特撮作品を中心に、週替わりで無料配信を行っている「東映特撮 YouTube Official」。近年のスーパー戦隊シリーズや平成仮面ライダーシリーズのネット専用スピンオフ番組などが配信されていますが、懐かしの昭和特撮も配信されています。
ちょうど今は『変身忍者 嵐』『太陽戦隊サンバルカン』『世界忍者戦ジライヤ』が配信開始されたところ。オールドファンには懐かしく、若いファンには新鮮なテイストに満ちあふれたこの三作のみどころを以下にてご紹介しましょう!
『変身忍者 嵐』
昭和47年(1972年)に放映開始された、異色の時代劇特撮アクション。この前年、昭和46年から放送されていた初代『仮面ライダー』の大ヒットを受け、東映の得意とする時代劇と変身ヒーローを合体させた新番組を、というコンセプトで制作された作品です。実際、『仮面ライダー』制作に携わったスタッフが多く参加しています。
時は江戸時代。怪人・魔神斉が率いる「血車党」の野望を阻止するため、主人公ハヤテが化身忍者の秘法で「変身忍者 嵐」となり闘う、というストーリー。ハヤテは元々「血車党」の一員で、魔神斉の野望を知って父親とともに党を抜け、その父親に肉体を改造してもらい「嵐」となる...という設定はやはり『仮面ライダー』の影響を強く受けていますね。
トサカや目、羽の意匠が今見ても斬新なデザインの「嵐」ですが、残念ながら『仮面ライダー』ほどのヒットには恵まれず、放映途中で幾度かのテコ入れを行ったため、番組の雰囲気や敵の設定がわりあいコロコロと変わっていきます。このライブ感(?)も今はなかなか見なくなったところ。
近年の特撮作品で放映途中に番組の雰囲気が大きく変わったものといえば『仮面ライダー響鬼』がありますが、もともと『響鬼』は仮面ライダーシリーズではなく『嵐』をベースとした新作を制作するつもりで企画されていた...というのも何か因縁めいたものが。
『太陽戦隊サンバルカン』
昭和56年(1981年)から放映開始された、スーパー戦隊シリーズ第5作目。前年の『電子戦隊デンジマン』の延長線上にある世界設定で物語が続く作品、というのが最も特徴的なところです。デンジマンたちが引き続きヒーローとして戦うわけではありませんが、彼らの宿敵であり『デンジマン』最終回で生死不明のまま退場したへドリアン女王が『サンバルカン』序盤で復活、敵組織の幹部として活躍します(その他の登場人物も、かつてのデンジマンの活躍について物語中で言及します)。
サンバルカンことバルイーグル、バルシャーク(ブルー)、バルパンサー(イエロー)の3人が機械帝国ブラックマグマに立ち向かう熱血ストーリーですが、とにかくこの頃のスーパー戦隊作品は異様なテンションの高さとハイテンポなストーリー進行がすごい! 当時の東映らしい男臭くて泥臭いアクションドラマの熱気が、スーパー戦隊作品にも反映されていたのでしょうか? 今作では主役の3人がみんな男というところもそれに拍車をかけています。
へドリアン女王役・曽我町子さんのさすがの魔女芝居、嵐山長官役の怪優・岸田森さんの存在感なども魅力ですが、当時リアルタイムで視聴していた世代(筆者もそのひとり)としては、物語中盤でリーダーであるバルイーグルがNASAへ招集され退場、二代目バルイーグルと交代になるという展開が衝撃的でした。
『世界忍者戦 ジライヤ』
昭和63年(1988年)から放映開始された、メタルヒーローシリーズ第7作目。放映終了時には昭和が終わり、平成元年となっていました。
『宇宙刑事ギャバン』以降のメタルヒーローシリーズは、その名のとおりメタリックなボディのヒーローがメカやSF科学技術の力を使って戦うといった特徴がありますが、本作はタイトルどおり「忍者」がヒーローです。そのため他のメタルヒーローシリーズとはぱっと見の印象が異なり、一時期は公式にもメタルヒーローシリーズとは別の扱いを受けていたこともありました。
主人公・山地闘破(やまじ・とうは)は戸隠流忍術第三四代宗家・山地哲山の養子。秘宝「パコ」の隠し場所を記した石版を邪悪な妖魔一族から守るため、ジライヤスーツを装着し「磁雷矢」として闘う、という物語。みどころは世界各国から挑戦を挑んでくる「世界忍者」の面々。いわゆる「怪人」とはまた違ったバラエティ豊かなそのキャラクター性は、後の対戦格闘ゲームのキャラクター造形に影響を与えた...ということはないとは思いますが、一見の価値ありです。
ちなみに、山地哲山役の初見良昭さんは俳優ではなく、高名な武道家です。本作の武芸考証も担当されていますが、実は本当に戸隠流忍術第三四代継承者(つまり現代に生きる本物の忍者)なのです!
というわけで、最近配信が開始された三作を解説しました。東映特撮 YouTube Officialでは週替わりで2話ずつ配信されていますので、おやすみ前に「俺だけの夜のスーパーヒーロータイム」としゃれこむのもいいのではないでしょうか?
東映特撮 YouTube Official[YouTube]
(マコ小林)
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