有名な映画シリーズをファンメイドでポスター化する、なんてことは珍しくない近年。しかし、テレビシリーズの全エピソードをポスター化するというのは、初めての試みなのではないでしょうか？
偉大なるジーン・ロッデンベリーによって生み出され、USSエンタープライズ号がブラウン管を通じて宇宙へ旅立ったのは、1966年。SF映像作品として双璧をなす『スター・ウォーズ』に先立つこと約10年――まさにエポック・メイキングといえるテレビシリーズが『スター・トレック：ザ・オリジナル・シリーズ（邦題：宇宙大作戦）』でした。
壮大な宇宙叙事詩の始まりを告げた、全80エピソードをグラフィック・アートとして作品化したのは、コミック・アーティストとしても活動するフアン・オルティスさん。その素晴らしい仕事をご覧ください！
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わたしは、常にジーン・ロッデンベリーの生み出したスタートレックの影響を受けていました。オリジナル・シリーズについて言えることは、それが法廷劇やウエスタン、戦争やホラーストーリー、ロマンスなど、あらゆる物語の要素がSFの中に包み込まれていることです。
そしてそれは、60年代や70年代の、社会的あるいは政治的背景によっても結びつけられているのです。
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スタートレックが当時の社会にどのような影響を与えたかは、黒人通信士官ウフーラのエピソードにも見ることができますが、オルティスさんは、TOSの全エピソードをポスター化するにあたって、やはり60年代風のレトロなグラフィック・アートを意識したと語っています。
公開されている作品はごく一部ですが、映像作品としていち早くパラレルワールドを取り上げた『イオン嵐の恐怖（Mirror, Mirror）』や、ミスター・スポックにとっては致命的なポンファー（7年ごとの発情期）が描かれるなど、きわどい内容な『バルカン星人の秘密（Amok Time）』、優生人間カーンが初登場した『宇宙の帝王(Space Seed）』などの重要なエピソードが確認できます。
また、個人的に注目したいのが、パイロット版を含めたTOSの全エピソード「80話」をすべてポスター化しているところ。1964年にパイロット版として製作された『歪んだ楽園（The Cage）』は、ウィリアム・シャトナー演じるカーク船長の代わりにジェフリー・ハンター演じるクリストファー・パイク船長を主人公に、スポック以外のメンバーが本編とは異なるという特殊なエピソードです。
内容が哲学的に過ぎたことに重ねて、主要人物の変更もあって、そのままの形で放映されることはありませんでした。そのため、地上波などでの放映は全79話としてカウントされることが多くなっています。
パイロット版TOS『歪んだ楽園』は、後に『タロス星の幻怪人』前後編として編集され、放映されることとなりますが、オルティスさんはパイロット版も含めた3シーズン、全80エピソードをすべてグラフィック化することで、単なるポスター集にとどまらない「スタートレックの製作記録」としてのアート作品を完成することに成功しています。
オルティスさんの作品集『Star Trek: The Art of Juan Ortiz』は、現在Amazonにて入手可能です。これはトレッカー必携と言えるかもしれません。
All 80 Original "Star Trek" Episodes Rendered As Movie Posters［Fast Company］
Star Trek: The Art of Juan Ortiz［Amazon］
（キネコ）
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