どれを取っても、今この瞬間どこかで起こっていそうです。
SF映画などで良く描写される科学技術がとても進み、尚且つ政府や支配者の力が独裁的で人々の暮らしもあまり豊かではない未来の世界。
これをディストピアと呼ばずに何と呼びましょうか!? いくら未来に憧れる私たちからしても、そんな絶対的な力によって監視されるなんてまっぴらゴメンですよね。
今回は「io9」が選んだ、SFの中の「監視社会型ディストピア」にありがちな10のルールを読んで、こんなの耐えられない! と途方に暮れてみましょう。
SF映画好きのみなさんも、明るい未来を信じている方々も、以下へどうぞ。
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1:位置情報を当局へ送信するものを身に着けさせられている
海外では、大罪を犯して刑期を終え、出所してからもGPS発信機を足首に装着させられるようなこともあるそうですが、これはまさしくそれと同じ監視システムですよね。
衣服の襟の部分に仕込まれていたり、ブレスレットといった装飾品のようになっていたり、はたまた映画『トータル・リコール』のように、手のひらに埋め込まれた通話デバイスが、トラッキング装置になっていたりというパターンもありました。
ひょっとしたら、携帯電話や携帯ゲーム機など、自分の意志で買ったものなのに、最初から追跡装置が組み込まれており、常にワタシたちの位置やネットの閲覧履歴、そしてメールや通話を誰かが把握している...なんてコトも。
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2:家のテレビがアナタを見ている
視聴率調査用のマシーンではありませんが、アナタがテレビを点けるたび、いつ何時何分に帰宅し、どんな番組を視聴し、どこでコマーシャルを飛ばして別のチャンネルに移ったのか、なんていう情報がお上に送られていたとしたら、これもまた家人の行動パターンという情報が監視されていることになります。
それにもしも、Kinectのようなセンサーで顔などを読み取り、個人を識別できていたとしたらどうでしょう? もしも家に友人が遊びに来たとしても、大元のデータベースと照合すれば誰が訪問しているのかだって一瞬で判別できてしまいます。
テレビが流行のゴリ押しや情報操作だけでなく、そんな使い方までされてしまったなら、ますます若者がテレビ離れを起こしそうですね。今のテレビはLANケーブルも挿せるので、やろうと思えばそんなことお茶の子サイサイって気もします...。
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3:クレジットカードで買ったものが全て知られている
ほとんどの大人であれば、必ず1枚以上は財布の中に入っているであろうクレジットカード。スロットを通したカードの磁気であらゆる情報はそのままカード会社へ送信され、レジを通したものはレシートに印字され、店の位置情報どころか買った商品も個数も、金額までもが電子情報としてお上の元へ届くのです。キッチンで使うのが目的なのに、包丁や果物ナイフを買っただけで目をつけられたりしたら、たまったモンじゃありませんね。
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4:政府の知らないところでは、新たな友人が作れない
14歳になれば大人の仲間入りを果たし、インターネット上でソーシャルネットワーク用のアカウントが取得できるようになります。クラスメートや会社の同僚たちは、自動的にフレンド登録がされるようになり、これによって政府はアナタの人間関係を全て把握することができるようになるのです。
ディストピアな世界では、近所のスーパーやバーで出会った人たちとは、そこで意気投合して仲良くなれないのです。そう、フレンド登録をしない限りね。
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5:SNSでシェアしたことを政府は全部知っている
上の4番目に続くのですが...友達みんなも使っている、SNS用に開発されたアプリをダウンロードして、自分のページを彩り良く更新しているそこのアナタ!
デートで行った動物園も、ディナーを楽しんだオシャレなレストランも、はたまた何気なく撮った夕焼けの写真だって、みんなからいいねされているつもりが...スマフォの中ではGPSまで起動しており、見事ぜ~んぶがお上に筒抜けなうです。くれぐれもご注意を!
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6:路上や会社では、隠しカメラが見ている
駅の改札やホーム、そしてアチコチの交差点だって、安全確認のためですとか交通量調査のためという名目でカメラがうじゃうじゃ付いており、アナタの一挙手一投足を録画しているのです。
カメラの付いていない裏通りにでも入り込もうなら、その場面ですら誰かから視られています。そしていつ裏通りから戻ってくるのかも、カメラがずーっとアナタの帰りを待っているのです。
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7:一番面白いテレビ番組は、監視下で行動する人間ウォッチングである
これはもう、リアリティー番組の『ビッグ・ブラザー』が大人気を博し、世界中でその国のバージョンが作られたことでも立証されていますし、他にもシュワちゃんのSF映画『バトルランナー』も、大衆の娯楽としてテレビの中で誰かが殺されるショウをお茶の間の人々が楽しんでいました。
ちなみにその『ビッグ・ブラザー』...自分からあえて世間から監視される生活に飛び込み、男女複数のルームメイトたちと暇つぶしの方法を考えたり、時にはケンカしたり、そしてまたある時には愛し合ったりします。でもどのメンバーが脱落するのかは、気まぐれな視聴者からの投票次第。もしこれが合法的に殺人が認められている未来であれば、脱落イコール死となることでしょう。
それに未来の世界ではカメラの前で衣服を脱ぐ少女や、人が高いビルから飛び降りる中継を楽しむ視聴者も、ひょっとしたら少なくないかもしれません。
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8:ロボットがあなた宛のメイルを全て読み、キーワードを探す
メカメカしいドロイドではなく、コンピューター内を走るボット的なものを想像すれば良いのでしょうか...アナタと友人とのやりとりが反政府的な内容か、またはそうでないのかを判断するのが、アルゴリズムに基いてメイルの中身を読み取るシステムです。おそらく隠語や暗号なども、スーパーコンピューターによって瞬時に解析されてしまうことでしょう。
しかしソレは裏の顔。表の顔は、優良なサービスとして、あなたのメイルやコメントなどのキーワードから、おすすめの商品や旅行などを教えてくれる、いわばコンシェルジュ・サービスってやつです。このサービスの提案をことごとく無視するユーザーは、もしかしたら政府にとって危険因子としてブラックリストに載ってしまうコトになる...かも?
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9:友人に映像や音楽を贈るのは犯罪となる
ディストピアな未来では、全てのエンターテインメントは、とある音楽事務所によって掌握されています。若き才能溢れる少年少女たちは、その身を犠牲に養成所でしばらく訓練を受ければ一大スターの仲間入りが約束され、ファンたちは見事エンターテイナーに育った彼らのグッズや握手券を買い漁るため私財を投げ打ち、社会全体はアイドルに夢中となります。
熱狂的なファンたちがお金を出してCDやDVDを買わなければ商売にならない事務所ですので、コピーした画像や音源などは個人で楽しむのも、ましてや人に贈るのも違法となってしまいます。そうすると、どこからか音楽著作権協会の人達がやってきて、違反した人たちに大ナタを振るうのデス。
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10:もはや誰もがプライバシーが何なのか判らなくなる
そしてワイドショウでは、かつてそのプライバシーが一体どんなモノであったのか? そしてどんなモノであるべきなのか? 常に大きな話題として議論され、学問として論文まで書かれてしまうのです。
賢いコメンテイターは四六時中、画面の中でプライバシーについて小難しいことをもっともらしく喋り、学者たちは過去の文献を読み漁り、研究のほとんどをそれに費やすのです。
インターネット上で読める百科事典サイトでも、「プライバシーとは過去に持てはやされた遺物である」などと書かれるようになります。普通の人たちによって投稿・編集された情報ですので、きっとプライバシーってヤツはそういうモンなのでしょう。
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ということで、これら「監視社会型ディストピアSFのルールTOP10」いかがでしたでしょうか?
閉塞感漂うSF映画では、どれもありそうな設定ですし、技術的にはもう今の現代社会でも水面下で起こっている出来事かもしれません。いつまでも星新一ショートショートで読んだ、いつか訪れるであろう近い将来のお話ではなく、その将来はもう「今」なのです。
The 10 Rules of Surveillance Dystopia Stories[io9]
(岡本玄介)
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