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生命体と技術を融合させたサイボーグは、サイエンス・フィクションが大好きなテーマです。しかし『ロボコップ』や『ターミネーター』といった良作もある一方で、失敗し易く見せ方を間違えると、とてもチープになってしまうのもサイボーグものの特徴です。
そんな残念だったサイボーグ映画をio9がまとめたので紹介したいと思います。
■『サイボーグ2』
アルバート・ピュン監督、ジャン・クロード・ヴァン・ダム主演『サイボーグ』は酷評されましたが、1980年代のおかしなサイエンス・フィクション映画を見たいと望んでいる人にはオススメするに値する作品です。
しかし、アンジェリーナ・ジョリーの初主演映画である『サイボーグ2』は全く別ものです。しかも、『サイボーグ2』のタイトルが付いてヴァン・ダムの『サイボーグ』の続編のように見せかけておいて、サイボーグが登場するという以外に関連性もあまりみられません。若き日のアンジェリーナ・ジョリーの美しさを見てみたいという人なら楽しめるのではないでしょうか。
■ 『片腕サイボーグ』
70%ロボット、30%人間という殺人サイボーグのパコ・クエルアック。彼は悪徳起業家の命令で環境保全運動の第一人者の暗殺を試みるも、人間の心が目覚め暗殺を実行せずにそのまま逃亡します。逃亡の途中で立ち寄ったモーテルに身をひそめますが、FBIや悪徳起業家はパコを追い...。
本作は、サイボーグ映画にありがちの戦闘シーン満載といったものではありません。サイボーグが便利屋になっていたたり、アームレスリングが得意だったりします。
また、人間の心を持つサイボーグなので自分と言う存在に悩むドラマ的展開もあります。サイボーグ描写少なめで普通の人間ばかりが出て来るサイボーグ映画を見てみたい人にはオススメです。
■ 『サイボーグコップ』
注)下の動画にはオッパイが映ります
『ロボコップ』に影響されているのが丸分かりのタイトルですが、1993年の『サイボーグコップ』は『ロボコップ』とはあまり似ていません。サイボーグにされた警察(コップ)は登場しますが、それはマッドサイエンティストのケッセル(ジョン・リス=デイヴィス演)によって作られた殺人サイボーグであって警察らしい行いは全くしません。
『アメリカン・ニンジャ』シリーズで有名なデヴィッド・ブラッドリー演じる主役のジャック・ライアンも、同様に警察の仕事はしません。
しかし、カリブ海に浮かぶ島に任務で向かったものの消息が途絶えた兄のフィリップ(途絶える前に助けを求めるテープをジャックに送ったことがきっかけとなってジャックは兄の救助に向かう)を救助しに向かい、そこで数々のサイボーグ相手に闘うことに。
このように、サイボーグと化したコップが活躍する映画ではなく、サイボーグと生身の人間のコップが闘う映画です。『ロボコップ』的展開を期待していると裏切られてしまいます。
■ 『サイボーグ2087』
訳者的に、本作がio9の選ぶ「史上最も残念だった~」に入っていることが驚きです。というのも、この作品は低予算故に映像こそ陳腐なものの、ストーリーは面白く、主演俳優は『『地球の静止した日』』のマイケル・レーニーという有名所で十分に楽しめるからです。
内容は、1966年に成功したテレパシー実験の公式発表を阻止すべく、2087年の未来からアメリカにサイボーグが送り込まれるというもの。
ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター』は、ハーラン・エリソン著の『38世紀から来た兵士』を盗作したとしてキャメロンを相手取って訴訟を起こし勝訴したという経緯がありましたが、それよりも遥かに『サイボーグ2087』の方が『ターミネーター』にインスピレーションを与えたと考えられるでしょう。
先にも述べたように、本作の唯一残念な部分が、エフェクトのダサさと安っぽさ。真実かどうか分かりませんが、予算が300ドルかそこらだったというのだから、安っぽいのは当然でしょう。未来の都市は段ボール、サイバネティックスは...取りあえずトレーラーを確認して下さい。
本作はこのダサさと自主制作映画にも劣るような陳腐さをひっくるめて楽しむ映画です。
■『サイボーグ3』
1995年にビデオリリースされた本作は、『サイボーグ2』同様、前作とは関係がありません。(これがこのシリーズの持ち味なのか、それとも前作で主役をはったアンジェリーナ・ジョリーが『3』への出演を拒み、それも原因で関係のないストーリーになったのかもしれません)。
本作は、人間とサイボーグの関係が狩るものと狩られるものになった未来で、妊娠したサイボーグが、サイボーグハンターの追跡を逃れながら伝説のサイボーグだけのコミュニティを目指すというもの。
サイボーグが妊娠という突拍子もない設定に加え、主役がアンジェリーナ・ジョリーからクリスティン・ハイジに交代したことで、本来なら年をとらないはずのサイボーグが急に老けてしまったという杜撰さ。
ただ、『時計仕掛けのオレンジ』やロブ・ゾンビ版『ハロウィン』シリーズのマルコム・マクダウェルがカメオ出演的に登場したり、『グレムリン』のビリー・ペルツァーを演じたザック・ギャリガンといった俳優が出ているので、彼らの活躍を見たいという人なら楽しめるかもしれません。
■『サイボーグ・キラー』
『サイボーグ』のアルバート・ピュン監督が送る『サイボーグ・キラー』は、文明が崩壊し、サイボーグが支配するディストピアを描いた作品。
サイボーグに両親を殺された女性が、クリス・クリストファーソン演じる対サイボーグ用にプログラムされたサイボーグから特訓を受けてサイボーグに復讐するという内容です(サイボーグがゲシュタルト崩壊...)。
この映画の最大の見所は、復讐を誓う女戦士を演じるキャシー・ロングの(そう派手ではない)アクション。ピュン監督が惚れたというキックボクシングの世界チャンピオンに5回も輝いたロングの動きは中々のものです。
あとは、この映画が残念と言われている理由のひとつにもなっているであろうエンディングのやっつけ感。「本当にこれで良いのか...」とツッコミを入れたくなるラストは、ある意味見る価値があると言えるでしょう。
■『アメリカン・サイボーグ』
トレーラーを見る限り、ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター』のしょぼい版かテレビドラマ版のようにしか見えません。人間の男性が、歴史的に重用視されているらしい女性を、大きな銃を持ち、レザージャケットを着た悪のヒューマノイドロボットの攻撃から守るという内容なのですから。
大きく違うのは、この映画が第三次世界大戦後という時代設定になっているにも関わらずタイムトラベルが出て来ないということでしょう。『アメリカン・サイボーグ』の女性が将来生むであろう子供はとても重要です。
しかし、それはその子供が将来革命家になるからではありません。彼女以外の人間が全て生殖不能だからなのです。
そしてこの映画の中で最も重要なのは、このロボットがアンドロイドで、女性を助けるだらしない長髪の男性がサイボーグだということでしょう。何だかタイトルも紛らわしい上に内容も紛らわしいです。
ちなみに、このトレーラーに収められているのは映画の中でもハードな部分で、本編はもっと全体的に緩い感じです。『ターミネーター』の劣化版と思って見ると、それすら裏切られるような作品といえるでしょう。
■『サイボーグコップ2』
『サイバーコップ』で主役をはったデイヴィッド・ブラッドリーが再び主役で登場! 本作でジャック・ライアン(ブラッドリー)は海兵隊の軍曹上がりの犯罪者のスタークレイヴン(モーガン・ハンター)に相棒を殺されてしまいます。
逆上したジャックはスタークレイヴンに瀕死の重傷を負わせた上で逮捕します。裁判の結果、スタークレイヴンは死刑判決が下りますが、処刑の直前に政府の命令で対国際テロリズム用スーパーサイボーグの「スパルタクス」に改造されたのでした。
元々犯罪者だったスパルタクスは、人間の命令などを聞かずに他のサイボーグを率いて反乱を起こし研究者を殺してやりたい放題。スタークレイヴンの行方を追っていたジャックは政府が問題の死刑囚をスパルタクスにしたことを突き止め、スーパーサイボーグを破壊するべく立ち上がったのです...。
Rifftraxが、この『サイボーグコップ2』を編集して2分強のツッコミ動画をリリースしましたが、io9のロブ・ブリッケン記者は「この編集バージョンを作る為だけに本編が存在したようなもんだ」とコメントしています。そういう映画って一定数存在しますよね。残念なことに、サイエンス・フィクションに多い気がします。
■『サイボーグコップ3』
『1』と『2』を引っ張ってきたデイヴィッド・ブラッドリーは降板し、今度はフランク・ザガリーノとブライアン・ジェネスが主役。そして相変わらず、『サイボーグコップ』のタイトルを使いながら、サイボーグのコップは出て来ないというシリーズ通しての徹底振りです。
デルタテック社がゴキブリと人間をかけあわせたミュータント作りの人体実験をしているという情報を得たアンカーウーマンのエブリンは、その調査の最中にデルタテックに見つかってしまい追われる羽目に。そこに現れた連邦保安官のセイント(ザカリーノ)とマックス(ジェネス)のふたり。
彼らはエブリンを助けますが、デルタテックはふたりを抹殺すべく殺人サイボーグを送り込んできたのでした...。
果たして『サイボーグコップ』はこのタイトルでシリーズ展開させることに意味があったのでしょうか。
■『Cyborg Soldier』
死刑囚をヒューマンウェポンにするアイディアはB級サイボーグ映画の十八番。2008年公開の『Cyborg Soldier』もその「やっちまった」感漂うアイディアを採用したサイエンス・フィクションのひとつです。
元UFC世界ミドル級王者のリッチ・フランクリン演じるアイザック(I.S.A.A.C. (Intuitive Synthetic Autonomous Assault Commando))は、「サバイバル」をプログラムされたサイボーグ。
アイザックはサイボーグを作る施設から脱出し、次々と人を殺します。サイボーグの生みの親(ブルース・グリーンウッド演)は、最優先事項を「サバイバル」ではなく「命令を聞く」にするべきだったと後悔していることでしょう。
ちなみに、この映画の魅力は何と言ってもリッチ・フランクリンの動き。日本公開されていないのであまり知られている作品ではありませんが、格闘技好きならチェックすると良いかもしれません。
■ 『ダイナソー・ファイター カンフーvs.巨大恐竜』
始めに書いておきましょう。この映画は酷いです。もの凄く雑です。この映画に登場するものは、ジャン・クロード・ヴァン・ダムを意識したような男性俳優と、サイボーグ、恐竜です。
ストーリーは、凶悪なサイボーグが人間を支配する未来で、ひとりの男性がタイムトラベルして現代のロサンゼルスに逃げてくるも、それに気付いたサイボーグたちが彼を抹殺する為にジュラ紀の肉食恐竜達を殺人プログラムしてロサンゼルスの街に解き放った!
という何処からツッコミを入れれば良いのか分からないカオスなもの。
ここに貼った動画は映画を見ながらツッコミを入れるといった方法をとる『MST3K』のモノですが、この7分程度の動画を見るだけでお腹一杯(特に安っぽい恐竜のシーン)です。
この動画をアップしたauritoneさんが『ダイナソー・ファイター カンフーvs.巨大恐竜』を的確に説明していたので紹介します。
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サイボーグはクールだ。『ターミネーター』がそれを証明している。(厳密には『ターミネーター』はアンドロイド)
恐竜もクールだ。『ジュラシックパーク』は大成功だった。
そのふたつを組み合わせてジャン・クロード・ヴァン・ダムに似たスターにカンフーをやらせよう。これで大ヒット映画の完成だ。間違いなんて起こるはずが無い。
んなわけない!!!
それにタイトルを見てくれ。(原題は『Future War』)タイトルすら間違っているだろ。未来で戦争は起こっていないし、未来に関係してないし!
まったく、なんて映画だ。最高過ぎるぜ...!
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■『エリミネーターズ』
このリストの最後を飾るのは、マッドサイエンティストによって生み出された上半身人間で下半身が戦車という人間機械マンドロイドが登場する『エリミネーターズ』です。
タイムマシンを使って世界征服を企む悪の科学者を倒すべく、その道のプロたちが集い敵の要塞に乗り込む! というのが大まかなあらすじです。
凄いのは、その道のプロと言われる面々。トレーラーでも凄いオーラを発していたマンドロイドの他に、カウボーイ風水先案内人やニンジャ、偵察用小型ロボット、女科学者といった顔ぶれです。
残念というより、次元が違う凄さ。他のサイボーグ映画の残念さが大したことないように思えて来る破壊力を持っているのが本作です。
The 12 Worst Cyborg Movies Of All Time[via io9]
(中川真知子)
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ダイナソーファイターを観れば、他のクソとか言われてるアクション映画に対して寛大になれるよ