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フィンランド最大のデザインフェア「ハビタレ」に行ってきました! その1

2013/10/12 21:30 投稿

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フィンランド最大のデザインフェア「ハビタレ」


マリメッコから学生作品まで、北欧デザインをとくと見てきましたよ!

フィンランド最大のデザインフェア、Habitare(ハビタレ)。家具に食器、家の外回りの品々、さらには日本からの展示も見られました。様々なデザインが首都ヘルシンキに集まったこのフェアの模様を、2回に渡ってご紹介します。

今回は巨大なHabitare会場の中でも、インテリアコーナーを中心に、多数の写真やコンペに参加された学生さんへのインタビューなども交えながら展示物をご紹介。

有名どころのアルテックやマリメッコを初め、展示内の寄付プロジェクト、日本の工業デザイナー喜多俊之さんの講演、そして武蔵野美術大学の展示、「日本の『いろ』」という山口県立大学の展示、さらに鳥取県内の匠たちとフィンランドのデザイナーたちのコラボレーション作品群などもご覧に入れます。
 


【大きな画像や動画はこちら】

 

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フィンランドでその名を知らない人はまずいない、フィンランドの建築/デザインの第一人者、アルヴァ・アールト。彼が妻のアイノらと共に1935年に設立した家具会社「アルテック(Artek)」からは、椅子をはじめとする様々な作品が。


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Habitareでは4度目となる、「ValoLight」(ヴァロ・ライト / 英語で言えば「プロ・ライト」)というライティングデザインの特設コーナー。今回のフェアの目玉の1つです。白夜のおかげで1日中明るかったフィンランドの夏も終わり、これからは日照時間が少なくなる季節。室内外で明かりが重要になってきます。


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椅子の展示も多数。展示品のロッキングチェアーに家族みんなで座る姿もあれば、マルチディスプレイ用デスクと椅子に座るイカした髪型のお兄様まで。


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前述のアルヴァ・アールトから名前をとった大学、アールト大学の芸術デザイン建築学部の学生の作品。天井から吊り下げられたスイングチェアや、同じく天井から吊り下げられたカクカクしたやつ、そしてセラミックの作品などが並んでいました。


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フィンランドといえばマリメッコ(Marimekko)も忘れてはいけません。季節によって移り変わる気候をテーマにした、「ウェザー・ダイアリー」という新コレクションの展示。


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デザインを学ぶ学生による、「ドリーム・スペース」がテーマの空間デザインのコンペなども。


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コンペの最終選抜に残った4作品のうちのひとつ、「Kajo」(カヨ / 夜明け)。見た目はただのハコですが、中に入ると真っ暗な空間の中、足元に水が張っており、その床中央にあるバネの上に板がある作品です...と説明してもわかりにくいので、上の説明図の写真をご覧ください。

Kajoをデザインした学生4人からなるチーム、VA-VAの皆さんに話を伺いました。板の上に乗ると振動でバネが揺れ、水がさざ波を産み、壁に自分の動きと連動した波の模様が映し出されるそうです。

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プロジェクトには何千ユーロ(うん十万円)もかかるけれど、自分達で資金を集めなければならなかったの。各プロジェクト制作費として1000ユーロは貰えるんだけど、カーテンだけで100ユーロ以上、組み立てに必要なネジやナットを買っていたら、本当に必要なものは何も準備できていないのにあっという間に500ユーロ使っていたわ。

そこで数多くの企業を訪れて、プロジェクトに協力してくれるよう頼んだの。協力してくれた企業は僅かだったけど、部材を提供してくれる会社や運搬を助けてくれる企業が見つかった。協力企業の名前が見えるようにはしたけど、企業にはそう大きなプラスにならないのによく協力してくれたと感謝してるわ。


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フムフム、資金繰りはどこも大変そうですね。では早速入ってみましょう...


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あれ...水が張ってないぞ


残念ながら、空いてる最終日に中を撮影しようと思っていたら、もう水抜きが終わった後でした。水と光が織りなす本来の姿はVA−VAのプロジェクト公式サイトで。

ちなみに、優勝作品はフィンランドの著名な建築家ユハ・レイヴィスカさんによる審査で、エリナ・ウルヴィオさんによる不思議な色に包まれた作品「Heijastin」(ヘイヤスティン / リフレクター)に決定。


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フィンランド大手の製紙・製材会社であるUPMは、新たに作られる子供病院への寄付プロジェクトを行っていました。平べったい木に落書きして、機械で熱して、機械の左のヤツで折り曲げると...なんとハンガーに!

これはUPM Gradaという、熱を加える事で簡単に成形できる木素材でできています。前述のアールト大学の展示のスイングチェアもこの素材で出来ているそうです。


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こんなにステキなハンガーに!


UPMは、このハンガーの元となる平べったい板(デザインはタピオ・アンッティラさん)を300個用意しており、来場者がこれに落書きし、ハンガーが形成される度に、5ユーロ(約670円)を子供病院基金へと寄付するとのこと。

また、カラフルなこれらのハンガーたちはフィンランドの「SOS子どもの村」に寄付されるそうです。結局最終日を待たずして、来場者の手により300個全てに色が塗られ、寄付金額は1500ユーロ(約20万円)に。担当者の方も予想以上の参加者に驚いていました。

また、日本からの展示も複数ありました。フィンランドの人は日本のデザインをどう見ているのでしょうか?


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大量生産/消費と、多く存在するのに使われていない国産の木材、手入れされない国内の森の問題に取り組もうとする、武蔵野美術大学の展示です。

伝統的なアイヌの手工芸品の展示と共に、杉の間伐材や竹を用いた小物や皿、椅子やおもちゃなどが展示されており、多くの方が足を止めて展示品に見入っていました。中には商品化に向けて取り組んでいるという、薄くスライスされた杉によって作られた包装などもあり、人気を博していました。


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山口県立大学から、「日本の『いろ』」と題した展示。ひらがな表記の「いろ」ということで、「色彩」の「いろ」ではなく、どちらかと言えば「特色」といった意味の「いろ」だそうです。

木や竹などの自然素材の使用や「漆」の色や「扇」の形などを、「日本の『いろ』」のエッセンスと捉えて産み出された先生や学生の作品が並んでいました。こちらも多くの関心を集め、作品を手に取って細部に見入る人も多く見られました。


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Tottorikahvila(トットリ・カフェ)ブースでは、美味しいコーヒーが飲めるカフェと共に「森コレクション」と題した、フィンランドのデザイナーと鳥取の匠と素材とのコラボレーションにより制作された作品群が。


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クラウス・アールトさん(Aalto + Aalto)、アンナ・サロネンさん(Motto Wasabi)、サーナ・シピラさん(Saana ja Olli)の3名のデザイナー達は、はるばるフィンランドから遠く離れた鳥取を訪れ、実際に匠たちが働く様子を見学し、素材の作られる過程を体験したそうです。

鳥取/日本の自然素材、伝統技術とフィンランドの生活に則したデザインとが融合した、和紙、杉、織、陶器により構成されたテーブルウェア作品群は、フィンランドの人々にも好評でした。


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カフェはHelsingin Kahvipaahtimoという、ヘルシンキにあるカフェからの出店。ブース内カフェの照明、そしてカフェ店員さんの身に付けている和紙で作られたエプロンも、鳥取とフィンランドのコラボにより作られたものです。


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エコデザインアワードの様子


今回のHabitareの目玉でもある「エコデザインアワード」は、トットリ・カフェのとなり。この写真では、トヨタLexusとワインバーを挟んだこちら側(Lexusはアワードの後援、バーもアワードブースの一部)で行われていました。

これで開催が5回目となるエコデザインアワード、これまでの同アワードでは毎回「椅子」、「ランプ」、「家具」などのテーマが決められていたのですが、今回はデザイナーが自由な発想でデザインできるとのことで、様々な品々が並んでいました。詳細は次回の記事で。


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エコデザインアワードのキュレーター長には、世界を股にかけ活躍する日本の工業デザイナー、喜多俊之さんが任命されており、ご本人も来場されていました。

喜多俊之さんは、米MoMAや仏ポンピドゥー・センターに作品が永久保存されていたり、シャープAQUOSのデザインや三菱重工のロボットwakamaruなどのデザイン、近年ではマッスル株式会社の介護機器のデザインも手がけられている方です。


喜多俊之さん

写真はテレビ局の取材を受けられているところ


「Ahead!デザインエリア」では、そんな喜多さんの講演会も開催。聴衆は思い思いに、「座ったり寝そべったりできる赤い階段上のやつ」に体をあずけ、講演に聞き入っていました。

昨年ドイツで行われたワールドメディアフェスティバル2012において、「Public Relations/Culture」部門の金賞を受賞した映像作品、受け継がれてきた伝統技術と最新技術の融合したデザインについて喜多さんが語っているDVD『魂を込めたものづくり』が英語字幕でスクリーンに。その後フィンランド語の通訳を交えて喜多さんの講演が行われました。


公演の様子

熱心に喜多さんの話に聞き入る、デザインの学生と思しき若者たち


スケッチブックには映像内で紹介されていた、喜多さんデザインのランプ「Pao」のスケッチも公開されていました。日本のどの展示もフィンランド人の来場者に好評で、多くの方々が作品を手にとって確かめながら口々に「ihana」(素敵)「sopo」(可愛い)「kaunis」(美しい)などと口にしていました。

彼らに日本のブースの感想を聞くと、「シンプルなデザイン、クオリティーの高さ、木の素材の使用など、日本のデザインにはフィンランドのデザインとどこか通ずるものがある」といった言葉が多かったです。遠く離れてはいるものの、不思議と日本と共通した感性を持っているフィンランド、どこか親近感がわきませんか?

室外に置くものから、家具に器まで。こうして見ているとなんだかまるで『ザ・シムズ』をプレイしているかのようです。

さて、次の記事ではHabitareの目玉でもある「エコデザインアワード」の作品と、手作りでありながらも妥協はしない、けれども暖かさを感じられる手作り品々などが並んだ直売エリアをご紹介します。お楽しみに!


Habitare

(abcxyz)

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