950円で320ページ。ボリューム、大です。
怪談専門誌『幽』の妹的文藝エンターテイメント・マガジン『Mei』が創刊されました。電子書籍への注目度が高まりまくっている今日この頃、年2回の刊行ペースとはいえその度胸っぷりに拍手を送りたいっ!
メニューは闇歩き(夜歩き)エッセイ&ガイド、怪談小説、怪談漫画、怪談実話、怪談スイーツ(?)と色とりどり。怪談、というキーワードが並んでいますが、おどろおどろしさはナシ。
「深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」というニーチェの言葉がありますが、『Mei』に関しては深淵を眺めていたら、「ハーイ」と挨拶してくれた感じ。ちょっと怖いけど楽しく優しいコンテンツばかりです。
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「クロマドボタルが光ってますよ」
近づいてみると、草の影で小さな光が瞬いた。(中略)
注意してみると、そこここでクロマドボタルが光っていた。
自分が乗っている草の葉すら照らさないほどの光だが、闇の中で見るそれは、気づけば強い存在感を発揮していた。(14ページ)
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箱根山のナイトハイクを綴った「闇夜の光を堪能せよ」から抜粋。夜の山というと怖いイメージがありますが、加門七海さんの筆によるその世界は優しさに満ちたものでした。しかし富士山を歩く登山者のヘッドランプが箱根山から見えるとは。光って、すごいね。
気持ちよくトリップさせてくれる冒頭の「闇夜の光を堪能せよ」をはじめ読みドコロ数多の一冊。「ほぼ読み切り」とのことなので、お試しに読んで見てはいかがでしょうか?
(武者良太)
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