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まぁ元祖は『クレイジー・クライマー』でしょうけども!
高層ビルをよじ登ったり、『ドンキーコング』ではマリオがハシゴを登ったり、『アイスクライマー』は氷山を(ジャンプで)登ったりと、昔からテレビゲームの主人公はいろんなところを昇降してきました。
最近ではコンソールや開発エンジンの格段の進歩のお陰で、よりリアリスティックな描写が可能となったため、ララ・クロフトもネイサン・ドレイクもエツィオも、現実の人間のような動きで大自然や家々をよじ登ることが出来るようになっています。
ですが「東京ゲームショウ」で公開された、『メタルギアソリッドⅤ ザ・ファントム・ペイン』のデモ映像を拝見しますと...スネークがゲーム史上最高のクライマーであることに、確信を持たざるを得ないのです。
まずはその動画を3分ほどの所までスキップし、スネークが崖っぷちのクラックを登る姿をご確認ください。ちなみにクワイエットのビキニ・トップ姿までは確認しなくても大丈夫ですので。
クラック・クライミングで登れそうだ!
ということで、ヒビ割れに指を突っ込んでグイグイ登る姿が見られるわけです。左腕のロボット・アームがスゴいのはさて置き、スネークはテレビゲーム界における、プロフェッショナル・フリークライマーのアダム・オンドラさんとクリス・シャーマさんといっても言い過ぎではないかもしれません。
と言いますのも、コタク・オーストラリアの記事では、ララもネイサンもちゃんとしたクライミングの動きをしておらず、現実的なモーションを無視したものとなっている...と指摘している反面、今回の『MGS V』では、スネークの動きが理に適っている登り方をしているからなのです。
では、ロック・クライミングのテクニックやフットワーク、はたまた身体の疲れという側面から、スネークの登り方を考察してみましょう。
■フットワーク
もしも専門的な技術をもって、効率的にガケ登りをしたければ、フットワークを疎かにしてはいけません。なのにこれまでのゲーム・キャラクターたちは、それをないがしろにしてきたのです。
ネイサン・ドレイクは足を使わずに登ります。これは現実にも、特殊な状況下で使われるキャンプシングと言うテクニックでもあるのですが、上半身の筋力と持久力で登るため、ドレイクのようにずっとそのテクニックだけで登り続けるのはほぼ不可能なのだそうです。
しかしながら、スネークはちゃんと足を使っています。新型のスニーキング・スーツには、かなりハイテクなブーツが一緒に着いてきますが、見たところそのブーツは実際のロック・クライミング用シューズに似ており、とても理に適っているのです。
スーツを着た後、スネークはクラック・クライミングの最中に右足を隙間に突っ込み、左足をプラプラさせる動きがあります(4:26)。これには自分自身のバランスを取り、身体を安定させる働きがありますが、こんなリアルな動きはネイサンのそれと比べると雲泥の差がつくほど進んだ描写なのです。
■ハイ・ステップ
まだハダカでガケ登りをしているところ(3:36)で、左脚全体を大きく左上に上げて、全身のバネを使って左膝と左足を引っ掛かりに乗せるモーションもでてきます。ロック・クライミングの教科書にも出てくるこの動きは身体全体を持ち上げるだけの筋力だけでなく、股関節を柔らかくしておかないと出来ない動作です。スネークはヒマな時にヨガをしているのかもしれませんね。
■お尻の位置も大事
上記の2項目でもそうなのですが、お尻や腰回りを壁面から離さない、というのも大事なポイントです。体重が後ろに掛かってしまったら、尻から落っこちてしまいますもんね。
それにハイ・ステップの時も脚を持ち上げるのではなく、お尻も一緒に持ち上げないとそこから下に生えている脚も上がってくれません。それに少しでも自分から遠い引っ掛かりに足を乗せるには、お尻も横方向に行かないと足が伸びません。このように全身を使わないとロック・クライミングはできないのです。
■疲れを溜めないように登るのがカギ
ハイ・ステップの動きで観たように、一度伸びきった身体を上方向に引き上げるためにも、腕の筋肉が非常に大事です。
『ワンダと巨像』には「腕力」ゲージがあり、ずっと巨像に捕まっていると疲れてしまいます。『モンスターハンター』でも、加速しながらツタなどをよじ登るとスタミナが減少していきますよね。
これらは非常にリアリスティックな表現ですが、不思議とテレビゲームの世界ではみかけないユニークな設定なのです。なので普通のゲームに登場するその他のキャラクター...つまりネイサンやエツィオは、疲れ知らずで永遠にガケを登っていくことができちゃうのです。
リアリスティックに言えば、疲れる=乳酸が溜まるということです。3:46分辺りでスネークは、生身の腕を一旦下ろしてプルプルさせたり、手首を持ち上げ下に向けて払う動きをします。
これは乳酸を溜めないように、疲れを癒やすストレッチのようなもの。この動画の場合ですと、感覚を失いつつある指先にその感覚を戻す動きでもあり、現実世界で生身の人間が行う動作をそのまま行っているのです。
ちなみにこの動作は、コントローラーを触っていない状態になるとスネークがするものなのか、それともスタミナゲージを回復している時のものなのか、実際にプレイしてみないとわかりません。それに普通のテレビゲームであれば、こんなモーションは必要ないのですが...この辺はきっと小島監督のこだわりだったのでしょうね。
思い返せば、『メタルギアソリッド2』ではエルード(ぶら下がり)というアクションがあり、スネークと雷電が握力ゲージを消費して敵の目を掻い潜ったこともありましたよね。
ということで各項目で解説しましたように、スネークのモーションを細かく観てみたところ、テレビゲーム史上最高のクライマーはスネークであるということが判明しました。
同時に、あまりのリアリスティックさにネイサン・ドレイクやララ・クロフト、エツィオなどとは比べ物にならないほどロック・クライミングの腕前がプロ級なのも分かりました。
きっとこの他にも、現実的に理に適ってた動きがあるのではないかと思います。それは『メタルギアソリッドⅤ ザ・ファントム・ペイン』をプレイした時に見つけてみてください。
Why Snake Is The Best Climber In Video Game History[Kotaku]
(岡本玄介)
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