イカルスジャーナルに掲載された論文で、ウラジミール・シチェルバーク氏とマキシム・マクコフ氏が地球外文明人と通信する最良の方法は、遺伝暗号に埋め込まれたメッセージを送ることだと主張しています。彼らは、これが「生物学的地球外知的生命体探査」に繋がるのではないかと期待しているようです。
それでは、以下から彼らの主張の要約と、詳細をどうぞ。
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地球外知的生命体探査(SETI)の調査範囲の拡大は、常々提案されてきており、生物学的メディアは候補のひとつとされています。ゲノムDNAは、既に地球上で非生物学的情報を格納するために使われています。遺伝コードは容量は小さいものの、ノイズに耐性があります。
コードとは、コドン(核酸の塩基配列が、タンパク質を構成するアミノ酸配列へと生体内で翻訳されるときの各アミノ酸に対応する3つの塩基配列:wikipediaより)とアミノ酸の間の柔軟なマッピングのことで、この柔軟さがコードを人工的に修正することを可能にします。しかし、1度固定してしまうとコードは宇宙論的な時間スケールで変化しないままになる可能性があります。実際、最も耐久性がある構造と知られているものなのです。
したがって、それが生物学的および熱力学的必要条件に一致した場合、インテリジェントシグネチャーにとって、非常に高い信頼性を持つ記憶装置であることを表しているのです。
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ランダムな突然変異と混同の可能性に関して、もし転移RNAやアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)で突然変異が起こった場合、遺伝子を無作為に繋げてしまう恐れがあります。そうすると、ゲノム中の全遺伝子が前のコードに書かれたままになり、細胞は後代を残すことなく急速に姿を消してしまうのではないでしょうか。
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転移RNAやアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)で、そのような突然変異が起こる可能性は、ゲノムの中の数千の遺伝子にそのようなコドンが多数あることを考えると、無視しても構わないほど低いと言えるでしょう。遺伝子コードの組織は、非常に強い精製選択をし、それは数十億年以上、そのままの形を保つのです。
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シチェルバーク氏とマクコフ氏は、インテリジェントシグネチャーは空間と時間を介して伝達することが出来ると主張。そして、私たちの遺伝コードは「数十億年以上前に、既に太陽系外に考案された可能性がある」と結論づけています。
その理論を証明するためには、DNAの中から自然では形成されることのないパターンを見つけなければならないでしょう。彼らは「地球上のコードは、情報信号とみなされる基準と一致する徹底的な精密型秩序を表示しており、コードの単純な改変で、記号言語の数学的および『表意的』なパターンの一連を明らかにするかもしれない」と記しています。
シチェルバーク氏とマクコフ氏は、初めてこのアイディアを思いついた人物というわけではありません。実際に、この理論は1970年代から唱えられているものなのです。私たちのDNAの中に、なんらかのコードやメッセージを探る試みもありました。2010年には、ポール・デイヴィス氏が「ゲノムSETI」を唱えています。しかし、io9のジョージ・ドボルスキー記者は、今回のトピックが彼が今まで見て来た中で最も徹底的に調査していると書いています。
とはいえ、当然ですが、彼らの主張が正しいということにはならないでしょう。考慮すべき点が幾つか残されています。
まず最初に、これが実際に宇宙の距離を離れた所に通信する最も効率的な方法かどうかが明らかになっていません。どちらかと言えば、過度に複雑な手法に感じられます。更に重要なことは、ブレイスウェル探査機やレーザー光の集束ビームの自己複製といった他の通信方式の方が理にかなっているかもしれないということでしょう。
第二に、パンスペルミア説は、未だ立証されていません。
最後に、他の生物学的および科学的な再現方法、もしくは、より実用的なものが存在するかもしれません。それだけでなく、この図式は地球外生命体と私たちと同じ生化学を持つ惑星との通信に制限をかけるかもしれないのです。
興味のある方は、是非全文(英文)もご覧ください。
画像:ieti.org
[via io9]
(中川真知子)
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