『Watch Dogs』では、携帯電話やATM、防犯カメラ、コンピューター、自動車などの電子機器をハッキングしながら物語を進めていくわけですが...そのやり方が、どれほど現実のソレを似ているのかを検証している動画があります。
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そんなモノまでハックできるの? というものも在れば、陰謀次第では、もしかすると国全土を混乱させる可能性も? という手口まで!
たとえば、グーグルで検索しただけでも何百ものプロテクトが掛かっていない防犯カメラにアクセスが可能で、場合によっては自分で上下左右に動かしたり、ズームイン/アウトまで操れるものもあるのです。ご近所さんの防犯カメラか、それとも遠い外国のカメラか、アクセスされたほうはプライバシーやセキュリティーが丸ハダカにされてしまいますね。
次にカメラにアクセスできなくとも、クラウドにアクセスするという方法もあります。たとえば、Wi-Fi経由でスマートフォンにハッキングすると、バックグランドで起動しているアプリからデータを送受信して、マイクロフォンにカメラ、アドレス帳だけでなく...場合によっては起動しているGPSから位置情報まで分かってしまうんです。
ブランドン・オコーナー氏が、セキュリティー調査のためにと開発したデバイス「F・ファーム」を使うと、スパイウェアが電話内の個人情報を全部抜き取ってしまいます。実験的にお天気アプリをスパイウェアとして仕込ませた本人がアクセスしてみると、何処で何をやっているのかが丸わかりになってしまいました。
オマケに、もしも空中に放ったドローンから無料Wi-Fiを飛ばし、そこにアクセスした人のデータを吸い取ったりしたら、個人情報抜き取り放題になってしまう危険性も...! さらに、知らずにネットバンキングを利用しようとユーザーIDとパスワードを打った時に、ハッキングされていたらもう一発で無一文ですね。
これはお金目的のハッカーだけでなく、仮に個人情報を抜き取りたい敵国がスパイウェアをバラ撒き、各人のスマートフォン操ったりしたら...考えるだけでも恐ろしいです。
最近ではワイヤレスで操作できる洗濯機や冷蔵庫、体重計といった家電もありますし、ペースメーカーなんかもスマホと連動が可能になっています。すでにハッキングが確認されているペースメーカーは、リモート・コントロールで停止もできれば、830ボルトの電流を流すことだって出来ますし、インシュリン自動投与装置もまた、好きなように致死量を打てるようになるというから、これまた怖いことです。
手のひらサイズのデバイスで、自動車が操れるのもまた現代に潜む恐怖です。エンジンのオン/オフだけでなく、ブレーキを利かなくさせたり、ハンドルを切ったり、本当はガソリンが無くなりかけているのに、満タンに入っているように表示させたりも可能なんですって。
他にも、スマートフォンの加速度センサーを利用すれば、デスクの上でカタカタ打たれたキーボードの振動を解析し、どのキーを打った(つまりどんな文章が打たれた)のかというのもバレてしまう技術が確立されているというから驚きです。
かつて最も有名だったクラッカー、ケヴィン・ミトニックは、電話回線やスーパーコンピューターをクラックしていただけでなく、人との会話でカマをかけたりわざと自分が間違った情報を言って相手に訂正させたりと、人の心理の裏をかいた「ソーシャル・エンジニアリング」という詐欺的な手口の優秀な使い手だった人なんです。
動画でしゃべっていたジェイクさん、最後は現代テクノロジーで作られたガジェット類よりも、本当に脆いのは人の心ではないでしょうか? と締めくくられています。手持ちの通信機器なら、セキュリティー用アプリで防御できますが、人間の心理となると用心は難しいものです。
一見して荒唐無稽でゲームの中だけの話かと思ってしまう『Watch Dogs』が、どれほど現実的なのかが、こうした現代のハッキング技術でお分かりになったかもしれません。まぁ、さすがに携帯電話一つで街中すべてをコントロールはできないにしても、クールなゲームですよね。
(岡本玄介)
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