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サメ入り竜巻が人々を襲う『シャークネード』に出演したタラ・リードが、先日行われたインタビューで「『シャークネード』は起こりうる」と発言しました。
リードの発言を笑う人がいる一方で、The Vaneは彼女の発言を信じて、「シャークネードが実際に起こるとしたら、どの場所でおこるのか?」を科学的に検証してみたようです。
【どのような種類の嵐が必要か?】
『シャークネード』を実現させるのは、シャークネード(シャーク+トルネード)かシャークスパウト(シャーク+ウォータースパウト、水上竜巻)なのかを考えてみましょう。
ウォータースパウトは、海上に発生した積雲や積乱雲が伸びて回転しながら空気の柱を形成します。この回転する空気の柱の内部で発生した低気圧が水蒸気を凝縮し、滑らかなトルネードのような構造を作って行くのです。トルネードは形成する上で激しい雷雨を必要とするので、ウォータースパウトとは異なるものとされています。
また、激しい雷雨が水上で発生することで竜巻ができた場合もウォータースパウトと呼ばれますが、それはあくまで「トルネード的なウォータースパウト」です。通常、ウォータースパウトは60~70MPH以上の強い風は伴いません。なので、サメを巻き上げるということはほぼ不可能と考えられます。つまり、サメを含む水を動かすには、ウォータースパウトではなく、トルネードが必要ということになります。
【サメは何処に生息しているのか?】
サメはほぼ全域に生息しています。
【サメを巻き上げるトルネードは何処で発生するのか?】
上の項で、シャークネードは、ウォータースパウトではなく、トルネードである必要があるということがわかりました。つまり、陸地で発生したトルネードが海に移動してサメを巻き上げ、再び陸地に戻るという条件を満たす場所ということになります。
そこでThe Vaneのデニス・マーセラウ記者が以前アップした「64 Years of Tornado Tracks Look Like a Jackson Pollock Painting」のマップを参照していきたいと思います。
このマップには、過去64年に渡るトルネードの記録が記されています。そこから、藤田スケール(※)でEF3(建て付けの良い家でも屋根と壁が吹き飛ぶ。列車は脱線転覆、森の大半の木は引っこ抜かれ、ダンプカーなどの重い車でも地面から浮いて飛んだりするーwikipediaより引用)以上のトルネードだけを表示して、さらにサメを含む海水や陸地の人間を巻き上げる可能性のある沿岸寄りのものだけにします。
(※FEは1992年に発表された改良藤田スケールの測定値ですが、ここではより分かり易い藤田スケールの階級表に書かれていたF3からの想定される被害を参照しました。)
また、トルネードの発生には、南西から北東に移動するスーパーセル(凄まじいほどに発達したひとつの雷雲)が関係していることを示すデータが多いことから、ほとんどの湾沿岸は除外することにしました。
同様に、フロリダは、EF-3やそれ以上のトルネードが発生することが非常に稀(1966年にタンパから大西洋に向かってF4が発生したことがありますが)なため、フロリダも対象から除外しました。
そのようにして限定した地域の中から 「トルネードになるスーパーセルを形成」し、「海に移動」し、「再び陸に戻る場所があるアメリカの東海岸」を見て行くと...
東海岸で上記の条件を満たすであろう場所は、ノースカロライナとなりました。米国南東部の州の東側は、トルネードが発生する間に、空中に西からの強風と、表面に大西洋沖から強い南よりの風がふくため巨大でパワフルなトルネードが発生する理想的な場所と言えるのです。
ここなら、陸地でトルネードのようなスーパーセルが形成され、ノースカロライナ州のアウターバンクスの西の海峡に移動し、シャークネードとなって再びアウターバンクスに上陸するというシナリオが成立する可能性があるのです。
【アメリカ国内でシャークネードの被害にあう可能性のある具体的な場所は...】
ずばり、ノースカロライナのキルデビルヒルズでしょう。ノースカロライナはサメの出没率も低くありません。
いつの日か、キルデビルヒルズの人々は、サメを巻き込んだ恐怖のトルネードを経験するかもしれません。では合わせて『シャークネード2』のトレーラーもご覧ください
[shark-shaped storm map via SPC, all other maps by the author via The Vane]
(中川真知子)
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