きな人になってしまうのではないでしょうか。そういった趣味嗜好を持つ人たちが、監督の伝えたい「セルビア人の置かれている状況」に気付くのか疑問です。
各国の反応です。
スペイン:裁判所の命令により「性の自由への脅威」になるとして禁。その後、ホラー/ファンタジーフィルムフェスティバルでの上映が禁止に。しかし、2010年の10月に行われたSitges Film Festivalでアダルトオンリー指定公開されました。
その結果、児童並びに新生児へのレイプシーンを含むポルノを上映したことに対するカトリック教会からの苦情を受けた後、スペインの検察官よりフェスティバルの指揮者が告訴される事態に。のちに告訴は取り下げられましたが、それほど人々に与える影響が大きかったのです。
ドイツ:この映画が公開された時、ドイツの映倫は、本作がドイツの連邦法に違反する可能性があるとしてレーティングすることを拒否。しかし、2011年6月30日に不快な描写を排除し、オリジナルよりも13分短くしたバージョンを18禁で公開しました。
ノルウェイ:2ヶ月公開した後、児童ポルノ並びに過激すぎる暴力描写が法に触れるということで禁止されました。
ブラジル:一時的に上映が禁止されました。本作は「ペドフェリア、暴力、セックス描写、残虐性が18歳以下の視聴に相応しくない」とレーティングされたにも関わらず、その内容がブラジル政府に対する攻撃と判断されて一時的に禁止されたのです。しかし2012年7月にこの決定は覆されています。
オーストラリア:現在も禁止されています。リリース以前にオーストラリアのDVD小売店JBHi-FIが本作は現物並びにオンライン両方で配給される予定は無いとアナウンスしました。その理由を「不快な内容」としており、Rレーティングにも否定の意見を出しました。しかし、一時的に本小売店で入手が可能に。
南オーストラリアではレーティングが拒否され、公開直前に事実上の禁止になりました。2011年9月、Australian Classification Review Boardは『セルビアン・フィルム』を「審査適応区分外」と定め、事実上オーストラリア国内での配給を禁止しました。Review Boardによると、「『セルビアン・フィルム』は審査適応区分外になりました。残虐描写、児童ポルノ、児童性的虐待、近親相姦などが含まれ、人々に与える衝撃は計り知れなく、弁明の余地はありません。」
ニュージーランド:2012年5月、New Zealand Office of Film & Literature Classificationによって即座に禁止されました。
マレーシア:2012年8月、本作はFilm Censorship Board of Malaysiaの判断により疑いもなく拒否、禁止されました。
シンガポール:2012年8月、マレーシアと同日にシンガポールでも「シンガポール国内で議論を巻き起こす恐れのある」コンテンツとして禁止されました。
『ムカデ人間』
人間の肛門と口を縫い合わせてムカデ人間を作る...、この奇想天外なアイディアを聞いただけで「この監督はイカれてる」と言いたくなるでしょう。映画のとしての評価は低く、Rotten Tomatoesでは4.9ポイントで「グロテスク、理屈抜きにキツイ。(コンテンツの内容も物理的なアレも)飲み込めない。」といったような書き込みがあります。
Empireのキム・ニューマン記者は「非常に胸が悪くなるコンセプトで、明らかに議論をかもすホラー映画だ」とコメント。一方でEntertainment Weeklyのクラーク・コリス記者は、マッドドクター演じたディーター・ラーザーの演技を高く評価しており、シックス監督は悪夢とクローネンバーグ監督の映像をうまくミックスさせているとポジティブなコメントをしています。
シックス監督は本作に登場する手術を「100%医学的に正確」と主張していますが、評論家や医師はこれを「下らない」「馬鹿げている」と真っ向から否定。
ジョン・キャメロン医師はニュージーランドのTV3ニュースに出演し、ムカデ人間の可能性についてインタビューを受けた際に、人間を繋げることは難しいと説明し、栄養不足により直ぐに死んでしまうということを話しました。
なお、『ムカデ人間』はそのショッキングな内容ながらも各国で軒並み上映禁止といった状況にはならず、むしろホラーマニアに好まれ幾つかのフィルムフェスティバルで受賞しています。
[via ifc]
(中川真知子)
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