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米軍がアイアンマンスーツ実現のためにハリウッドの制作会社を雇用

2014/07/12 23:00 投稿

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米軍がアイアンマンスーツを作ろうと動き出したとio9が伝えました。

残念ながら、アイアンマンスーツの生みの親であるトニー・スタークの協力を得る事は不可能なので、ハリウッドの制作会社を雇ったそうです。


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サイエンス・フィクションに登場するスーツを実際に作りたいからと言って、ハリウッドの制作スタジオと組むことが最善なのでしょうか?

米軍が雇ったのは、『アイアンマン』のコスチュームを作ったスペシャル・エフェクトチームのLegacy Effects。同スタジオの協同創設者であるリンジー・マクゴワン氏は「非常に困難な仕事です。誰かの命を預かるということなのですから」と話しました。

この内容を報じたウォールストリート・ジャーナルによれば、米軍が進めるProject TALOS (Tactical Assault Light Operator Suit)の為に雇ったのは、Legacy Effectsの他に、相撲の力士があの大きく重い体を使ってどのように戦っているのかを研究しているカナダの会社や、中世のアーマーを研究しているフロリダの研究者、そして麻痺患者の歩行を可能にする外骨格のデザインで知られるEkso Bionicsといった会社。

気になるLegacy Effectsの役割は、3Dプリンターでボディーアーマーのデザインのラピッドプロトタイプを作ること。

これらデベロッパーは、6月下旬の段階で、既に幾つかのプロトタイプを米軍に披露したそうです。「現在、我々が抱えているプロジェクトは、外骨格、小気候冷却ベスト、ヘルメットをサポートする脊柱です」とウォールストリート・ジャーナルに語ったのは、プロジェクトマネージャーのブライアン・ダウリング氏。「この形状や機能だと、人間の体が特別変わって見える事は無いでしょう。しかし、今日の兵士と比較すると、やれることや技術は劇的に変化します」と続けました。


米軍がアイアンマンスーツ実現のためにハリウッドの制作会社を雇用1.jpg

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【現在】

ヘルメット:基本のヘルメットは弾丸、榴散弾、爆発からの防御。ナイトビジョンゴーグルを装備する兵士も多い
ボディアーマー:動き易さを重要視するため、要となる臓器を守る限られたボディアーマーを着用
下半身:現在のユニフォームでは、あまり保護されない
ギア:現在、米兵は、グレネード、ナイフ、ラジオ、弾薬、雑誌、そして懐中電灯を含む125ポンド以上のギアを運ぶことが可能


【未来】

ヘルメット:バイザー、センサー、Googleグラスタイプのインターフェースが内蔵されており、兵士は隠れた脅威にも対応可能
冷却システム:スーツには冷却システムが含まれ、体温調節することが可能
モーター式外骨格:スーツはモーター式の外骨格のようであり、数百ポンドのボディアーマーやハイテクコンポーネントを運ぶことが可能
パワー:小さなエンジンで稼働可能になるだろう
ボディアーマー:防護率が飛躍的に上がり、肢に渡るまで守ってくれるだろう


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『スターシップ・トゥルーパーズ』や『アップルシード』などのサイエンス・フィクションに見られるハイテクパワーアーマーは、ここ数十年の米軍の目標でした。そして、これまでにも何億円という資金を投入してはプロトタイプを作り、失敗を繰り返して来たのです。

WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)によれば、この最新のプロジェクトは、2012年12月に、米軍最強のエリート集団SEAL Team6のメンバーが東アフガニスタンで武装グループに拉致されたコロラドの医師を救出する際に、特殊部隊員1人が命を落としてしまったことがきっかけとなったのだそうです。

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医師を救出する際、1人の特殊部隊員が撃たれて命を落としました。それ以降、2011年にパキスタンでオサマ・ビン・ラーディンの殺害に成功したSEAL Team6を監督したアメリカ特殊作戦部隊コマンド司令官のウィリアム・マクレイヴン氏は、より防護力のあるものを持つ必要性があると強く感じたのだそうです。


「それは偶発的な出来事でした。私たちは一歩下がって考えたのです。「長期的なビジョンはなんだろうか...?」そして、我々は、今のアプローチで出来る限りのことをして来た。今こそ新たなる一歩を踏み出すときではないかという結論に至ったのです。」と調達プログラムを監督するペンタゴン役員のジェームズ・ガーツ氏は話しました。


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しかし、5月の初期プロトタイプのテストで、その踏み出すべき一歩が途方もない距離になるということが判明したのです。試験員は、脚に合金の装具をつけて走るのに悪戦苦闘、それだけでなく、外骨格のモーターは常にギアを蹴り出していました。

また、動力の問題もありました。研究者によれば、軍が望むスーツを動かすには365ポンドのバッテリーが必要になるだろうとのこと。「『アイアンマン』がアークリアクターを使っているというのは正しいんですよ。これを解決出来る人がいたら最高なんですけどね。」 とEsko Bionicsの協同創設者であるラス・アンゴールド氏は冗談を交えながらコメントしました。

TALOS programは、ペンタゴンの出した当初予算の8000万ドルで最終目標の「独立型機能コンバットスーツのプロトタイプ」を2018年の7月までに開発する計画です。しかし、ある国防産業の役員は懐疑的な意見を述べているとMilitary Newsが伝えているようです。

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成功させる為には、10億ドルは必要でしょう」と話すのは、巨大な国防軍組織に務めた経験もある経験豊富な産業役員。匿名を希望するこの人物によると「年間2000万ドルのR&D予算では、ハイテクペンの1本も開発出来ないだろう」と言うのです。


これは随分と冷笑的に聞こえるかもしれませんが、米軍のスマート・ソルジャー・テクノロジー開発の業績を考えると的を得ていると言わざる終えません。現状のものは、ネット・ウォリアーの愛称で親しまれている安全なスマートフォンデバイスを装備したもので、リーダーは、デジタルマップ場に表示されるアイコンで、自分と部下の距離を把握したり、衛星画像を見たり、テキストメッセージを送る事が可能となっています。


このテクノロジーのお陰で、以前にもましてより決定的な行動がとれるよう、戦術的環境のためにリーダーが正確な位置を把握出来るようになりました。


しかし、このプログラムでさえ、実用化は簡単ではありませんでした。個々の兵士が各種戦術情報を共有し、的確に攻撃目標を把握してダメージを最小限にしつつ、最大限の効果をもたらすことを目的として開発が進められている米軍初の次世代統合型歩兵戦闘システム「ランドウォーリア」は、1996年の立ち上げ以降、2006年にシステムの致命的な問題を解決するまでに、3つの主な契約裁定に5億ドルも費やしているのです。



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先日、下院軍事委員会は、以前のコスト超過を意識して最新の取り組みの状況を監視することを提案しました。しかし、軍役員は今回は今までとは違うと主張しています。プロジェクトマネージャーは、デベロッパーのシンクタンクを組み立てるといった従来の軍需産業へのアプローチを変化させることで、時間と予算を節約したいと考えているようです。

最後に、マクゴワン氏は次のように語りました。「これは飛んだり赤や金と言った物でもありません。しかし、歴史に刻まれることとなるでしょう」

[Via Wall Street Journal via io9

中川真知子

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