刺激を与えると固まって、静かにすると液体になる。そんな不思議な物体『マジック・マッド』を、ジャガイモから作ってみましょう。
そんな提案をしているのは、ウイークエンドの科学実験を提唱しているグラント・トンプソンさん。キッチンで、ちょっとした「でんじろう先生」気分を味わってみるのも楽しいかもしれません。
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まずはジャガイモを多めに用意します。フードプロセッサーを使うと簡単なんですが、ここでは動画にしたがい、包丁を使って『マジック・マッド』を作る方法をご説明します。
綺麗に洗ったジャガイモを皮のまま細かく刻み、大きめのボールに移して、お湯を投入。水が赤くなるまで数分間、よくかき混ぜます。ザルを使ってジャガイモを濾し、10分ほど放置すると、溶けだしたデンプン質と水分が分離されているはず。
ここで上澄みの水を捨てますが、分離されたデンプン質には汚れが混ざっているので、あとはそれをクリーンにするための作業に移ります。
上澄みを捨て、残ったデンプンに綺麗な水を注いだら、密閉できるフタのついたビンに移して、よーっくシェイクします。それをさらに10分ほど放置すると、不純物が中央部分に分離されますので、それを上澄みの水と一緒に流してしまいます。
ご存じの方もいると思いますが、マジック・マッドの正体は、ダイラタンシーと呼ばれる現象を利用した非ニュートン流体の一種で、ダイラタント流体と呼ばれるもの。物理学者のオズボーン・レイノルズが発見した「膨張の原理」による現象で、圧縮力が働くと粉粒体が個体のような抵抗を示し、放置すると、逆に液体のように変化するという現象を利用したというわけです。
動画の後半では、マジック・マッドをブラックライトで光らせるための説明が行われますが、これまでの作業で、ダイラタント流体そのものは完成しています。
待ちきれない人は、この段階で遊んでみてもいいかもしれません。
と、ここでひとつだけ注意点。2日間乾燥させて、パウダー状になったデンプンを少量のトニックウォーターで溶かすことで、ブラックライトで発光する「マジック・マッド」が完成すると説明されていますが、これはトニックウォーターに含まれたキニーネが反応するからなんですよね。
でも日本ではキニーネは劇薬指定されているため、国内でキニーネを含有するトニックウォーターを入手することはできません。
じゃあ、日本で同じ実験を再現できないの? ......といえばそうではなく、実はキニーネと同じキナ科の樹皮から抽出されるキナ抽出物は「既存添加物」として厚労省にも認可されており、一部のトニックウォーターでも同じようにブラックライトで発光することが確認されています。
ということなので安心して、ブラックライトで発光するサイケデリックなマジック・マッドを楽しんでみてください。マッドはマッドでも、「MUD」じゃなく「MAD」な気分が味わえること請け合いです。ちなみに、コーンスターチを使っても同じマジック・マッドを作ることができますよ。
そうそう。残されたポテトは捨てずに調理して、美味しくいただきましょう!
How To Make Magic Mud - From a Potato! [YouTube]
(キネコ)
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