一昔前の「未来の犯罪対策を描いたディストピア・スリラーもの」は、明日の「現実的な犯罪対策」?
どうもThe Atlanticによれば 、犯罪学者たちは『ニューヨーク1997』が現実的だと考えているようです。『ロボコップ』や『ジャッジ・ドレッド』、『バトルランナー』の描く未来が「現実的な犯罪対策」だなんて言われても、冗談だと思われる方も多いかもしれませんが、犯罪学者たちは至って真面目。ちょっとその犯罪学者たちの言い分をThe Atlanticからいくらか抜粋してみましょう。
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国際州立犯罪研究組合理事長で、オールド・ドミニオン大学、社会学・犯罪学准教授のドーン・L・ロスさんは、以下のように語っています。
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現在政府が使用している技術を見てみれば、ここ米国などでは特に、『ロボコップ』に近いものがあるんです。......(作中のオムニ社のように)刑務所も民営化を始めていますし、国外では紛争問題、国内でも国防に民間企業が携わっていますしね。
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より多くの物事が犯罪化されていることから考えると......(『ニューヨーク1997』のようなことが起こることは)可能性としては十分あると見ています。特に経済状況が悪化し続け、失業率が上がっていく中で...広大な地域を刑務所にして、犯罪者たちはそこで放任されるというようなことは、私には可能性の高いことに見えますね。
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娯楽情報番組と恐怖を使えば、(『バトルランナー』のように)圧政の中で大衆を簡単にコントロールするのも難しくはないでしょう......それが完全な全体主義的警察国家であれば、全くもってあり得ることです。なぜならその国家が成立する時点で、一般大衆や、特に犯罪者たちは消耗品に過ぎなくなるのです。刑務所内の犯罪者たちを減らすと同時に一般大衆を楽しませ、不満を抑えることで、大衆が国に対する脅威とならないようにするということです。
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また、『Criminology Goes to The Movies』(仮題:映画に見る犯罪学)の共同執筆者で、テネシー大学助教のミシェル・ブラウンさんはこうも言っています。
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『マイノリティ・リポート』では、司法と科学の欠陥と失敗が、(現実にある)誤った有罪判決、集団投獄、DNA技術、そして予防拘禁(犯罪者たちが「将来起こす危険な行動」を名目に、文字通り「倉庫保管」されるのです)などに照らし合わされ、それらを危惧した作品となっています。
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一見過激に見える『ジャッジ・ドレッド』の世界の司法システムも、ロスさんによれば、「対テロ戦争」の名目で成されていることとは、そう違わないんだとか。
なんだかそう言われてよく考えてみると、我々の生きる現代は、これまで映画で描かれてきた暗い未来に一歩一歩近づいているような気も......。そんな未来を生き抜くためにも、今のうちに今回の記事に出てきたディストピアものの作品を見なおしておくのもいいかもしれませんね!
[The Atlantic via Kotaku]
(abcxyz)
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