3年前、日本の調査員は「かぐや」という月周回衛星を使い、月の洞窟を発見しました。その地下構造は直径65メートル、奥行きは最低でも80メートルと推定されています。クレーターと呼ぶには深く、溶岩によって形成された自然の洞窟ようです。この洞窟を調査する計画は既に動いており、洞窟をゆっくりと進むロボットの開発が進められているとのこと。
この洞窟探検ロボットは、現在、ウィリアム・レッド・ウィテカー氏と、ペンシルバニアのピッツバーグにあるカーネギーメロン大学の彼のチームによって開発されています。
ウィテカー氏はアラスカの火山の降下やスリーマイル島のクリーンナップを助けるロボットを開発した経験があり、狭い場所に入るロボットを開発するのは今回が初めてというわけではありません。
しかし今、natureのデヴィン・パウウェル記者が報じるによると、ウィテカー氏は規模の大きなアイディアを実行しようとしているそうです。詳細は以下より。
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今後2年間、NASA Innovative Advanced Concepts(NIAC)事業は約50万ドル(約4000万円)を費やしてウィテカー氏の創造物を開発しようとしています。ウィテカー氏が炭鉱でテストしたプロトタイプは、月のくぼみの壁に、穴があるか確認する為に深く入る事が出来たでしょう。しかし、より大掛かりなアプローチは、ロボットが穴に向ってジャンプしたり、ケーブルを使って自力で降下したりするものかもしれません。
最初のプロトタイプは四駆の洞窟探検機で地下を自力で進み、搭載されたレーザーが床面や壁、天井部分をさっと見渡すことでトンネルを精密に地図に示すことが可能で、既に炭鉱のトンネルで使われています。
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ロボットが調査する予定の「溶岩洞」は、将来の月面基地として都合の良い場所となるかもしれません。地質学社のカロリン・ヴァン・ダー・ボガート氏は「岩石からなる天井は、微小隕石の衝突と宇宙線から人々を守ってくれます。」とNatureに話しています。
しかし、ウィテカー氏によって開発されているプロトタイプは想像力が欠けていると言わずにいられません。彼の動画に登場する大きく不格好で重い四駆の探査車は、荒廃した炭鉱で見られる障害物よりも厳しいものに遭遇する可能性があります。
代わりに、研究者達は生態摸倣と、洞窟内をはったり移動したりする順応性のある快活な動物のようなロボットの開発に労力を注ぐことに集中するべきかもしれません。動画のような6脚類のロボットが良い例です。これなら予測しない障害物があったとしても、4脚より安定することが出来るでしょう。
安定や障害を避けるという点では、『プロメテウス』に登場するような飛行ロボットが最適のようにも考えられますが、月は風圧抵抗を生む大気を持たないため、開発は難しいのではないでしょうか。
とはいえ、ロボット工学専門家達は、このプロジェクトを始めたばかり。最終的に、より精巧で複雑化したバージョンが開発されるのでしょうね。
トップ画像:映画『プロメテウス』より
[via io9]
(中川真知子)
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