宇宙に投げ出されてしまった人たちの苦労を描いた『ゼロ・グラビティ』は、映画と分かっていても、見ている人達に無の恐怖を感じさせました。実は、あれと同じようなことが2006年にあったようなのです。
といっても、誰かが宇宙に投げ出されて、制御不可能状態になってしまったとかではありません。廃棄処分予定だった宇宙服を再利用し、宇宙服衛星にしたそうです。しかし、宇宙服が飛ばされて行く様子は、『ゼロ・グラビティ』そのもの。見ていると不安になって来ると思います。
というわけで、今回は、Sploidが伝えたスーツサット1を紹介したいと思います。それでは、以下からドキッとするGIFと動画、詳細をどうぞ。
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国際宇宙ステーションを離れ、回転しながら飛んで行く宇宙服と、その様子を追うカメラ。『ゼロ・グラビティ』のサンドラ・ブロックの鬼気迫る演技を見た人なら、この中に人が入っていたら、どんな状況になっていて、これからどんなことが起こるのか考えてしまうでしょう。
これは、2005年に浮上したゴミとして処理されるはずだったロシア製オルラーン宇宙服に、無線機や電池、制御機器等を搭載して宇宙服衛星にするという計画が、2006年2月3日に実行された時のものなんです。国際宇宙ステーションから飛行士によって船外に投げ出された宇宙服衛星は、無人と分かっていても人型をしているだけでドキッとさせられますよね。
では、ローンチの様子を下の動画でご覧ください。
Wikipediaによると、この衛生には、ロシア、スペイン、ドイツ、フランス、アメリカ、日本の学生達が録音したメッセージ等や300枚以上の Robot 36 形式 SSTV画像等を自動送出しており、受信を報告すれば各国のアマチュア無線連盟から記念QSLが発行される上に、メッセージの中に含まれている合い言葉を聞き取ることが出来れば特別賞も与えられる予定だったそうです。
しかし、地球を2周したころにはリチウムイオン電池の問題が発生し、簡単の受信できない局となってしまいました。そして、2月17日には電池の消耗によって活動が停止状態になり、9月にはオーストラリア沖で大気圏に突入し、消滅してしまったと考えられています。
なお、この1号機の失敗を踏まえて、2号機の計画もあったようですが、宇宙服の廃棄スケジュールの関係で実現しなかったのだそうです。なんだか残念ですね。
[via SPLOID]
(中川真知子)
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