デス・スターの配管は奇跡? 建築的観点から映画の有名隠れ家を検証
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ヒーローモノの映画に登場するヴィランって、凄い隠れ家を持っていることがありますよね。相手に脅威を見せつける為にイカツイ姿をしていたり、「秘密の隠れ家」と呼んでいるにもかかわらず人目につき易い形状をしていたり、その姿形はヴィランによっても様々です。

そんなヴィランの秘密の隠れ家を、io9が建築的観点から検証してみたようです。どうやら、ヴィランは悪事を働く才能よりも、建築家としての才能に恵まれていたみたいですよ。


『スターウォーズ』のデス・スター

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配管技術が凄い


デス・スターは帝国軍の非人道的行為の象徴であり、奇跡的とも言える配管系統設備を備えています。というのも、この小さな月状の設計物全体に水を供給するだけの配管を設置し、水を行き渡らせるだけの水圧を作り出すことが出来ているのですから。

人工的に作り出された重力の設定によるとは思いますが(ある人によると、デス・スターの重力は上から下に向かっているけれど、別の人の主張では人工重力は船の中央に向かってかかっているとのこと)、果てしない量の水タンクがてっぺんもしくは、無数の小さい水タンクがデス・スターの表面全体に設置されていることになります。


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加速は危険


また、デス・スターは人工の重力だけでなく、他の惑星の周りを回るとそれらの惑星の重力作用が原因で配管全体に影響が出るでしょう。

それだけでなく、デス・スターが加速移動した時のことも考える必要があります。バケツに水を入れて、ぶんぶん振り回してみたときのことを想像しましょう。それと同じ現象が、デス・スターの加速時にパイロットの血管内で起こるのです。加速に伴い、パイロットの大半の血液が体の表側から背面に移動して意識を失ってしまう可能性があります。

当然、パイロットの体内だけでなく、デス・スター本体の配管にも影響が出るので、それにも負けず全体にまんべんなく水を送り続けられるような強力な配管システムが必要なのです。


『オースティンパワーズ』のDr.イーブルの島

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落雷に注意


Dr.イーブルのねぐらは自身の顔を彫刻した美しいトロピカルアイランドの火山の中の洞窟にあります。外見のお洒落さだけでなく、彫刻されたDr.イーブルの目から外を覗くことが出来る実用さも兼ね備えています。

しかし、洞窟は落雷が多いのです。ラシュモア山やクレイジー・ホース記念碑の建築は幾度と無く落雷にあっています。

登山家や洞窟探検家にとっては常識ですが、嵐の前兆を少しでも感じたら山を下りて垂直き裂や浅く狭い洞窟(というべきかどうか分かりませんが)から離れなくてはなりません。地底深くの洞窟は比較的安全ですが、金属のケーブルやサポートビームが岩肌から内部に設置されているようであれば、同じように危険と考えましょう。

落雷が起きれば、洞窟の中のエレベーターと電気システムがダウンしてしまうので、洞窟にアジトを設置したい場合は落雷の被害を遮る目的でファラデーケージを張り巡らせなくてはなりません。


『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の魔宮

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暑いだけじゃなくガスの危険性も


魔宮のようなアジトは恰好いいですが、とても危険です。煮えたぎるマグマが穴から顔をのぞかせているだけでなく、そのマグマが原因で毒ガスが発生するからです。

このようなアジトを作る場合は、通気システムを徹底しなくては中に入る人たちの命が危険にさらされます。なので、マグマの穴から発生した二酸化炭素を炭坑から排出して新鮮な空気を炭鉱内に送り込まなくてはいけません。さもなくば、そこにいる全員が窒息死してしまうのです。


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こんな悠長なことをしている場合ではない


通気システムの他に、常に火山ガスを調べ対応するような研究所も必要です。例えば、硫化水素は嗅覚を含む神経を麻痺させます。つまり、そこにいる人たちは直に嗅覚がきかなくなってしまいます。人体に深刻な影響を及ぼすなんてことのないよう、絶えずフィルタリングか換気しなくてはなりません。

ただ、このアジトは複数の階、穴、隠れるにちょうどいいくぼみが多数存在するので、換気システムを徹底させるのは至難の業でしょう。


『バットマン・リターンズ』のペンギンの下水道隠れ家

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交通の便は良いが常に浸水の危険性と隣り合わせ


ヴィランの隠れ家は、孤立した島になくてはならないといったルールはありません。街へのアクセスが便利な場所でも良いのです。例えば、ペンギンの下水道隠れ家。都会に存在する暗くて深い、人の目が届かない場所は、都会的隠れ家として最高の条件です

しかしゴッサムには港があるので、満潮時に水の被害にあうことが考えられます。また、人口密度が高くなるに伴い増水の可能性も出てきますし、雪の季節になれば暴風雨や急な雪解けもあるかもしれません。

そういった点を考えると、ペンギンの隠れ家はポンプ装置を至る所に設置するか「増水防御装置」なるものを装備させる必要があるでしょう。さもなくば、隠れ家は定期的に水や下水で満たされることになってしまいます。


『パイレーツ・オブ・カリビアン』の難破船のアジト

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きちんと建設すればやれないことはない


『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出て来る難破船のアジトは、その全てが難破船で出来ています。木のような生物分解される素材で島を作ろうということが無謀のように感じますが、何故かこの島はそれが成り立っているようです。

スコットランドの湖には、人工的に作られた湖上住居があります。湖底に先を尖らせた柱を立て、それを織り合わされた小枝とふきわらで覆ったあとに泥と砂を体積させて島の基礎を作っているのです。

同様の手順を踏めば、難破船のアジトも可能となるでしょう。例えば、入り江の砂を含んだ底を突くのに帆柱や船首といったアイテムを使用し、帆をマット状にして砂と小さな難破船を覆うといった具合です。正確に建築された島ではなく自由奔放な感じに積み上げたといった風な外見をしつつ機能的でなくてはならないので、デザインが1番手間取るのではないでしょうか。

無事に完成したとしても、この島のメンテナンスは容易ではありません。海賊チックな雰囲気を維持する為にはメンテナンス時に使用する素材も吟味しなくてはならなくなってくるからです。


『ナルニア国ものがたり』の白い魔女の城と、『007 ダイ・アナザー・デイ』のグスタフ・グレーヴスの氷の城

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いつ溶け出すのか不安でしょうがない


氷で出来たアジトを作りたい場合、氷だけでなく「スナイス」も駆使して建設しなくてはいけません。この「スナイス」は雪と氷が混ざったもので、氷の彫刻制作にも使われています。


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照明にはロウソクではなくゼンマイ式懐中電灯を使っては?


天候が悪く寒い日が続くような場所であったり、ヴィランの魔力で天気をコントロール出来るのであればスナイスは氷で出来たレンガを接着し強化してくれます。しかし、天候に恵まれなかったりヴィランに天気をコントロールする能力がない場合、アジトは日光にさらされることになります。つまりアジトが溶けてなくなってしまうのです。

また、上の画像のようにキャンドルで明かりをとった場合も建物を徐々に溶かしているようなものなので、建物内はキャンドルの熱さえものともしないくらいに常に冷やしておかなくてはなりません。


『007 私を愛したスパイ』のアトランティス

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技術的には可能


『007 私を愛したスパイ』に登場するアトランティスのようば水中のアジトは、驚くことに現実可能です。海洋生物学者でダイバーでもあるラン・コブリック氏によると、既に100人ほど収容可能な水中コロニーを建設するだけの技術が開発されているのだそうです。

しかしながら、ヴィランが水中アジトから世界を破壊しようとする場合、問題が発生してしまいます。というのも、そのようなコロニーをきちんと機能させる為の技術を開発しなくてはならないだけでなく、バックアップとなる部分が表面に出ている必要性があるからなのです。アジトを水中だけに集中させてしまうと、万が一のことが起こった時に逃げ場が無くなって命を落としてしまう可能性があります。なので、ヴィランが緊急非難できるような場所が重要になってくるのです。

そして、そのような安全地帯があるということは、その安全地帯から救助要請を受けるもうひとつの安全基地を設置しなくてならなくなります。つまりアジトをふたつ作らなくてはいけないのです。


『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』のアイゼンガルドとバラド=ドゥーア

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秘密の隠れ家って目立って良いの?


アイゼンガルドやバラド=ドゥーアのような高い塔は、エレベーターが必要であっても工学技術面では難しいことはないように思えます。主な問題は、もし秘密の隠れ家を巨大な塔にしたいのであれば、秘密の隠れ家の意味が無いということを頭が弱くて独裁的なヴィランに説明しなくてはならないことでしょう。


[Via Caving News, Volcanic Gases and Their Effects, Crannogs of Scotland and Ireland, Ice Hotel, Can We Build Underwater Cities via io9

中川真知子

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