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強くなりたくば頭を使え? 対戦型格闘ゲーム上達法

2014/09/08 22:30 投稿

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強くなりたくば頭を使え? 対戦型格闘ゲーム上達法
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格闘ゲームで、自分の能力が向上しなくなったら、それはある意味詰んだ状態です。

限界を見つけてしまったらこれ以上上手くなれないと感じてしまったら...「自分はトッププレーヤーになれるのか?」、「自分のポテンシャルはこの程度なのか?」そんな疑問が浮かんでくることでしょう。

その疑問に答えるためには、まず「トッププレーヤー」たちが初心者や中級者、そして上級プレイヤーとどう違うのかというところから見ていかなければいけません。

もし「トッププレーヤー」になりたいのであれば、まず「マインドゲーム」を完全に理解しなければいけません。対戦相手をどうやって『条件付け』し、『誘き出す』のか。それがこの格ゲーというマインドゲームの最も基礎的な部分であり、トーナメントでの優勝者は誰もがそれを行なっています。

これがトッププレーヤーと「上手いプレイヤー」や「初心者」との違いです。


『条件付け』や『誘き出し』とは何か?

格闘ゲーム専門家・コメンテーターの「UltraDavid」こと、デイヴィッド・グラハムさんは「基本的には、何かをして相手を騙すということ」がそれだと話してくれました。「高度なプレイでは、『予想』をベースにしてコトが進んでいきます。そのゲームでの決まり事や、プレイヤーが理解していること、それらが『予想』なのです」。

簡単に言うと、『条件付け』とは、相手に「次はアレがくるからこうしよう」と思わせることで自分がアドバンテージを得るということです。例を見てみましょう。



右手のプレイヤー、アレックス・ヴェールさんが1:25のところで、次の攻撃は上攻撃が来るという警戒心を相手プレイヤーに与えることで、アドバンテージを生み出しています。これによりヴェールさんはより有利な状況になり、最終的に下攻撃を用いて梅原大吾さんからこのラウンドを勝ち取ることが出来ました。

これはただのシンプルな「トリック」ではありません。ゲーム内での慣例と人間の本能の両方を巧みに操る事が必要なのです。格闘ゲームでは、プレイヤーの攻撃方法には投射攻撃、ロングレンジとショートレンジの普通攻撃やスペシャル攻撃などが含まれています。

ゲームのシステムを最大限に活用し、安全な攻撃とリスクを伴う攻撃、その両方を使うことで対戦相手を混乱させるのです。(例:相手との距離を開けるためにファイアーボールを放ったと思わせて、次の瞬間相手との間合いを詰めるために前にダッシュ。)

人間の本能に関して言えば、人間は過去に起きた事を参考にして、物事に反応します。通常、結果を予測するためには、過去の経験を元にするしか無いのです。この本能を利用することが『条件付け』の基礎です。

「何度か同じことが起きたら、次にも同じことが起こると『期待』するのは人間の本能の基本的な部分」とグラハムさんは語ります。


『条件付け』のアドバンテージ

『条件付け』を上手く用いることができるかどうかが、トッププレーヤーとトップになれないプレイヤーとの差です。ただ単にトリックを行うのではなく、自分が生み出している状況を理解することが必要です。トッププレーヤーは、相手の能力を見極め、ゲームシステム上何が可能かを知っているのです。

「トッププレーヤーたちは、相手プレイヤーをゲームから引き離し、『相手プレイヤーをプレイ』することができるのです」とグラハムさん。「彼らはわざわざ特定の状況を用意しなくても、状況に反応してプレイすることで相手を貪り、相手の知識の無さを身に染みさせることができるのです。



12:18では、ジャスティン・ウォンさん(ストーム)が、状況によるプレッシャーと、彼の持つリソース(体力バー)を用いて、対戦相手のフィリピーノ・チャンプさんからの反応を『誘き出し』ています。

ウォンさんは、コンボを早めに終わらせることで、フィリピーノ・チャンプさんに「プレッシャーが終わった」と勘違いさせたのです。その結果、フィリピーノ・チャンプさんはアシストを呼んでしまい、ウォンさんはその後アシストを利用してよりも多くのダメージを与えることとなりました。

最後の決め手はウォンさんによるマインドゲームでした。フィリピーノ・チャンプさんは「プレッシャーが終わった」と思った時にアシストを呼ぶように『条件付け』されてしまい、それが原因となりウォンさんの「ミラクル」スーパーアタックが2体のキャラクターに当たりゲームが終わることとなりました。

『読み』が勝敗を分けたのです。これはただ予想して起きたことでも、ただのあてずっぽうでもなく、相手を観察する事無くしては成し遂げれなかったことです。

格闘ゲーム専門家・コメンテーターの「Jchensor」ことジェームズ・チェンさんはこう語ります。「『読み』は主にマインドゲームからくるものです。最高のプレイヤーたちは、コンセプトを理解することで正しい決断を選ぶことができるのです。

『読み』はマインドゲームを上手くプレイすることで手に入れることのできる報酬というわけです。「高度なプレイヤーにはどんな時にもできることです。どんな状況に置かれてもそれを認識でき、読むことで即興できるのです」とチェンさん。



このマッチでは、スネーク・アイズさん(ザンギエフ)は最初の2ラウンドでは防御メインの戦い方です。自分を抑えて防御に徹することで、リッキー・オーティスさん(ルーファス)のロングレンジ通常攻撃というアドバンテージを奪います。

そして自制することでスネーク・アイズさんが戦いのペースをコントロールすることとなり、それが前の2ラウンドとは打って変わった第3ラウンドへと続きます。8:47からは、これまでとは一変して爆発するかのように攻撃中心の動きをするスネーク・アイズさん。この戦いのペースの急変に対応しきれなかったオーティスさんを打ち負かしたのは偶然ではないのです。

このようなハイレベルな『誘き出し』や『条件付け』は、エリートプレイヤーになるためには必要なことです。しかしこれは、自分が有利になれる特定の状況狙って生み出し、その状況からプレイするのとはどう違うのでしょうか?

「レベルが高くないプレイヤーは相手と対戦するプレイになっておらず、そこからアドバンテージを得るべきなところを、ただ『反応』してしまいます」とグラハムさんは語ります。「その状況を理解するのではなく、自分がすべきだと思っている通りにプレイしてしまうのです。

「その違いは、戦略がなぜ機能するのかを理解せずに、ただのトリックとして使ってしまっているというところです」とチェンさん。

自分が置かれた状況を理解して行動するのが重要です。とは言っても、言うが易し行うは難し。実際にどんな状況に置かれても、それをすべて自分のアドバンテージにするなんてどうすればできるようになるのでしょうか?

チェンさんは「トッププレーヤーたちは相手プレイヤーの心理的状況を理解し、それを的確に利用します。トッププレーヤーたちはなぜそれが機能するのかを理解した上で調整を加えてより良くしていくのです」と語ります。

鍵となるのは記憶と、それをいかに素早く思い出すことができるかです」とグラハムさん。「最高のプレイヤーたちはどんなことにも気付き、それを重要性の高さに関係なくカタログ化します。すべてのラウンドでの、すべての状況を覚えているのです。」

脳を格闘ゲームのツールとして完全活用するには、トッププレーヤーたちのように素早く思い出す能力が必要でしょう。『誘き出し』や『条件付け』がなぜレベルの高いプレイで重要なのか理解するには、すべての状況、すべてのラウンドが意味を持ちます。

「いろんなビデオを見て、すべてのシナリオを覚えましょう。すべてのハイレベルなプレイヤーたちはそうすることで、プレイ中にフラストレーションを感じたり、ラウンド中に起きたことを忘れたりしないようにしています」とグラハムさん。

絶えず落ち着いて、相手プレイヤーとプレイし、過去起きたことから自分の今いる状況を認識することは難しいでしょうが、それらがエリートプレイヤーとそうでないプレイヤーを隔てるものなのです。

チェンさんは言います。「ゲームはトリックではなく、条件付けなのです」。




ゲーム画面の中に起こっていることを見るだけではなく、相手キャラクターを操る相手プレイヤーとの人と人との心理戦。そして自分の置かれた状況を理解して、相手には状況を間違って理解させる頭脳戦。

これを瞬間的に行うのはそう容易いことではないでしょうが、上を目指して日々努力を積み重ねていけば今よりも上へ上へと上り詰めていくことも可能でしょう。以前掲載した記事「認めたくなくともゲームのミスはコントローラーではなく脳のせい!」では、私たちの脳みそがゲームをどう理解しているのかが説明されているので、そちらも心理/頭脳戦の参考にどうぞ。


How To Get Better At Fighting Games -- Using Your Brain[via Kotaku]

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