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どちらも同じロボットをテーマにしているのに、人間の関わり方ひとつで随分と(予算面で)違いがでるものです。今日は、そんなロボットという存在の本質を問いかけたくなるような「良質な低予算ロボット映画12選」を紹介したいと思います。
では、以下からio9が選んだ作品の詳細をご覧下さい。
■『サイレント・ランニング』(1973年)
『2001年宇宙の旅』の特撮を担当したダグラス・トランブルは、その特撮技術は認められていたものの、監督となると巨額の予算を引っ張ってこれる程の力があったわけではありませんでした。このブルース・ダーン主演のロボット映画は、全てが人工的に管理されている未来が舞台。植物は絶滅寸前で、残されているのは「植物保存計画」によって土星軌道の貨物船3隻の温室ドームにあるもののみ。
植物の重要性を知っているブルース・ダーンは、3体のロボットと共に植物保存に勤しむ日々を送っていましたが、ある時、地球から計画の中止と植物の破棄を命じられてしまい...。
低予算故に、撮影は限られた空間ですすめられました。しかし、3体のロボットと協力して植物の保存活動をし、友情を育む姿は、見る人の心を暖かくしてくれます。
■『ダーク・スター』(1975年)
コタクのSFネタにはほぼ出てくる、ジョン・カーペンター監督の『ダーク・スター』が再びリスト入りです。本作は、究極の低予算サイエンス・フィクション映画と言っても過言ではありません。ピョンピョン跳ね回る足が生えたビーチボールが宇宙飛行士の命を脅かすエイリアンだなんてジョークとしか思えません。
しかし、意思を持ち爆発する事を望むしゃべる爆弾クンや、その爆弾クンの説得を試みる男との会話のシーンは、本作を不滅の名作にするだけのインパクトを観客に与えました。
■『アンドロイド』(1982年:日本未公開)
アンドロイドのドン・キース・オッパーは、生みの親であるDr.ダニエルが新しく優れた女性アンドロイドを開発したことに嫉妬。しかし、Dr.ダニエルがアンドロイドで違法な実験をしている宇宙ステーションに、女性を含む3人の反逆者がやってきたことをきっかけに、アンドロイドたちは性的感情の嫉妬にかられ暴走し始めます。
素晴らしい作品と言うべきかは分かりませんが、間違いなく示唆に富んだ映画でしょう。
■『ターミネーター』(1984年)
ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター2』は、巨額の予算が投じられた映画ですが、元々の『ターミネーター』は、640万ドルという低予算で作られました。 しかし、低予算だからといって侮る事なかれ。怖さは『T2』にひけをとらないどころか、むしろ本作の方が怖いかもしれません。
■ 『チェリー2000』(1987年)
本作は、ひとりの男性が故障したラブドールを修理すべく、『マッドマックス』チックな世界に飛び込んで行く、テクノロジーと、愛、人との繋がりや執念を描いたカルト・クラシックです。メラニー・グリフィスが大きな銃を持って勇敢に戦う姿も必見。
■ 『ロボコップ』(1987年)
ロボット、低予算、最高というキーワードが出たら、真っ先に思いつくのが『ロボコップ』ではないでしょうか。主役であるロボコップ自身は、人工機具付きゾンビといったところなのでロボットとは言えないかもしれませんが、脇役とは言え、性能の低くターゲットを誤って人を殺してしまうED-209sの存在感はロボコップの魅力に引けを取りません。そう考えると、本作も間違いなく素晴らしい低予算ロボット映画と言えるでしょう。
■『ハードウェア』(1990年)
殺戮ロボットのマーク13の頭部を掘り起こした売人の男は、それを造形アーティストである恋人にプレゼントします。貰った頭部をアートプロジェクトに使用した恋人でしたが、マーク13は殺戮ロボとして見事に復活してしまい、方向性の違う『ターミネーター』のような展開に。名作とは言い難いかもしれませんが、捻りのきいた苅るとクラシックとして愛されている作品です。
■『Robot Stories』(2003年)
ロボットの赤ちゃんを育てる夫婦、病気の息子の為に壊れたロボットの玩具を修理したいと部品を探しまわる母、2体のロボットの禁断の愛、死別した女性をバーチャルで蘇らせた孤独な初老の男性...。本作は、23もの賞を受賞し本国アメリカでは高い評価を得ています。日本ではそれほど話題になりませんでしたが、ロボットと人間の関係を考えさせられる良い作品です。
■『キャシャーン』(2004年)
正直、役者は、この作品が本リストに入っていることに少なからず驚きました。まず、制作費6億円は邦画としては高い部類なので、この作品が低予算映画としてランクインするなんて考えていませんでした。そして、このリストに登場している他の映画と比較すると、驚く程豪華キャストです。
しかし、冷静に考えてみれば、ハリウッドレベルで6億円なんて低予算。また、日本国内では有名俳優ばかりでも、残念ながら他国での知名度は無いに等しいのが現実でしょう。それにしても、ほぼ全編グリーンバックで撮影されたCG使いまくりの『キャシャーン』が、ジョン・カーペンター監督の大学時代の作品を長編化した『ダーク・スター』と同列に扱われるというのは面白いですね。
■『月に囚われた男』(2009年)
サム・ロックウェルのプロモーション映像とも言える、ダンカン・ジョーンズ監督の低予算映画『月に囚われた男』。本作も、『チェリー2000』や『ダーク・スター』同様、io9のSF系まとめ記事ではお馴染みです。サム・ロックウェル演じるサム・ベルと、ケヴィン・スペイシー演じるゲーティの関係と、物語が進むにつれて変化するゲーティは繊細かつ巧妙で、見る者を飽きさせません。
■『素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー』(2012年)
少子高齢化が進めば、このようなロボットヘルパーと暮らす老人が登場してもおかしくありません。高齢化社会問題は暗くなりがちな話題ですが、この映画を見れば少しだけ明るく、そして前向きに捉える事が出来るかもしれません。人間が追い求めるロボットとの関係をリアルに描いた近年稀に見る良作と言えるでしょう。
■『ザ・マシーン』(2013年)
近未来では、中国と西側諸国が冷戦状態に陥っており、英国国防省はアンドロイドの開発に乗り出すことに。しかし、完成したアンドロイドはしばしば暴走、計画は暗礁に乗りかかってしまいました。そんな中、研究員のひとりの女性が中国側にひん死の重傷を負わせられてしまいます。
彼女を救う為に脳のデータをアンドロイドに移植して蘇らせる研究員。しかし、その女性の脳を得たアンドロイドは、次第に人間の感情を学び、恋にも目覚め始めます。一方で、国防省は完璧な殺人マシーンの完成を求め、人間の心を持ったアンドロイドのデータの書き換えを計画しますが...。
人間の感情を持つ最強の殺人マシーンというコンセプトは使い古された感が否めません。しかし、人工意識は人間との関わりを通じてプログラムされるという概念や、殺人マシーンを武器として利用しようとする輩の登場、そして、ロボットが人の心を持つ事を阻止しようとする方法等、ロボットを中心とする周囲の動きの捉え方は正確と言えるのではないでしょうか。
ソース: Cyberpunk Review, IMDB
12 Low-Budget Robot Movies That Are Better Than Transformers[via io9]
(中川真知子)
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