そんでもってPS4開発キットで遊ばせてもらいました!
フィンランドの首都ヘルシンキにオフィスを構えるHousemarque(ハウスマーク)は、『スターストライクHD』や『アウトランド』、『デッドネイション』などで知られるゲーム開発会社です。
今回は同社の最新作であり、PS4のローンチタイトルとして、日本でもPS4発売と同時に遊べるようになる予定の横スクロールシューター『Res0gun』について、そしてPS4での開発に関して、お話を伺ってきました。
オフィスで出迎えてくれたのは、PR担当のミカエルさんと、コミュニティーマネージャーのトンマーゾさん。さっそくPS4開発キットで最新作『Res0gun』を体験させていただきました。
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PS4ローンチタイトルでもある『Res0gun』について簡単にご紹介。PS4を購入すると2週間無料体験できる「PlayStation Plus」(PS+)アカウントがあれば、無料で遊べるようになる作品です(2週間以降はゲームを購入するか、PS+の継続が必要)。
特徴は自機も敵もステージも、小さなボックス状の部品「ボクセル/boxel」が20万以上組み合わさって構成された美しいグラフィックですが、ゲームプレイはどこか懐かしい感じ。
もちろんスコアランキングもあり。ハウスマークのヒット作『スターストライクHD』では、ある女の子が出したワールドレコードが、ケタ違いのスコア過ぎて記録できないということがあったそうです。
それだけ制作側の予想を裏切るほどやり込むプレイヤーや、根強いファンを持っているのもハウスマーク作品の特徴ですが、もちろんハードコアプレイヤーだけが楽しめる作品を作っているわけではありません。
トンマーゾさん:日本には『怒首領蜂』や『斑鳩』など素晴らしいシューティングゲームがありますが、中にはすぐに難易度が上がって、上手くないプレイヤーがついていけなくなる作品もよく見られます。そんなことの無いよう、本作は初心者も十分に楽しめるように作りました。
だからといって、高難易度を求めるプレイヤーを軽視しているわけではもちろんなく、難易度を上げると倒された敵が弾を放つようになったりと、弾幕系ゲームのようにぎりぎりのところで敵の弾を避けつつプレイする快感が味わえます。
また、PS4のコントローラーに付いている「Share」(シェア/共有)ボタンを押すと、すぐに自分のプレイするさまをアップロード、生配信できる機能は、腕が上がって自慢したくなってきたプレイヤーや凄腕プレイヤーたちに喜ばれそうです。
ミカエルさんに『Res0gun』を一言で表してもらったところ、「新世代に向けたレトロなゲームへのトリビュート」とのことでした。その言葉通り、最新のテクノロジーとレトロゲームが上手く融合したような、「モダンレトロ」な作品という印象です。
『Res0gun』を遊ばせていただいたところで、今度はPS4での開発や日本のゲーム業界をフィンランドのゲーム業界の人がどう見ているのか訊いてみました。
――PS4での開発の利点は何でしょうか?
ミカエルさん:ハウスマークは常に技術屋であり、技術的に最先端を走るパイオニアとしてやってきました。『Res0gun』では、画面上に20万個以上のブロックが表示され、それぞれのブロックに物理計算とライティング計算がなされている「リソースヘヴィー」な作品です。これはPS3では不可能でした。PS4だからこそできたことです。
そんな「リソースヘヴィー」な作品を、社員50人ほどのハウスマーク(全員がこの作品を担当しているわけではない)が作るには、ソニーからのサポートが大きな助けとなったようです。
ミカエルさん:ソニーとはとてもいい関係を築いています。ソニーは大作だけではなく、小さな作品まで幅広いレンジの作品を出していて、小さなスタジオも大切にしてくれるんです。
非公式ですが、ハウスマークのモットーは「This is gaming」(これがゲーミングだ)。ゲーム体験のハート&ソウルを大事にした作品作りを目標にしています。そして、ソニーはそれを可能にさせてくれるんです。
――Xbox Oneはエンターテイメント中心のゲーム機といった感がありますが、それに対してPS4はどういった位置づけになるのでしょうか?
トンマーゾさん:これは会社としての意見ではなく、個人的な見解ですが、いちゲーマーとして見ると、Xbox Oneはアメリカ中心、テレビなどのエンターテイメント中心で、ゲームが最重要視されているわけではない、といった印象を受けます。
一方のPS4は、ゲームがまずあって、その上で、その他のエンターテイメントにも対応、という宣伝のされ方なので、根っからのゲーマーから見るとPS4の方が魅力的に映るのではないでしょうか? 無論、売り方の違いというのもあるでしょうけどね。
最近の日本のゲームや日本のゲーム業界について尋ねると、「ハウスマークの社員50人がみんなそれぞれに意見はあるだろうから、会社としての意見ではなく、個人的見解になりますが」と断った上で回答してくれました。
最近の日本のゲームでは『デモンズソウル』、『ダークソウル』、『ゼノサーガ』が良作というのは、ミカエルさんもトンマーゾさんも同意見。特に『デモンズソウル』は、「過去10年で最も革新的な作品とのこと。
これまで誰もが楽しめるよう、なるべく簡単にする方針で進んでいた業界にとって最大の跳躍。PR文句も『Prepare to die(死ぬ覚悟をしろ)』というもので、「大衆向けではなく、ニッチな対象に向けたゲームの作り方を打ち出した」ことに感心したそうです。
特にハウスマーク社員の中には『ダークソウル』ファンが多いようで、トンマーゾさんも「序盤に店のオヤジを操作ミスで殺しちゃったりして、難しすぎて15時間でギブアップしてしまったけど、それでも好きなゲーム」と語っていました。
また、ハウスマークに働くあるプログラマーは、以前日本のゲーム会社に勤めていたがあるそうで、その方からの又聞きになるという前提ですが、「日本のゲーム業界にはクリエイティビティーは十分あり、ゲームは素晴らしいが、もしかしたら日本の会社の社風やワークフローに問題があるのでは?」という話もされていました。
スカンジナビアの会社は横割り組織で、ボスのオフィスに行って「こんなアイデアがあるんだけど、どうでしょう?」と話しかければ、それがいいアイデアならすぐに通るものの、日本やドイツのような縦割り組織では、例えばちょっとした内部テスト用のモノでも、上の人たちに見せるとなると完璧に仕上げてから見せる必要性が高い、などの部分に問題があると見ているようです。それはまた、ある意味では大きなゲーム会社特有の問題でもあるのでは? とも考えられているようでした。
ミカエルさん:日本のインディーゲーム業界は高いポテンシャルを秘めています。大きく成長する伸びしろがあるんです。大きなリソースが必要で、船先を別の方向に向けるのが難しい大きなゲーム会社と違い、変化も舵取りも比較的容易で、小粒でも大作に負けない面白いゲームを開発するインディーゲーム会社が、これからの日本のゲーム業界の大きな希望になると思います。
カプコンを離れ、最新作『Mighty No.9』を発表した稲船敬二さんなど、日本の大手ゲーム会社から優秀な人材が辞めていっている問題にも触れ、「ウェルカム・トゥ・フィンランド! そんな方は是非フィンランドに来てください!」と言っていました。
オフィスも案内していただいたのですが、先日のデザインフェア、ハビタレの続きかとも感じられるオシャレなオフィスは、まだ引っ越してから2ヶ月ほどということでピカピカでした。皆が集えるキッチン・ダイニングには社員のハイスコアランキングが殴り書きされたアーケード機があったりも。
サントラを担当するアリ・プルッキネンさんのオフィスにもお邪魔させていただきました。プルッキネンさんは、ハウスマーク作品の他にもロヴィオ(Rovio)の『アングリーバード』シリーズや、フローゼンバイト(Frozenbyte)『トライン』シリーズのサントラでも知られる、フィンランドゲーム音楽界の大物です。
『Res0gun』のサントラのインスピレーションもととなった作品を尋ねると、映画『トランスフォーマー』、『トロン:レガシー』、『オブリビオン』(トム・クルーズの映画)、そしてレトロゲームの音楽だとのこと。ゲーム中の音楽は作品そのものと同じく、とても現代的でスタイリッシュかつレトロな雰囲気も感じられるサウンドです。
「Moi」とか「Hei」とかいった壁の落書きに混じって「There was a hole here but now it's gone...」(ここには以前穴があったが、今はなくなっている...)、これはある日本のゲームの中で、壁に書かれている落書き文句なんですけれども、なんだかわかりますでしょうか? 正解は『サイレントヒル2』ニーリーズ・バーの落書きです。
社内にはゲームがたくさん。ハウスマークで働く人のほとんどが、日本のゲームをプレイしながら育ってきた人たちばかりだということで、日本のゲームも多く揃っていました。トンマーゾさん「『ストリートファイターIV』なんて2つあるよ(笑)。あとこれ、『Child of Eden』はいい作品だよね」。
ゲームへの愛に溢れる人たちが集まるハウスマーク、素敵な新オフィスでインタビューさせていただきありがとうございました。今後も楽しいゲームを作り続けてくださいね!
(abcxyz)
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