人のように生きたい、または死にたいと願う機械。心はもう人間と同じです。
人の死はもちろん悲しいことですが、自分に対して忠実に従ってきたロボットや、友達として接してきたアンドロイド、または敵ながらも人間以上に人間らしい感情を手に入れたレプリカントなど、彼らが機能を停止する場合もまた、儚く悲しい瞬間があります。
映画やドラマを観ているコチラも感情移入してしまい、ついつい涙がジワっと出てきてしまう名シーンというのがいくつもあるのですが、今回は「io9」が選んだ「フィクション史上最も心が震えるロボットの死10選」を皆さんにご紹介したいと思います。
念のため1~10までの番号を振ってはいますが、特に順位というわけではなく、どれもが泣けるロボットたちの最期のシーンです。次点として2選、オマケもありますので皆さんがご存知のロボットや、泣けるシーンも入っているかもしれません。
では以下で、手元にハンカチをご用意してからどうぞ。
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1:T-800『ターミネーター2』(1991年)
1作目では全く感情の無い、冷徹な殺し屋ロボットだったT−800。ですが、2作目では全く同じ容姿でサラ&ジョン・コナー母子を護る側につきます。
始めはすぐに人を殺そうとする、終末戦争の未来からやってきたロボットでしたが、若きジョンが「人殺しをやってはいけない」といった命令を与え続け、徐々に人間界のルールを学習していきました。
最後は無敵と思われた液体金属T−1000を見事に撃退するも、T−800本人が現代に残っている限り、将来またターミネーターが開発される危険性があるとして、T−800も溶鉱炉へ自ら沈んで行くのです。
沈みきる直前に力強く親指をグっと立てるシーンは、ジョンの良き相棒、そして父親が居ない彼にとっては、少し父親として重ねて見ていたかもしれない存在が消えていってしまう切なさを感じずにはいられません。
2: コンボイ『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1986年)
サイバトロンのリーダーとして、圧倒的な強さとカリスマ性を誇るコンボイ(オプティマス・プライム)ですが、なんとこの映画では中盤、ボディー全体が灰色に変色し...絶命してしまうんです。
当時の子供たちからしたら、これほどショッキングな出来事はなかったでしょうし、誰もコンボイが死んでしまうなんて、夢にも思わなかったことでしょう。
コンボイは死ぬ間際に、「ワタシたちの暗黒の時に光を灯してくれ」といった一言を残し、サイバトロンのリーダーが代々受け継ぐ叡智の結晶「マトリクス」はコンボイから離れ、ホットロディマスの元へ。新たにロディマス・コンボイへとトランスフォームした新リーダーが、宿敵デストロンに立ち向かうのです。
3:アンドリュー『アンドリューNDR114』(1999年)
アイザック・アシモフの『バイセンテニアル・マン』が原作。死という概念が無いアンドロイドですが、彼は造られてからすでに200年が経ち、仕えてきた一族は皆死に絶え、愛する女性ポーシャと共に「人間として」添い遂げたいと熱望するようになります。
機械の身体は生体部品に換えられ、法廷では自分を人間として認めてくれるようスピーチまでします。自ら老衰できる身体となったアンドリューは、議長からの配慮ある決定を聴くことができませんでしたが、静かに、そして愛するポーシャと手を繋ぎながら幸せそうに死を迎えるのです。
ロビン・ウイリアムズさんの熱演も素晴らしく、また倫理的、そして哲学的にもちょっと考えさせる1作です。
4:アイアン・ジャイアント『アイアン・ジャイアント』(1999年)
これは本当に、悲しみと感動の涙なくしては観られない1本。時代設定は1957年とあって、戦争のピリピリした空気が漂うアメリカが舞台となっています。
そこに登場するアイアン・ジャイアントは、非常にレトロな見た目とは裏腹に、おそらく地球外のテクノロジーで造られたであろう、殺傷能力が非常に高い武器を仕込みまくっている巨大な鉄人ロボット。
普段はボケーっとしていたり、オチャメな一面を覗かせたりして、人間の少年ホーガースとの友情を育んでいるのですが、いざ何かしらの武器類が彼に向けられると自動防御装置が作動し、本人の意志とは無関係に凶悪な殺戮マシーンへと変貌してしまいます。
物語の最後は、マンズリー捜査官がジャイアントを駆逐するため発射させた核ミサイルへ、街を護るため飛び立ち、身を挺して玉砕するのです。ホーガースのヒーローである『スーパーマン』のように...(涙)
5:ウォーリーとEVE『ウォーリー 』(2008年)
汚しに汚した故郷・地球を捨て去った人類がいなくなって700年。ゴミ処理ロボットのウォーリーはずっとゴミを圧縮し、それで塔を建て続けてきました。
そこへ現れた最新型ロボットのEVE。彼女に惚れたウォーリーは、植物を採取するという任務を全うし、回収されたEVEを追いかけて宇宙へ飛び出すことになります。
最後は大破してしまうも、EVEの修理によって復活。記憶や感情までは直らなかったものの、EVEが手を繋いだことでウォーリーの夢が叶い、そこで全部を思い出すのです。ロボットたちによるラヴ・ストーリーも、また泣けますね。
6:K9『ドクター・フー』(2006年)
テレビシリーズ『ドクター・フー』のシーズン2、『同窓会』というエピソードに登場したロボット犬のK9。
ロンドンにある高校の生徒たちの知能指数を異常に高くさせて、宇宙の構成要素をコントロールする普遍的な法則「スキャシス・パラダイム」を解読させようとしていた、エイリアン「クリリテン」。
地元の高校がエイリアンによって侵略されているという疑いで高校に忍び込んだドクターと、その仲間たち、さらにはロボット犬のK9が事件の解決へと乗り出すのです。
最後は、人間に化けたコウモリ宇宙人「クリリテン」たちを退治するべく、K9は自らを犠牲にして校舎ごと爆発してしまいます。ご主人様への忠誠心と賢さ、そして勇気を兼ね備えたロボット・ワンコです。
ちなみにですが、この話には『バフィー・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー』の後見人ルパート・ジャイルズ役でお馴染み、アンソニー・スチュワート・ヘッドさんが敵の親玉としてゲスト出演されています。そこもまた見所のひとつですね。
7:ラル『新スタートレック』(1990年)
第64話「アンドロイドのめざめ」に登場した、データによって自分の「娘」として製造されたアンドロイドのラル。彼女は父親のデータから人間の行動や愛などを教わっていきます。
データを超えるほど成長し、図らずも人間の感情まで得たラルですが、宇宙艦隊のハフテル提督が、研究所で育てようと司令部への引き渡しを要求。父親と離れ離れになるストレスによりシステムに異常をきたすようになってしまいます。
結局、最善を尽くした修理は成功できず、「命をありがとう」と短かった生涯を閉じます。いくらアンドロイド同士だとしても、壊れてしまった自分の娘と別れるのは辛いものです。
メカ同士だから出来る技ですが、その後ラルのメモリーは全てデータに移され、思い出のようにデータの中でストレージされたのは不幸中の幸いだったかもしれません。
8: リージョン『マスエフェクト3』(2012年)
シェパード少佐から心があると信じられた、機会生命体ゲス族の潜入ユニットであるリージョン。彼はシェパード少佐に「ワタシたちは死ぬ価値があるのでしょうか?」と尋ねます。
大ボスであるリーパーが破壊されれば、リーパーの支配下にあったゲスたちをアップグレードすることが出来、各個体が真の知性を得ることができれば、各自が人類に協力できると少佐に告げるリージョン。
ゲス族のリーパー化を恐れたタリの反対を押し切る形で、シェパードにアップグレードを実行するよう命ぜられたリージョンですが、途中でエラーが起きてしまい彼自身がボディーを捨て、電子信号となって直接的にアップロードをしないといけなくなってしまいます。そこで躊躇なく自ら機能を停止し、荒廃した惑星に倒れ込むのがこのシーン。
自らを犠牲にすることによってゲス族全てに知性を与え、クォリアン族との共存が可能になったのです。機会生命体のヒーローですね。
9:ルーイ『サイレント・ランニング』(1972年)
地球では植物が絶滅しているという未来の世界。土星軌道に浮かぶ3隻の貨物船に取り付けられた温室ドームにだけ、「植物保存計画」によって森が存在していました。
ある時この施設を核爆発させ、勤務していた3人は地球へ帰還せよとの命令が下ります。しかし主役のフリーマン・ローウェルだけは、植物が滅びるのだけは絶対に阻止せねばなるまいと同僚たちを殺害し、3体のドローンであるデューイ、ヒューイ、ルーイたちと暮らし始めるのです。
そんな折、遭難を偽装するために土星のリングに突入した際、3号機であるルーイが片脚だけを残して宇宙の塵になってしまいます。
見た目は機械の箱のようであり、まったくもって人間型ではありませんが、ピョコピョコ歩く姿がとても愛らしいドローンたちであり、フリーマンとポーカーもする、良い相棒なのです。
10:HAL-9000『2001年宇宙の旅』(1968年)
木星探査ミッションでディスカバリー号乗組員と協力するようプログラミングされている反面、裏の任務であるモノリス探査については知られてはならない、という矛盾した命令を受けていたHAL-9000。非常に賢い人工知能を搭載しているが故に、コンピューターながらもその葛藤の中で異常な行動を取り始めます。
一度は乗組員を全て抹殺し、自分独り(1台?)で任務を遂行しようとした人工知能ですが、いざ機能を停止させられそうになると、「止めてくれ」と懇願するHAL−9000。
「ストップ、デイヴ」、「私ハ怖イヨ」、「私ハ感ジルヨ」、といった言葉を何度も繰り返し、徐々に声もスローになりつつあるというのに、最後はボーマン船長に「デイジー・ベル」を一曲歌って披露しようとします。
動画のこの場面は、宇宙船の中に響くボーマン船長の荒い息遣いと、HAL-9000から発せられる言葉だけが聴こえるのが印象的です。
次点1:データ『ネメシス/S.T.X』(2002年)
ヌニエン・スン博士によって生み出されたアンドロイドのデータは、上記7番目に出てくるラルの父親でもあります。
ロミュラン帝国で軍事クーデターを起こした、シンゾンの最新鋭艦シミターと戦っていたU.S.S.エンタープライズEのクルーたちですが、エンタープライズの武器が使用できなくなるという窮地に立たされた時、データは敵船に単身乗り込み、致死放射線発生器の破壊に成功、そのままシミターの爆発によって死亡したものとされています。
しかしながら、データと同時に造られたB−4という兄弟アンドロイドへのメモリー移植により、データの複製となったB-4がそのままデータの代わりとして生きながらえます。なので死んだけど死んでないような...?
次点2:ロイ・バティー『ブレードランナー』(1982年)
ただひたすらに、人間並みの寿命が欲しいと願って惑星基地を抜けだしてきた4人のレプリカントのひとりロイ。
本当であれば、人並みの感情など持ち合わせ様もないはずの人工生命体ですが、あまりに延命を渇望したため、人間以上の感情に目覚めていきます。
ロイの最後は、
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「お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた。オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦闘艦。暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム、そんな記憶もみな、時と共に消えてしまう。雨の中の涙のように、俺も死ぬ時がきた。」
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という映画史上に残る名言(しかも俳優ルトガー・ハウアーさんによるアドリブ)と共に、絶命してしまいます。これもまた、宇宙都市に涙雨の降る哀しいシーンです。
ということで、「フィクション史上最も心が震えるロボットの死10選」はいかがでしたでしょうか? 全部で12のアンドロイドやレプリカント、人工知能が登場しましたが、この中に皆さんが泣けた映画はありましたでしょうか? どれもが人間らしい感情を持ったために、死に向かっての覚悟や勇気を見せつけられるものばかりでしたね。
これらの他にも、読者のみなさんが心に残っているシーンがありましたら、ぜひともコメントやツイートで教えてくださいね!
現代では「ロボットを否定するロボットテレホンアポインター」なども、登場してますから、心を持ったロボットの登場も近いかもしれませんね。
10 Robot Deaths That Were More Moving Than Almost Any Human's[io9]
(岡本玄介)
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