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アメリカの軍事専門家が語る「ゴジラを戦争で有効活用する方法」

2014/05/11 22:00 投稿

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アメリカの軍事専門家が、日本が世界に誇るキングオブモンスター『ゴジラ』を戦争に活用する事を提案しているとio9が伝えています。
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不真面目で突飛な話に思えますが、アメリカ海軍大学校のジェームズ・バトラー教授は、真剣に「ゴジラ方法論(バトラー教授命名)」を説いているのです。

まず、最初に伝えなければいけないのは、バトラー教授は、「ゴジラを開発して戦争で使おう」と主張しているのではありません

彼は、ドイツの研究者カール・フィーリプ・ゴットリープ・フォン・クラウゼヴィッツが『戦争論』で説いた歴史的軍事倫理の概念である「重心」の特定が戦争で勝つ上で非常に重要であり、その見極めを誤ってしまうと、時間・資金、並びに軍の面で多大なる犠牲を伴うと主張しており、故に、如何にして「重心」を特定するべきかを提案する上で、「ゴジラ方法論」を掲げているのです。

(ちなみに「重心」は、オリジナルのドイツでの捉え方や、『戦争論』の翻訳者の解釈によって捉え方は幾つかありますが、本記事では「それを打倒することにより決定的な影響を与えることができる戦力の配置」と考えます)


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アメリカの軍事専門家が語る「ゴジラを戦争で有効活用する方法1.jpg

ゴジラを戦争で有効活用するなら


数年に渡って、司令官とそのスタッフは重心の特定に頭を悩ませてきました。もし、敵が幾つかの強力で手強い軍勢を抱えていたとしたら、プランナーはどの軍勢が重心だと判断すればいいのでしょうか? 例えば、敵の勢力源は、強力な軍隊、優秀な海軍、手強い空軍を含むかもしれません。どの軍勢に最大限の力を注いで攻撃、無力化、また破壊すべきなのでしょうか?


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そこで活躍するのがゴジラです。バトラー教授の「ゴジラ方法論」の基本的な主張は以下の通りです。

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ゴジラが初めて日本を恐怖に陥れたのは、1954年の『ゴジラ』でのこと。このモンスターは、世界中の文明に大混乱をもたらしました。太平洋での原爆テストの結果で出現したとされる空想上の怪物は、破壊者と擁護者の両方の顔を持ちます。


例えば、彼は船を沈没させ、航空機を墜落さえ、街すら破壊するその一方で、他の架空のモンスターたちから人間を守る英雄としても描かれているのです。


つまり、ゴジラは多目的攻撃兵器なのです。攻撃面でも防御面でも、世界中至る所に配置することが可能なゴジラは、歩く水陸両用機であり、陸海関係無しに敵軍を効果的に撃退することが出来るのです。


「ゴジラ方法論」の基本的な前提は、この架空の怪獣を、どの目標に攻撃を仕掛けるべきかを決定づける為に利用するということです。まず、ゴジラは1回の攻撃で重心と想定される部隊のひとつを壊滅出来ると考えます。


そして、ゴジラに攻撃させた場合を比較することで、どの部隊、部署が重心であるかを特定するのです。重心が特定出来れば、後はどのように(敵側の重心を)攻撃すれば良いのか、また、(味方の重心を)防御すれば良いのかの計画に入ればいいのです。


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アメリカの軍事専門家が語る「ゴジラを戦争で有効活用する方法2.jpg

日本軍がもしゴジラを兵器とし所有していたら


では、バトラー教授の挙げた例に当てはめて考えてみたいと思います。

第二次世界大戦中、太平洋で連合軍と戦っていた日本軍が、ゴジラを所有していたとします。島を奪取し飛行場を建設しようと日増しに攻撃を強める連合軍に対して、日本はどのような行動をとれば良いのでしょうか。潜水艦・航空機・水陸両用機の何れかが連合軍の重心だと仮定して、ゴジラに攻撃の指令を出します。


第一指令:ゴジラに敵軍の潜水艦を破壊するように伝える

結果:効果無し。連合軍は陸海空軍連携で島を強奪出来る


第二指令:ゴジラに連合軍の作戦地域の基地航空機を破壊するように伝える

結果:効果無し。連合軍は残った勢力で殺戮、島を占領することが出来る。


ゴジラは母艦や火力支援部隊を攻撃することも可能ですが、それらも重心とは言えません。


第三指令:ゴジラに連合軍の作戦地域の陸海共同攻撃部隊を破壊するように伝える

結果:成功。この場合、本部隊のみが連合軍を島に上陸させることが出来ます。航空機・戦艦・潜水艦は島を占領したり領土にすることは出来ません。これで重心は破壊されたと言えます。

また、バトラー教授は、ゴジラ方法論は日本軍の重心を特定する上でも役立つと主張しています。手順は敵側の重心を見極めるのと同じです。自分たちが保有する部隊をひとつずつゴジラに攻撃させた場合を想定して、どこを重点的に守るべきかを考えるのです。

この例では、太平洋の島の奪取が明確な目的とされている為、陸空合同攻撃部隊が重心だと結論づけていますが、実際の戦争では、こんなに単純に見極められないのではないでしょうか。

しかし、(リストを作って消去法で重心を特定すると言えば1行で済むにも関わらず、一々脳内にゴジラを登場させて攻撃させる作業が必要かどうかは別として)ゴジラを戦争に活用するというアイディアは面白いですね。

ジェームズ・バトラー教授の「Godzilla Methodology: Means for Determining Center of Gravity」はJoint Force Quarterlyで全文を読む事が出来ます。興味が或る方は是非チェックしてみて下さいね。


U.S. Military Expert Unveils a Strategy for Deploying Godzilla in War[via io9]

中川真知子

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