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(おっきな)お友達のみんなー、集まれー!

去る9月4日に放送されたコタ生では、「プリキュアナイト」と題しましてそれはそれはアツいハートの赴くままに色々なトークをさせて頂きました。マジで朝までやれたんじゃないのかっていう勢いで、我ながらタイムシフト見てちょっと引きました(Yes!)。

しかし、まだまだ言い足りないことはマウンテンほどもあるのです! 1時間じゃ足りないのです! というわけでコタ生でもちょろっと話題が出ましたが、プリキュアの音楽、特にオープニングについて語ってみたいと思います。 プリキュアとの出会いを語る際、忘れてはならないものがあります。それは初代OPを聞いた時の「な、なんじゃこりゃ!?」感です。あの衝撃こそ、あの苛烈なインパクトこそプリキュアとの出会いであり、あれが無ければ今の僕は無かったかもしれません。結構マジで。  


■『ふたりはプリキュア』...OP「DANZEN! ふたりはプリキュア」

プリキュアと音楽2

女児向けアニメのOPが「カッコいい」というのは今までにもありました。しかし、こんなファンク感にあふれたグルーヴィーな朝8時30分は今までにあっただろうか? いや、ない。(多分) その理由と攻めた感を解説するには、この曲で使われている音階(スケール)を見直す必要があります。こちらをご覧下さい。


プリキュアと音楽3

これは「DANZEN! ふたりはプリキュア」のサビ及び一部メロで使われている音を鍵盤で表示したものです。この音階はペンタトニックスケールと呼ばれ、ギターソロなどではよく見かける音階です。これをギターフレットにするとこうなります。


プリキュアと音楽4

いわゆるギターソロ手癖の典型ですね。それを女児向けアニメのOPに持ってきた。なんという攻めた感、なんという異彩。「ドド、ソシ♭ ソシ♭ シ」というベースのフレーズもシブすぎます。そこからの半音ずつ上がっていくオーケストラヒット。これで完全にヤられました。 ペンタで攻めた後は「お互いピンチを乗り越えるたび」で一旦ハ長調(C調)に帰ってきます。と思いきや「Your Best! My Best!」からは変ホ長調(E♭調)に切り替わり、メジャー感をさらに高めていきます。そして「もっとバリバリ!」の後ペンタ調に帰ってくるのです。

なんてカッコいい、なんてシブい構成! 女児感どこいった! といってもこのペンタ感は『明日のナージャ』EDとか『魔女っ子メグ』OPに通じるものが無くもないんですけどね。ただ楽曲としての攻撃力が違いすぎるというかなんというか。ほんと女児感はどこいったというか。


■『ふたりはプリキュア Max Heart』...OP「DANZEN! ふたりはプリキュア (Ver. Max Heart) 」

プリキュアと音楽5

そんな衝撃から49週間後、続編であるマックスハート(MH)が始まります。OPがガラっと変わるかと思いきや、バージョン変わって続投だよ! この采配に、僕はプリキュアのサウンドアイデンティティの決定を見ました、というか聞きました。 MHの名に相応しくゴージャス感が感じられますが、注目したいのは伴奏の変化度です。特にメロ序盤「一難さってまた一難」あたりの伴奏の厚みアップは、初代OPと比較することでMHの意気込み、更にやるぞ感なるものを強く感じます。OPアニメーションもアクションシーン満載なのが特徴的ですね。

あと後期ED「ワンダー☆ウインター☆ヤッター!!」はとても素晴らしい曲です。これまでのEDの流れから大きく逸脱した、いわゆるよくあるポップスサウンドですが、あのコード進行とメロディーはもう素晴らしい以外の何者でもありません。そりゃ亜美真美も歌うってなもんです。 さて、ここからがプリキュア変遷の入り口。いよいよ主人公が交代します。


■『ふたりはプリキュア Splash Star』...OP「まかせて★スプラッシュ☆スター★」

プリキュアと音楽6

「プ・リ・キュ・ア!」からはじめのサビが終わるまではペンタになってます。A-C-D-F-Gと登っていく流れは音程が違えど、初代と同じですね。Bメロ以降は少し複雑になってますが、MHと比較すると全体的に静かな印象です。 この曲のアツい部分は「ってな感じで♪」以降の流れるようなコード進行だと僕は信じてやみません。A-C#-D-Eと来るんですが、このC#。コレがアツい! 

しかも2回ある! アニメーションも敵と戦うシーンなので一番盛ってきたいところなのではないかと思います。 メロディーも細かな音符が多いのが特徴ですね(スパスパスパークあたり)。これもSSの軽やかさ、爽やかさを表しています。初代のドッシリさとは一線を画したのがおわかりいただけたでしょうか? あとはEDの『「笑うが勝ち!」でGO!』。これもワンダーウインターと甲乙つけがたすぎる名曲でございます。コタ生でもちゃっかり言いましたが、この曲の透明感はすさまじいものがあります。メロの静かさ、サビ前のちょっと転調、そして解放感のあるサビ...。SSが好きな理由はこのEDによる作用が大きいのも事実です。

あの開放的なサビはIV→I→IIm→III(7)という黄金切ない系コードによるところ。サビ一発目にIVを持ってくる、一時期ミスチルがよく使ってたコード回しなんですが、メジャーなものほどこういったアニメ界隈には輸入されにくかったりします。そこを、あえて、あえての黄金!


■『Yes!プリキュア5』...OP「プリキュア5、スマイル GoGo!」

プリキュアと音楽7

やがてプリキュアは5人になります。言うまでもなくこの曲は初代を意識した構成となっており、和音やベース進行も「夢見るたび生まれた」からサビ以外はほぼ同じです。マッシュアップすると違和感が仕事しなくなるタイプです。 初代同様のペンタからくる「1、2、3、4、プリキュア!5!」、これもドドシ♭ ソ、シ♭ ソシ♭ ソドとほっとんど同じ、音程も同じです。このメロディーを聞くと「待ってましたァ!」という気持ちになりますね。半音ずつの登りも踏襲しています。

というわけで作品としてもSSの方向性から初代へ再転換した感じが見られます。2人ではなく5人になったり変身が個別になったりと大胆なチェンジはあるものの、むしろ女児アニメとしては正統派に近づいたと言えます。みんなプリキュア、お父さんもプリキュアです。


■『Yes!プリキュア5GoGo!』...OP「プリキュア5、フル・スロットルGoGo!」

プリキュアと音楽8

と思いきや、続投の2期であるGoGoではOPをガラりと変えてきました。これは初代からMHへの流れとは一線を画す試みです。曲も特徴的で、「みんなの応援が待ってる」からE♭-F-Gと登っていく、いわゆるアニソンによく見られる盛り上がりコードとなっています。しかしキメのセリフではペンタ節、初代の心を忘れていません。

メロがかなり抑え目な印象で、「いざ華麗にはばたく」までかなり持って回った感があります。長い長いフリの後に「大胆不敵フルスロットル」から再びアツいメロディーとなりますが、アニメーションとあわせて聞くと前へ前へ感があるんですよね。そう、2回目のE♭-F-Gは1回目とはどこか違うんです、前へ前へ感が違うんです! さらにこの曲の特徴として、「フルで聞くとラスサビを3回繰り返す」というのがあります。コレ、本当にアツいんです。2回でキリよく終わる...と見せかけてラストォ! という感じがすごくするんです。フルスロットルという言葉が胸に刺さる、そんな曲と作品です。


■『フレッシュプリキュア!』...OP「Let's!フレッシュプリキュア!」

プリキュアと音楽9

初代とは違う意味で入りが印象的な入りです。「フレッシュ×3」の部分はE-F#-G#と登っていき、「はじける笑顔は無敵」の部分、A-C#-F#-A7のセブンスが効いてます、めちゃ効いてます。 メロがやたらと大人しいのも特徴ですね。その分サビとの盛り上がりコントラストが激しく、サビの「プリキュア ビートアップ↑」のプリキュアのアーフタクト入りが盛り上がりマックスです。アニメーションも敵を倒したあたりですね。

このあたりから初代のテイストが少しずつ抜けてきてるのが音楽や作品からもわかります。曲入りの「フレッシュ プリキュア!」がラララドシソララなんですが、初代を意識するならシを抜くと思うんですよね。 制作事情的にもこれまでシリーズ通してプリキュアのサウンドを担当されていた佐藤直紀に代わって高梨康治さんが音楽を手がけた初の作品というのもあり、色んな意味で過渡期の作品だったように思えます。ちょっとシリアス面も強かった気がする。

でもEDは前期後期共にオシャレでフレッシュに合ってると思いますね。ダンスも3Dになって、踊ってみた黎明期といったところでしょうか。 ともかく、このあたりからプリキュア感なるものがフィールドを広げていくワケです。


■『ハートキャッチプリキュア!』...OP「Alright!ハートキャッチプリキュア!」

プリキュアと音楽10

色んな意味で前評判が話題となったハトキャ。おジャ魔女を想起させる馬越嘉彦さんのキャラデザやSS以来の2人主人公などの設定が僕の中で大ヒットし、一番好きなシリーズとなりました。えりかさいかわ。 このOP、綺麗な部分しか無いっていう印象なんですよね。これまでのプリキュアOPにあったシブさがキレイに取り除かれてるんです。A-B-G#m-C#mというメロのコード進行はポップス黄金コード、その後の着地の仕方もほとんど違和感なく、「あれ、これプリキュア?」という感じすらします。

「おもいやりで育った」の部分が、C-D-Eと登る調号が付く程度の変調で、シブさというよりかは比較的ベタコード範囲内。しかしその後の「枯れない」からサビに続く二小節の登る伴奏はアツいです、リズムも相まってアツいです。プリキュアのアツさがこもってる二小節です。 サビのメロディーに大きな起伏が無いのも特徴と言えますね。総じて、女児アニメの明るさや優しさ、清廉さを意識しているように思えます。作品自体のほわ~っとした雰囲気とマッチしまくりです。最後のシャキーンとは一体何だったのか。 何より高校生プリキュアを生み出した貴重な一作。


■『スイートプリキュア♪』...OP「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」

プリキュアと音楽11

曲の入りはなんとベルトーン、さらにギターカッティングとロック要素満載で始まります。メロ前の「スイートプリキュア」でのベース連打もシビれまくりです、バンドでやったら絶対盛り上がる。コード進行もハトキャの流れをほとんど感じないロックテイストで、色々女児的じゃない感がぬぐえません。スイート(組曲)というより本当バンドです。

とにかくベースが目まぐるしく動く曲で、ミキシングこれでいいのかってくらい低音が聞こえます。サビのコードがフレッシュと似ている、というか4つ目まで同じで(A♭-C-Fm-A♭7)、これまたセブンスが効きまくりです。「For you(For me)」からの流れも黄金コードを裏切らず、安心して聞けます。 まぁ、何かと大人びた作品でしたよね、スイート。その異色感はOPにも如実に反映されていると感じました。


■『スマイルプリキュア!』...OP「Let's go! スマイルプリキュア!」

プリキュアと音楽12

スイートもある意味王道だったんですが、スマイルでは女児アニメとしての王道に一気に回帰します。OP入りの「スマイル×5 プリキュア」後は、F-FM7-F7-D7とセブンス階段、その後ソソララ# シドと登って「輝いてスマイルプリキュア」と続きます。明るめアニソンの体を成していますね。 メロも比較的賑やかで気になる転調や調号もなく駆け抜けていきます。Bメロの「負けない勇気 たばねたら」からはD♭-A♭のわかりやすい転調。と同時にメロディーの速度もゆっくりになります。

しかし、そんなことより何より素晴らしいのは、プリキュア5人の名前を入れたことです。「ハッピー! サニー! ピース! マーチ! ビューティ!」これ、激アツじゃないですか! サビの「大切なその瞳 くもらせない」のGm-GmM7-Gm7-Cというマイナーゾーンでちゃんと敵サイドの表現になるというのも、アニメオープニングではお決まりです、王道です。でもこういうお決まりってのがあまりなかったんですよね、プリキュアOP。 歌詞とのマッチ度も高く、OPでは世界観の説明(町並みや登場人物の紹介)よりも各キャラにフォーカスを当てているのも特徴です。同じ5人編成のGoGoとOPを見比べてもその差は結構出てます。キャラの個性を大事にしているのがわかるOPと言えますね。だからこそ萌え寄りと言われたのかもしれません。 スマプリは愛ゆえにひいきせざるを得ないのがツライところですが...。それでは最後、現行のドキプリを語ります。


■『ドキドキ!プリキュア』...OP「Happy Go Lucky! ドキドキ!プリキュア」

プリキュアと音楽13

通算10作目ということで、否が応にも見る側も気合い入っちゃいます。OPは三連符から「世界はまるでメリーゴーランド!」と始まります。このメロディーはドレミファソラシ♭ ド、ド、ドとFメジャーのスケールになっており、なんとも解放感のあるフレーズとなります。解き放った感、ありますよ。 と思いきやメロはちょっと凝った構成になっており、「あたらしい服を着て」と「曲がり角 花の色」はメロディーが同じでも伴奏が異なります。この部分に若干の違和感を覚えるんですが、プリキュアってこういうのだったな、と。むしろ最近のシリーズが普通(音楽的な意味で)過ぎたんじゃないかと思い知らされた感じです。このすかした感がどことなく懐かしい。

Bメロは「それが普通でしょ」以外は変調もなくわかりやすいコード進行です。雨のシーンと相まってここが第一マイナーエリア、第一盛り下げ部分ですね。その後は、ドレミファソラシ♭ ド、ド、ドと解放につながります。 何が言いたいかというと、余りにも、余りにもスタンダードな曲なんです! 程よいすかした感(メロ)と、程よいBメロの寂しさ、そこからつながる待ってました感マックスのサビ。コード進行的にも違和感なく、突飛な音があるわけでもありません。それはスマプリも同様なんですが、あっちはかろうじでサビのマイナーゾーンが効いてると判断しました。 総じて、ある意味最も「変哲のないプリキュア」と言えるかもしれません。作品的にも歴代王道要素が盛り込んである感じですし(5人目のプリキュア、仲良しの敵、家族要素強めなど)、スマプリの刺激に比べるとやや物足りないという印象は否めません。この先キャラに対する愛着が増えてくればどうなるかわかりませんが...。

こうして改めて振り返ると、連綿と続くプリキュアの美しき魂はどんどん形を変えていっているんだな、と実感します。初代やMHからプリキュアを見てる人と、フレッシュやスイートから知った人とでは、プリキュアに対するイメージもかなり違うんじゃないでしょうか。プリキュアジェネレーションギャップですね。なんか技名みたい。

でもやっぱり、あのペンタスケールで「プリッキュア プリッキュア」って聞くと、うぉぉおおお!! ってなるんですよ。アツさと好みは別なんですよ、スマプリやハトキャも大好きなんですけど、アツさとはまたちょっと違うんですよ!

さて、EDにまで触れるとキリが無いのでこの辺で。作品としても音楽としても、本当にプリキュアは素晴らしい作品です。プリキュア、大好きだぜ!

©ABC・東映アニメーション


ドキドキ!プリキュア

(ヤマダユウス型)