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創作ファンタジーはメタリズムである!
ヘヴィ・メタルがサイエンス・フィクションと相性が良いのはもう周知のことと思いますが、SF映画や小説からインスパイアーされて作られた楽曲もあれば、読んでいて「あーこれはあの曲を思い出さずにはいられない!」となる作品などもあったりします。
一方、常に頭の中でディストーション・サウンドが響き渡っているメタラーには、人生そのものに鋼鉄主義「メタリズム」(今作った造語)が貫かれており、もう何を見聴きしてもメタルに直結してしまいます。
さらに文学や映画鑑賞も好きなメタラーであれば、それらの作品に触れることでさまざまな点と点が線で繋がり、その瞬間にヘドバンした時と同じくらいの脳内モルヒネが溢れ出てくるのDeath!
そんなワケで、今回は「io9」が7つ選んだ、史上最もヘヴィ・メタルしちゃってるSFストーリーやゲーム作品をご紹介します。動画も盛り沢山ですので、いつものようにスピーカーの音量はMAXでどうぞ!
■『イベント・ホライゾン』
1997年のアメリカ映画『イベント・ホライゾン』。処女航海で行方不明になり、7年ぶりに突如として海王星に姿を現したイベント・ホライゾン号。この宇宙船には空間移動装置「コア」が積み込まれているだけでなく、その「コア」には意思があることが次第に分かってくる、サスペンスとホラーの要素も入ったSF作品です。
7年前に乗り込んでいたクルーたちは、お互いに拷問をして殺し合った形跡があったり、救助部隊と一緒に同行した、「コア」の開発者がオカシくなってしまったりと、その「コア」が異次元世界からの地獄をもたらす使者だということが明らかになってきます。ウェア博士を演じたサム・ニールさんが魅せる血みどろ狂気の怪演が見どころの一本です。
静かなる宇宙空間で繰り広げられる地獄絵図は、その静と動のコントラストとビジュアル的なインパクトも強く、実は多くのヘヴィ・メタル・バンドが『イベント・ホライゾン』をテーマに曲を書いていたり、音をサンプリングして取り込んでいたりするのだそうです。
そのうちのひとつが、イギリスのブラック・メタル「アナール・ナスラック」というバンドです。まるで微生物かのようなネーミングですが、名前の由来は魔法使いの召喚呪文で、「蛇の吐息」という意味を持っているのだそうです。
そしてこの曲が、『イベント・ホライゾン』をサンプリングした「The Technogoat」。とにかく叫びまくっています。
■『ハイペリオン』シリーズ
SF・ホラー小説家ダン・シモンズ氏の『ハイペリオン』。惑星間を「ワールドウェブ」というもので繋ぎ、「時間の墓標」が存在する惑星ハイペリオンに巡礼する7人を描いたシリーズとなっています。
ここには、遠い未来に造られた生きている機械「シュライク」が登場します。『ハイペリオン』で描かれるのは、神出鬼没の魔物にして人類に裁きを下す神として、そのシュライクを崇める教団すらいる混沌の世界なのです。
3メートルを超える長身にして、全身が無数の棘や鋭い突起物、それに何層にも巻かれたカミソリの鉄条網で出来ている「シュライク」。時間と空間を操るだけでなく、肉眼では追えないほどの超高速で動き、殺される人間が防御の姿勢をとる前にはもう、死んでいるのです。
このキャラクターはまるで、ジューダス・プリーストが歌う『ペインキラー』そのもの。鋼鉄の翼を持つ半分機械のサイボーグ人間で、原爆よりもうるさく恐ろしい叫び声をあげ、レーザー銃の弾よりも速く移動し、人類は彼にひざまずくのです。
■『WARHAMMER 40,000』
元々はボードゲームだったリアルタイムストラテジーの『WARHAMMER 40,000』。近年のゲームではあるものの、こちらもまた『指輪物語』のJ・R・R・トールキンや、『クトゥルフ神話』シリーズのラヴクラフト同様、ヘヴィ・メタル音楽の歌詞などに影響を与えているのだそうです。やはり欧米にはミュージシャンもTRPGやMMORPGユーザーが多いのでしょうか?
細かな設定までよーく作り込まれている『WARHAMMER 40,000』ですが、その世界観を表すキャッチ・フレーズには「遠い未来の残忍な暗闇には、争いだけがある」というのがあります。こうしたダークなファンタジーはヘヴィ・メタルの楽曲にも良く出てきますよね。
天の川全域に散らばっていった人類は、その過程で神権政治が発展し、狂信的愛国主義者たちがエイリアン根絶を目指して戦う『WARHAMMER 40,000』。ワープと呼ばれる宇宙空間からは、人類の英知を超えた悪魔の存在や殺戮ロボット、その他あらゆる種族が襲来し、戦士やオークたちとその存亡をかけて戦うのです。
たとえばSF映画『スターシップ・トゥルーパーズ』や『イベント・ホライゾン』、『エイリアン』シリーズ、それにテレビゲームの『スタークラフト』といった作品からも、多くインスパイアーされているという『WARHAMMER 40,000』。この世界観からは、かなりヘヴィ・メタリズムが感じられます。
テクノロジーは物事を悪くするだけのものに成り下がり、終わりなき世界大戦の下で日々何十万人もの人間が抹殺される様子はグラインドコアにしてデスメタル。
そこにやってくるのが、イギリスのデスメタル・バンド「ボルト・スロワー(Bolt Thrower)」による、1989年のアルバム『Realm of Chaos』なのデス。しかもジャケットには、なんとも『WARHAMMER 40,000』的なカバー・アートが描かれているではありませんか。
ではここで、数多くのメタル・バンドに影響を与えたと言われる、「ボルト・スロワー」音楽を体験してみてください。
■『ヴィデオドローム』
デイヴィッド・クローネンバーグ監督による、1982年のカルト映画としてマニアから支持され続けている『ヴィデオドローム』。クローネンバーグ作品の中でも、『スキャナーズ』や『ザ・フライ』、『クラッシュ』などとも一線を画する、難解でいてエログロなSFホラーです。
その内容は、ケーブルテレビ局の社長マックスが、ふとしたことで人肉で出来た部屋の中で、マスクの男が拷問や殺人を繰り返す謎の海賊番組『ヴィデオドローム』の存在を知り、その狂気の世界に取り憑かれてしまう物語。
番組から送り出される信号により、視聴者の脳に腫瘍を生み出す効果を持った恐ろしい『ヴィデオドローム』ですが、実はその腫瘍が脳ミソに幻覚を見せつけるのです。
生肉のグロい表現が得意な、リック・ベイカー氏による特殊効果がモノを言うこの映画ですが、「生肉(フレッシュ)」を曲名にしたエクストリーム・メタル・バンド「ストラッピング・ヤング・ラッド」による一曲『All Hail The New Flesh』などいかがでしょうか?
クローネンバーグ監督と同じカナダ出身でもあり、アルバムのジャケットには電子回路のブループリントらしきグラフィックが描かれています。ビデオデッキの中もこんな感じになっていますよね。
■『狂気の山脈にて』
「io9」のダグ・ムーア記者がこの記事を書くにあたり、彼は編集さんからこのH.P.ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』を入れるよう強く勧められたのだそうです。話の内容は宇宙的なSFではないものの、南極大陸の奥深くで「古のもの」と呼ばれる宇宙生命体の化石が発見される、オカルティックなSFストーリーとなっています。
それに一応、「古のもの」が魔道書「ネクロノミコン」に載っていることもあり、『クトゥルフ神話』シリーズとのクロス・オーヴァーも匂わせるとあって、今回の記事に仲間入りさせても何の遜色もないと思われます。
「古のもの」は動物とも植物とも言える様相をていしており、人類よりもはるかに超越した肉体構造と科学技術を持っている存在として描かれます。我々の理解を超えた彼らの狂気と恐怖は「メタリカ」の元ベーシスト、クリフ・バートンがよく好み、『インスマスの影』を基に『THE THING THAT SHOULD NOT BE』、そして『クトゥルフ神話』を元に『The Call of Ktulu』といったインストゥルメンタル曲を書いています。
2本続けてどうぞ。
■『リドリー・ウォーカー』
SF作家ラッセル・ホーバン氏が執筆された、核戦争から2000年経った世界を綴った『リドリー・ウォーカー』。
舞台はイギリス。2000年も経った地上では、過去(つまり私たちの時代)の技術や道具は何か神がかった力が宿る魔法のようなものだと信じられているくらい遠い世界の話となっています。
主人公のリドリーは、村を追われる事件を起こしてしまい、外の街や村でさまざまな体験をしていきます。政府の嘘によって統治された世の中の、真実に迫るリドリーの冒険が見ものです。
小説では、その世界独自の言葉を使って出来事が語られる箇所が非常に多く、慣れるまでちょっと大変なのだそうですが、慣れてしまえばグイグイ引き込まれるそうです。
そしてこの本では、核戦争後からリドリーが産まれた時代までの歴史が詳しく語られるそうで、被曝しながら何世代にも渡り飢えや暴力が支配する世界を生き抜いてきた、ディストピアでの苦悩の年月が書かれていると言います。
その世界観から選ばれたのは、日本のデスメタル・バンド「Coffins」による『Mortification to Ruin』。直訳すれば「破滅への屈辱」となるこのタイトルは、退廃的な『リドリー・ウォーカー』と楽曲がマッチしていると言えなくもないかもしれません。
■『I HAVE NO MOUTH, AND I MUST SCREAM』
かのジェームズ・キャメロン監督が『ターミネーター』のために設定の一部をパクって謝罪したこともあるという、鬼才のSF小説家ハーラン・エリスン氏の作品。
その中でも彼が一晩で書いた『I HAVE NO MOUTH, AND I MUST SCREAM』は人類破滅後の世界が描かれています。タイトルを直訳するならば、「私には口がないが叫ばなければいけない」とでもなりましょうか。
中国、ロシア、アメリカ合衆国の冷戦中、各々が開発したスーパーコンピューターが人間より長けた戦術を編み出し、戦争が勃発。人類が壊滅的状況に陥った109年後の世界がこの物語の舞台です。
生き残った人間は5人の男性と1人の女性だけ。彼らは寄り添い合い地下で暮らし、「AM」と呼ばれるスーパーコンピューターから拷問され続け、不味い飯を与えられ続けられます。
今いる場所をから抜けだして、缶詰が大量に保管されているという氷の洞窟を目指して脱出する6人。そして追いかけてくる「AM」と争う内に、気が触れて他の仲間の顔を食べようとする男性。苦痛から逃れるべく自殺をしようとする人間を止める「AM」。これは極限の状態で発症する、人の狂気が書かれたSF作品なのだそうです。
とはいえ可哀想なのは滅ぼされた人類と逃げ惑う生存者たちだけでなく、生み出された瞬間から人間を憎むようになったそのスーパーコンピューター。小説の中では、繋げると387.44億マイルにも達する内蔵基板に、どれほど憎しみが刻まれており、今現在のコンマ何秒ですら人間への憎悪に満ち溢れているのかを吐露する場面があります。
そんな「AM」には、スウェーデン出身のエクストリーム・メタル・バンド「メシュガー」が歌う『Future Breed Machine』が似合います。未来の流血マシーンだなんて、ヘヴィ・メタルそのものですよね。
ということで、以上「史上最もヘヴィ・メタル魂を感じるSFストーリー7選」はいかがでしたでしょうか? 素直に「ナルホド!」と思えるものもあれば、「多少こじつけかなぁ?」と感じるものもあったかもしれません。
かつての記事「最高にクール&クレイジーだぜ! SFをテーマにしたバンド/ミュージシャン11選」や、「宇宙や未来が広がる、 SFをモチーフにした史上最高の楽曲いろいろ」でも見てきたように、古くからロックやヘヴィ・メタルはSFとの相性がとても良いのです。
剣と魔法、悪魔や地獄、ゾンビにクトゥルフ、宇宙空間に殺戮ロボットなどなど、映画や小説にそうしたモチーフが登場すれば、その作品はもうヘヴィ・メタル!!
読者の皆さんも、もしあの映画やこの小説からメタリズムを感じたぜ! というのが有りましたら、ぜひとも教えて下さいね!
Top 7 Most Metal Science Fiction Premises[io9]
(岡本玄介)
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