ハイファッションに身を包んで、何かから逃げる美しいモデル、ナイフを片手に怯えるモデル、頭から血を流しながら絶命するモデル...。ホラー映画のワンシーンを、美しさだけで構成したような画像です。
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ただ、イタリア版ヴォーグが込めたメッセージの為に、否定的な意見も出ているみたい。
イタリア版ヴォーグの2014年4月号の「Cinematic」のテーマは、暴力とファッション。同号のイントロには、「ファッションと政治間の見せかけの不和合成は、心理的な報道規制に達してきており、伝えないことで犯罪に加担している」と書かれています。そして、それをぶち破ろうとしたのが、昨今の過激な特集に繋がっているのだそうです。
イタリア版ヴォーグは以下の様に伝えています。
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メディアから批判をされようと、抗議されようと、私たちのやり方を押し付ける為に雑誌を利用していると非難されても構いません。
重要なことは、日々、ドメスティック・バイオレンスで苦しんでいる女性の内、たった数人にでも、私たちが彼女たちに寄り添っているということを感じてもらうことです。そして、同調してくれる人たちが行動を起こし、糾弾し、悲惨な目にあっている女性を支えてくれる様になるのを望んでいます。
イタリア版ヴォーグで働く全ての人は、あらゆる種類の暴力に対して否定的で、徹底的に糾弾していく姿勢です。この意識を、私たちの方法で形にしたのが、この「Cinematic」なのです。
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イタリア版ヴォーグのドメスティック・バイオレンスに対する姿勢は素晴らしいものですが、少し伝え方が中途半端だったのかもしれません。その証拠に、Jezebelには「イタリア版ヴォーグには辟易している」といったようなコメントが多数寄せられています。
また、記事を担当したカリー・ブースマン記者も次のように記しています。
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「『シャイニング』のシーンをプラダのドレスを着たモデルで再現したところで、どうやってドメスティック・バイオレンスに反対だとか、被害者の味方だというメッセージに繋がるのでしょうか?
特集のタイトルは「Cinematic」だそうですが、ドメスティック・バイオレンスを映画の撮影カメラのフィルターや編集部のフィルターを通して見ていると言うことでしょうか。事態を軽視しているのではないでしょうか?」
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なんというか、イタリア版ヴォーグが目指すこととは180度違うイメージになっているような気がする「Cinematic」ですが、見た人に疑問を投げかけることには成功しているのではないでしょうか。
Images via Vogue Italia.
Vogue Italia Trivializes Domestic Violence With Glam Fashion Shoot[via Jezebel]
(中川真知子)
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