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しかし、そのバットモービルの登場に先立つこと約3年、知られざるバットモービルが存在していたのです。およそ50年にもわたり、忘れられた存在となっていたバットモービル。今回は、史上初めてのバットモービルの再現に成功した、ある自動車修理工のお話をご紹介します。
これが1963年(あるいは64年)に製作された、バットモービルの復元された姿。
伝説的なカスタムビルダーのジョージ・バリスによって生み出されたアダム・ウェスト版バットモービルが、リンカーン・フューチュラをベースとしていたことに対して、こちらのバットモービルは1956年式のオールズモビル88をフレームに使用しています。
もっとも、映像作品として史上初めて登場したバットモービルは、1943年公開の映画『ザ・バットマン』に登場したバットモービルがあるのですが、こちらは黒いキャデラックを無改造のまま使用したもの。オリジナルの車体を持つバットモービルとしては、おそらくこれが公式に使用された初めてのバットモービルだと思われます。
ところがこのバットモービル、映像作品に登場することはなく、アイスクリームやフルーツドリンクなどの販促のためにローカル使用されていたというもの。そのバットモービルは現在では見る影もなくボロボロになっており、なんとeBayに出品されていたのだそうです。
ご覧のとおり、無残なまでに風化しています。
この車体をサクラメントの自動車修理工場「Borbon Fabrications」代表のMario Borbonさんが購入し、持ち前の技術で当時のままに復元したのが、ご覧のバットモービルです。
Whikipediaによれば、このバットモービルはDCコミックのバットマンに触発されたニューハンプシャー州の若者によってカスタムされた車体で、制作されたのは1960年頃と見られています。
しかしその後、「オールスター・デイリーズ」というフードメーカーによってレンタルされ、DCコミックス公式の販促用バットモービルとして使用されることで、バットマンカラーにリペイントされたそうです(おそらく、この時期が1963年か1964年頃だと思われます)。
こうして誕生した初代バットモービルは、東海岸の小さな町で販促のためのツアーモデルとして利用されました。その後は所有者に返却されましたが、「Borbon Fabrications」に買い取られるまではファンにも知られることなく、約50年もの間、忘れ去られた存在となっていたということです。
ジョージ・バリスのバットモービルが男性的なデザインとしたなら、このバットモービルは上品で女性的なフォルム。Vラインを描くリア部分となだらかな曲線を描くリアサイド、そして一枚のみで表現されたバットウイングがとても優雅です。
知られざる『バットマン』ストーリーとして興味深いエピソードですが、もしBorbonさんの目にとまることがなければ、きっと初代バットモービルは廃車の運命をたどっていたことでしょう。名作といわれる作品には、必ず運命的といえるエピソードが生まれるものですね。
BaT Success Story Part II: The Pre-Barris Batmobile Completed [Borbon Fabrications]
BaT Success Story: The Pre-Barris Batmobile Gets Wings [Borbon Fabrications]
Pre-Barris: The First 1964 Batmobile [Borbon Fabrications]
(キネコ)
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