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ちょっとディープな中国のゲーム&ゲーマー事情

2013/04/09 19:08 投稿

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中国のゲーム&ゲーマー事情


中国のゲームと言えば、コンソールがBANされているだとか、グレイマーケットの存在だとかが頭に浮かびますが、どうやらそれだけでは無いようです。先日、Al Jazeeraが、中国のプロパガンダゲームとゲーマー事情を報じました。興味深かったので、その内容をまるっと紹介したいと思います。

それでは、以下から詳細をどうぞ。
 


【大きな画像や動画はこちら】

 
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中国、北京、土曜の午後7時。リウ・カオさんは、中国の繁華街にほど近い陰気なインターネットカフェにやって来ました。この24歳の男性は、職を求めて中国の中心地にやって来ました。しかし、夜間の娯楽には興味は無いそうです。彼は、仕事が終わると、チャットやボイスチャットで仲間とコミュニケーションするMMOに、平均して5時間もアクセスしているのです。

ゲームサイトの17173.comによると、中国で最も人気のあるゲームは、韓国の『ブレイドアンドソウル』、アメリカの『リーグ・オブ・レジェンズ』、そして韓国の『リネージュ エターナル』の3本。中国産のゲームは若者に人気がありません。ゲームフォーラムには、「面白いゲームはすべて海外で作られています。中国の会社はなぜ、良質のゲームを作ることができないのでしょうか? 」というQwedcxzas222の投稿のような、中国産ゲームの批判ばかりが目立ちます。

中国の文化省は、中国には3億人程度のゲーマーがいると考えています。そして、その大きな数字に政府が目をつけないわけはありません。国はゲームをプロパガンダに利用しようと考えたようです。

ーレッドゲームー

去年7月、アジア最大のゲームコンベンションにて、中国のGeneral Administration of Press and Publication(GAPP)は、国がゲームに強い興味を抱いていると発表しました。「GAPPは、よりクオリティの高い中国産のゲームを販売することに力を入れたいと思っています。秀でた国産オンラインゲーム会社のサポートに全力を尽くします。」とGAPPのサン・ショーサン氏は語りました。

インターネットコンサルタントAnalysis Internationalのアナリストであるシュウ・ヨンフェン氏は、中国産のレッドゲームに関して説明してくれました。レッドゲームとは、愛国をテーマにしたゲームのことで、例えば、『Shining Sword』と『Resistance War 2』の2作は、日本の占領下にある中国で、プレイヤーは反乱軍に入り占領者と戦うというもの。これらは4年前から市場に出回っているようですが、中国人ゲーマーにはそこまで人気があるわけではないようです。前述の17173.comによれば、これらは人気ゲームランキングで376位と718位という結果になっているそうです。ゲームフォーラムには、レッドゲームのクオリティの低さとリアリティの欠如を嘆くコメントが多く投稿されています。中国のナショナリズムに重きを置くあまり、中国軍が必ず勝つ結果になっているようなのです。

ー中国はいつだって悪者ー

人気ランク57位のFPS『Glorious Mission』は、中国の軍隊が、現代の戦争用に兵士を訓練するゲームをプロデュースしたいと国内のデベロッパーに交渉した結果生み出されたゲームで、2009年に創設されたWuxi Glorious Mission Companyという会社が開発を任されています。このゲームは、元々軍が内部で使用することを目的としており、開発チームは軍隊と密接に開発を進めて来ました。グー氏は、そのことを「夢が叶った」と話しています。「かつての中国人は、ゲームの中でいつでも悪役として登場してきました。私の夢は、中国人がヒーローになるゲームを作ることだったのです。」

グー氏は、アメリカの軍隊がしたように、中国の軍隊が一般にもプレイされるゲームを作りたいと考えていると知ったとき非常に驚いたそうです。彼は、『Glorious Mission』がレッドゲームだと周囲から思われていることを残念に思っています。レッドゲームはプロパガンダを目的にデザインされています。しかし、『Glorious Mission』は、中国の軍隊の経験を再現することを目的にしているのです。

ー「そんなゲームは聞いたこと無い」ー

 インターネットカフェで、リウさんはコートを脱ぐ手間も惜しんでスクリーンに向い、マウスを光速でクリック。そのすぐ横に外国人記者が居ることも忘れたのか、私は15分間も放置されました。

韓国産の『クロスファイア』をプレイする合間に、リウさんに『Glorious Mission』のことを聞いてみました。「そんなゲームは聞いたこと無いね。」そして、レッドゲームのことも何も知らないとのこと。また、リウさんの横に座っていた19歳のワン・ジーさんにも聞いてみましたが、彼もレッドゲームのことは聞いたことも無いと話ました。

全体的に、ゲームは景気づいているビジネスです。中国のGaming Industry Report 2012は、2013年から2017年までのゲーム市場の年間成長率は12.3パーセントで、約220億ドルに達するだろうと予想しています。この数字は決して大げさでなないでしょう。しかし、レッドゲームがより革新的でクリエイティブにならない限り、難しいかもしれません

「国産のゲームデベロッパーは、ゲームのソーシャルバリューを考慮に入れても良いでしょう。」と指摘するのはAnalysis Internationalのシュウ氏。しかし、「彼らの主な焦点は、どうすれば今よりも面白くてて利益をあげることのできるゲームが作れるのかということなんです。」と締めくくりました。
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ところでグレイマーケットの最新ネタを聞いたので追記を。最近は有料アプリ入れまくりの脱獄スマートフォンが人気とのこと。○in1の概念が2013年現在もあるとは!



China's patriotic video games fail to excite
[Al Jazeera via Kotaku]

(中川真知子)

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