世の中には、発音の難しい呪文を唱えるものや念じるもの、手に入りにくいアイテムを次々と釜に放り込むようなものまで、数えきれないくらい魔法や儀式が存在し、その効果を信じる人達が世界各国に沢山居ます。では、どんな魔法や儀式を人は信じてしまうのでしょうか?
ブラジルで行われた調査によると、多くの人が手順が多く、何度も繰り返さなくてはならない魔法や儀式を信じやすいという結果が出たそうです。詳細は以下より。
オースティンにあるテキサス大学心理学学部のクリスティーヌ・レグリー助教授は、「人間の認識作用の注目すべき特徴のひとつは、自分を取り巻く環境を説明する際に超自然現象を用いるということである。」と主張しており、「儀式の特性は進化した認知システムの産物である」と考えたそうです。
そこで、その意見を証明する為にレグリー助教授と大学院生のアンドレ・ソウザさんは、禁煙から厄除に至るまで様々な儀式が盛んに行われる国ブラジルで、162人を対象に「人々が何をもって魔法や儀式の有効性を測っているのか」を調べる実験を行いました。
実験は、使用するアイテムや繰り返す回数、宗教的象徴、期間の異なる数種類の儀式の有効性を回答者に評価してもらうというもの。下に評価対象となった「哀しみを和らげるまじない」を紹介します。
金属容器に白い薔薇の葉を入れる。その後、葉に火をつけて燃やす。燃えてしまったら葉から出た灰を取り出し、小さなビニール袋の中に入れる。このビニール袋を交差点に置く。この手順を7日間繰り返す。最も効果があると評価されたものは、手順と繰り返しが多く、具体的な期間が指示されているものであることが明らかになったそうです。このようなタイプの儀式を重要視しない文化でも回答者から同じ結果を得られるのかどうかを見る為に、ふたりはアメリカ在住の異なる宗教や社会経済の背景を持つ68人を対象に調査しましたが、結果は同じだったとのこと。
レグリー助教授によると、原因と結果を結びつける作業は人が生きる為に重要で、繰り返しや手順が多い超自然現象的儀式の中にロジックを見出そうとすることは自然なことなのだそうです。
超自然現象とは異なりますが、例えば車の修理工が車のパーツが正常に動くかどうか5回チェックしたと言えば、貴方はその5回という回数に信頼性を高めるでしょう。このように、何かのタスクを1回実行して効果が得られる場合、複数回行えばより効果的な結果が得られると考えるようなのです。
今回の調査では、ブラジルの「シンパシア」と呼ばれる儀式が使われましたが、日本を含め、世界には様々な魔法や儀式があります。もし、『ハリーポッター』世代の子供達を対象に調べたら、「しっかり発音出来たら効果がある」と答えるかもしれませんね。
(トップ画像は映画『クラフト』より)
人は繰り返しのある、長い魔法のほうがより信じるらしい[Kotaku Japan]
Repetitious, Time-Intensive Magical Rituals Considered More Effective, Study Shows [ScienceDaily via Disinformation via io9]
(中川真知子)
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帰納法は認知システムあるいは誤認システムの産物とw。