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ホラー映画を怖がる人がいますが、画面の中のフェイクなモンスターやお化けを怖がっている場合ではありません。私たちは、現実社会に解き放たれている動物たちをもっと恐れるべきなのです。
今日は、io9が私たちの身近に潜む(かもしれない)脱走した実験動物10選を紹介します。
■ゴキブリ養殖場の100万匹のゴキブリ
衝撃的なタイトルです。ゴキブリを苦手とする人にとっては、タイトルだけで卒倒してしまうかもしれません。しかし、本当に恐ろしいのは、その逃げ出したゴキブリが病原菌だらけという事実です。
今、中国では漢方薬の材料となるゴキブリビジネスが盛んだそうです。粉末状にすれば、閉経、冷え症による不妊症、梅毒、小児の疳、悪寒、宿便、喉の腫れ、解毒、狂犬病...と本当に効果が立証されているのか疑いたくなるくらい様々な症状に効くと言われているらしく、繁殖率も高く飼育し易いために、ゴキブリビジネスに乗り出す人が少なく無いようです。
江蘇省大豊市に住むある男性も、そんなゴキブリビジネスに参入したばかりでした。男性は事件のあった前年に「ワモンゴキブリ」の卵を買い付け、100万匹以上を養殖していたのです。しかし、ある日、男性がゴキブリの世話に行くと、養殖場が何者かによって破壊されておりウジャウジャいたはずのゴキブリが1匹残らずいなくなっていたというのです。
このワモンゴキブリは漢方薬の材料として需要があると書きましたが、ゴキブリの表面には赤痢菌、サルモネラ菌、緑膿菌、寄生虫の卵等が付着しており病原菌のデパート状態。専門家は近隣の住民に対して「大騒ぎするほどのことではない」と話したようですが、一方で衛生への注意喚起と共にゴキブリの一斉駆除が行われたそうです。
■オレゴン国立霊長類研究センターのニホンザル
2009年の春、オレゴン国立霊長類研究センターで従業員がケージの扉を施錠し忘れ、そこで飼育されていた9匹のニホンザルが脱走しました。このニホンザルたちはBウィルスに感染していたため警戒されましたが、半数が直に捕獲されて実験室に戻され、残りのサルも程なくして捕まったそうです。
■フロリダのバーミーズパイソン(ビルマニシキヘビ)
東南アジアを原産とするバーミーズパイソンが、フロリダで大発生しています。原因は、ペットとしても人気の高いバーミーズパイソンを飼いきれなくなったという理由で無責任に野に放った人がいたことや、1992年に発生したハリケーン、アンドリューで研究室やペットショップ、動物園で飼育されていた動物が脱走し、その中にバーミーズパイソンも含まれていたからと言われています。
ハリケーンが原因で脱走した動物の殆どは間もなく死んでしまいましたが、パイソンに至っては、フロリダの環境が最適だったこと、他に天敵と言える動物がいなかったこともあり、見事に自然繁殖することに成功してしまったのです。
それだけでなく、バーミーズパイソンはフロリダのヘビをことごとく制圧し、今やフロリダのワニとプレデターの座ナンバーワン争いをするまでになりました。
実際、多くの野生動物が生息するエバーグレーズ国立公園で、バーミーズパイソンが大人のアメリカン・アリゲーターを丸飲みしたものの腹部が破裂した状態で死んでいるのが見つかっています。アミューズメントパーク天国で観光地としても大人気のフロリダですが、一歩間違えば『アナコンダ』のような体験をすることになってしまうかもしれません。
ちなみに、バーミーズパイソンがアリゲーターを食べて死んだ写真は、心臓の弱い方、グロが苦手な方には衝撃的かと思うので、リンク先だけ紹介しておきますね。
■サウスカロライナのジュラシックパーク再現実験
フロリダでバーミーズパイソンが大繁殖して問題になっている一方で、サウスカロライナでは実験室の外でパイソンが生き延びることが出来るのかを調べる実験をしてみたようです。
その実験方法は至ってシンプル。バーミーズパイソンを実験室の外に出したのです。とは言え、自然界に放流したのではなく、バーミーズパイソンの為に囲いの付いた広大な公園を作って、そこに無線タグを付けて放ちました。また、ジュラシックパーク同様に、放流されたパイソンは全てオスでした。
「生命が道を見つけて」いなければ、バーミーズパイソンは放たれた一世代だけで終わった...はずです。
■疫病のネズミ
2005年、ニューアークにある実験室から疫病の菌を持つ3匹のネズミが脱走しました。実験室の代表者は、「疫病の動物は直に死ぬ傾向があるので、心配には及ばない」とコメントしました。
当然ですが、スポークスマンが何と言おうと、ネズミだけでも病原菌の媒介者として恐れられているにも関わらず、それに加えて疫病です。直に死ぬと言いますが、ネズミの繁殖率の高さを考えてみて下さい。心配した方が良いに決まっています。
今のところ、目立った問題は出ていないようなので、実験室の代表者の言葉通り、本当に死んでしまったのかもしれません。しかし、もしかしたら地下に潜って逆襲の時を今か今かと待っている可能性だって捨てきれないのです。
■脱出の名人:ミバエ
研究室から脱走すると話題になる動物がいます。例えば、ゴリラ、ヘビ、疫病のネズミ...人々は彼らが脱走したというニュースを耳にすれば、一体何処に身を潜めているのかと気になるでしょう。しかし、それがミバエだったら、誰も気にも留めることはありません。
しかし、実験室で「脱出の名人」とも言われているミバエは、私たちが気付かぬ間に少しずつ少しずつ脱出し、自由を手にしているのです。
私たち人間は、実験室から逃げ出したミバエの集団、いや群衆の中を生きていると考えてもおかしくありません。それだけではありません。実験室から逃げ出しているということは、そのミバエがミュータントである可能性も否定できないのです。
英名:フルーツフライとも言うミバエはフルーツを好んで集る小さいハエで、1度発生すると際限なくやってくる、人間をイライラさせる虫です。
小さいので簡単に駆除でき、イライラする以外に目立った被害はないので、そこまで気にする人は少ないかもしれません。しかし、あなたの家の熟しすぎたバナナに集っているミバエは実験室から逃げ出した、もしくは逃げ出したものの子孫で、恐るべき能力を秘めたミュータントかもしれないのです。
■行動学実験のハト
ある実験室で複数の研究ハトが研究者の肩に乗っていました。しかし、誰かが窓を開けた瞬間に、外の工事の音に驚いたのかパーっと飛び去ってしまい、2度と戻ってくることはありませんでした。また、研究室のスタッフも彼らを再び見かけることは無かったのです。
この研究ハトはかつてレース用として飼育されており、研究室で行動学の研究に使われていました。きっと人間が考えているよりも遥かに賢かったのでしょう。
■マインドコントロールで人間を動かし、自由を手にするビーグル
ペットとしても人気ですが、個体差が少なく、多産で健康、食欲旺盛という理由で実験動物として使われることが多いビーグル。研究室では正確なデータが求められるので、保健所やシェルターから引き取ってくるのではなく、クローンや遺伝子操作を含め、徹底的に系統管理されており、実験室生まれ実験室育ち、実験室で死ぬという運命のビーグルが数多く存在します。
そんな悲劇のビーグル救おうという団体がおり、実験室を離れることができたビーグルに、いまだ囚われているビーグルを救うため、人間をマインドコントロールできるように訓練しているのです。
ビーグルたちのマインドコントロールの方法は次の通りです。訴えかける悲しげな目、鼻を人間の膝に押し当ててスンスン言わせる、実験室から開放された時に全身全霊で喜びを表す...。
これを読んでいる貴方は、マインドコントロール説などありえないと思うかもしれません。また、このリストにそぐわないと思うかもしれません。では、下の動画を見て下さい。見終わった時には、貴方もビーグルのマインドコントロールにかかり、彼らを救いたいと思うはずです。
■人間を翻弄するタコ
上の項でミバエを「脱走の名人」と紹介しましたが、タコも負けず劣らず脱走の名人です。しかも、タコはミバエと異なり、人間を欺き大胆な方法で脱出を試みるのです。
あるタコは、タンク周辺のパイプを破壊し、タンクの水を半分もぶちまけて連休中の水族館の床を水浸しにしました。また別のタコは、誰も見ていない時にだけ、タンクから身を乗り出し口から水鉄砲のように水を勢いよく排出して照明を消していたのです。水族館の係員は数週間もの間、誰が/何が電気をショートさせている原因なのか分からなかったそうです。
他にも実験室のタコがタンクに設置されている酸素処理チューブを通って毎晩脱走し、別の水槽まで這って行き、中を泳いでいた全ての魚を食べたという報告もあります。魚泥棒の犯人が映ったセキュリティカメラの映像を見て、係員は驚いたそうです。
タコの脱出は、「あくまで飼育されている水槽から出る」ところまでで終わってしまっていて、見つかると直に元の水槽に戻されてしまっていますが、おそらくそれすらタコの思惑通りなのでしょう。彼らの本当の目的は、人間を翻弄することなのかもしれません。
■サウスカロライナ、モーガンアイランドのサル
サウスカロライナにあるモーガンアイランドは、3500匹の野生のアカゲザルが生息することから、モンキーアイランドの別称で親しまれています。
アカゲザルは元々東南アジアに生息するサルですが、ポリオワクチンの試験を目的としてアメリカに輸入されてきましたが、どのような経緯かは定かではありませんが、Bウイルスに感染した3匹のアカゲザルが脱走し、モーガンアイランドで爆発的に増えたと言われています。
現在、この島はアメリカ政府の管理下にあり、生息する全てのサルにタトゥーやタグが施され、飼育されています。しかし、人間は何十年にも渡って、1年に1度だけ500匹を捕獲し、エイズウィルスや細菌兵器などの実験に使っているのです。
この関係が末永く続くのかどうか...、もしかしたらいつの間にか管理する側とされる側の関係がひっくり返るなんてこともあるかもしれません。
[via Death and Taxes, Planet Save, The Independent, Cascade Rescue, The New Yorker,The Augusta Chronicle, DefenseTech, Fruit Fly Behavior, Catching Animals]
10 Escaped Lab Animal Populations (And What They're Probably Doing Now)[via io9]
(中川真知子)
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