子供向け映画の中で、エイリアンを可愛くするのは中々難しいもの。あまりに変な外見にしてしまうと、子供達を怯えさせてしまいますし、かといって、可愛くし過ぎてしまうと単なるぬいぐるみになってしまいます。きっと、子供向けのエンタメを作る人達は、エイリアンなんだから「可愛いにも関わらず少しだけ恐い」という見事なバランスを狙いたいのだと思いますが、残念ながら、単に気持ち悪いだけになってしまっているものが多いのが現実です。
そこで今回は、そんな「可愛いけどちょっぴり恐ろしい」になるはずだったエイリアンや、コンセプトが恐いギリギリの宇宙人12選をご紹介します。
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1 マック 『マック』
マクドナルドとコカコーラがスポンサーとなって作られた映画『マック』。この作品に登場する「Mysterious Alien Creature(頭文字を取ってMAC)」は、『E.T.』をバリバリ意識してデザインされたことが伺えますが、残念ながら大失敗に終わっています。
ストーリーは車いすに乗った少年と、家族と離ればなれになってしまったエイリアン「マック」の心温まる友情がメイン。マックは決して極悪なエイリアンではありませんし、周囲の人間もエイリアンには比較的好意的です。しかし、マックの外見は、ブラックホールに吸い込まれる一歩手前で、強力な力によって引き戻されたかの如く不格好。ずんぐりした体と無駄に長い手足は、エイリアンというよりも、周囲の迷惑を顧みる事無く、だらしなくたるんだ体を見せつける裸族です。そしてポカンと開いた口は、まるで出来の悪いダッチワイフ。100%キモいだけで終わってしまっています。よくこのデザインにゴーサインが出たな、とむしろ感心(特にマックのお父さん)。
ちなみにエイリアンのデザインの酷さもですが、ストーリーも酷い。特にマクドナルドでのパーティーシーンが。これぞ、アメリカ!! という馬鹿さが詰まっている映画です。是非、見て頂きたい作品です。そして、みんなでこの映画のヒドさ素晴らしさを語り合いたいです。
2 テレタビーズ 『テレタビーズ』
BBC製作の子供向けテレビ番組『テレタビーズ』に登場するティンキー・ウィンキー、ディプシー、ラーラ、ポーの4人(人と書くべきなのか?)は、派手な色をしたエイリアン。彼らの目的はただ1つ。子供達を洗脳し、テレビ中毒にさせること。
彼らの目は、腹部に内蔵されたテレビによって生気を吸い取られ、偽りで覆われています。また、この内蔵テレビは、かどわかされた子供達の映像を頻繁に流します。そして、オープニング映像にも出て来ますが、赤ん坊の頭部を火にかけたものを太陽の代用品にしています。私たちは、クトゥルフに恐怖心を抱いて居ますが、もしかすると、テレタビーズの4人こそ、恐れなければならない相手なのかもしれません。
3 ポッド族 『ダーククリスタル』
『セサミストリート』や『ミスベギー』をデザインしたジム・ヘンソンは、世界で最も重要なマペット制作者のひとりであり、彼が作ったキャラクター達は今でも多くの人々に愛されています。しかし、そんなジム・ヘンソンでも失敗することはあるようです。
『ダーククリスタル』のスケクシス族もそうですが、何より酷いのはポッド族でしょう。キーラを育てた心優しく穏やかな農民種族。彼らは間違いなく「可愛い」を目指してデザインされたはずです。しかし、非常に残念なことに、彼らは長時間電子レンジにかけられたマペットにしか見えません。ふくらんだ頭部と不格好な目、ごわごわした髪の毛はキーラを怯えさせたに違いありません。
4 クリーチャー 『ギャラクシー・クエスト』
カルトクラシックの『ギャラクシー・クエスト』に登場するクリーチャーは、「可愛いクセに恐い」を狙ってデザインされたことが見てとれます。しかし、恐くなる前の可愛いはずの場面でも、非常に不気味。ぬるっとした肌質と幼児のような体。LSDでラリッたテレタビーズのようにも見えます。口を開けて鋭い歯を見せるシーンで恐さを出そうとしたのだと思いますが、それ以前に充分気持ちが悪いです。
5 トリブル 『スタートレック』
トリブルを見て気分を害する人は少ないかもしれません。しかし、生暖かい大量のモフモフを触る事を想像してみて下さい。最初の数分は幸福感を味わえるかもしれませんが、段々と気味が悪くなって来るのではないでしょうか? 排水溝にたまった髪の毛のような気味の悪さを感じるのでは無いかと思います。しかも、どんどん繁殖します。生暖かい毛の塊が増え続ける光景は、まるで悪夢でしょう。
6 トランピー 『Los nuevos extraterrestres』
1980年代に作成されたスペイン映画『Los nuevos extraterrestres』。本来なら、この映画は、猿の体とアリクイの頭を持った小さなエイリアンが馬鹿な人たちを殺すというホラーになるはずでした。しかし、世界的に大成功をおさめた『E.T.』を見たプロデューサーが、個性的なエイリアンと子供の絡みには、マーケティングポテンシャルがあると感じて、ハートフルなストーリーにしたいと急遽変更。そうして出来上がったのが、トランピーというキャラクターです。
『マック』は『E.T.』の二番煎じのようですが、独自の方向性でかなり面白い作品に仕上がっています。しかし、トランピーも失敗です。ホラーで攻めるべきでした。とは言え、ホラーだとしても、トランピーのデザインだったらZ級だったと思いますが...。
7 妖精ガズー 『原始家族フリントストーン』
日本でも放送され人気を博した『原始家族フリントストーン』に登場する緑色した小さなエイリアンは、フレッドに脳腫瘍が出来て、副作用で見えている幻でも無く、リアルに宇宙から降りて来たエイリアンです。人間の物欲を満たしてくれる妖精ガズーは、人々を堕落させる悪魔です。しかも、妖精ガズーが地球に降り立った理由も、ガズーの性格の悪さを表しています。彼は、地球を破壊するだけの威力を持つデバイスを作ったのです! しかも、気まぐれな思いつきで、です。こんな危険な宇宙人はいません。
8 『ブーバー』
『テレタビーズ』と同じくイギリスの子供向け番組『ブーバー』。『テレタビーズ』なんか恐くない、と思った人でも『ブーバー』のオープニングの狂気っぷりには恐れを抱くはず。ブーバーは、亀頭のような頭に、眩しいくらいの蛍光色の体毛。その姿は、犬の出たり引っ込んだりするペニスのようです。彼らの頭部には光る斑点と突起物が付いており、まるで怪しい病気のよう。
しかし、ブーバーの真の恐ろしさは外見ではありません。彼らは、子供達の笑い声を食べるのです。子供達が笑うと、ブーバーのブーボールが出現し、子供達の楽しそうな声を食べてしまうのです。テレタビーズは、子供達をテレビ漬けにするのが目的でしたが、子供達の楽しみを奪うようなことはしませんでした。それを考えると、この狂気に満ちたオープニング映像もそうですが、ブーバーの方が何倍も恐ろしいモンスターだと言えるでしょう。
9 ディアポーズ 『ドクター・フー』
『ギャラクシー・クエスト』の艶かしいクリーチャーのように、ディアポーズも可愛いけれど恐いキャラクターにしたかったのでしょう。たしかに、ディアポーズの外見は可愛いです。しかし、奴らの成分は脂肪です。ご機嫌なマシュマロみたいに見えますが、奴らは人間の体の中で、もっとも気持ち悪い成分で出来ています。映画『ファイトクラブ』でブラット・ピットとエドワード・ノートンが石けんを作るために脂肪を盗んでいましたが、アレと同じもので出来ています。黄色いブヨブヨになるかと思うと、恐いよりも気持ち悪いとしか思えません。
10 パックマリン 『ナビゲイター』
12歳のデイヴィッドは森の中で行方不明になり、8年後にそのままの姿で発見される。そんなデイヴィッドをNASAが調べると、頭の中にUFOや人が知らない情報が入っていた...という1980年代に公開されたディズニーのジュブナイルSF作品。このデイヴィッドのペットが、小さいエイリアンのパックマリンです。ペットだし、可愛くしたかったのだと思いますが、残念ながら「過食症のハダカデバネズミ」にしか見えません。でも、音楽にあわせて踊るシーンなんかは結構愛らしいと思います。
11 E.T. 『E.T.』
E.T.の外見は陰嚢です。E.T.の胴は大きくシワだらけで、毛が生えていないところなんかも、まんま陰嚢です。頭部は恐ろしく歪んだ陰茎のようです。興奮すると伸びるという機能的な部分でもそっくりと言えます。いくら、世の人々がE.T.のことを心優しく可愛いエイリアンだと言っても、彼が地球に降り立ってからの行動を思い出してもらえば、単なる平和なエイリアンではないということが分かってもらえると思います。
1. ビールを飲む
2. ドリュー・バリモアのクローゼットで着替えごっこをして遊ぶ
3. 友達のふりをしてエリオットをかどわかす
大人が子供の友達のフリをするなんて裏があります。「キャンディーをあげるからこっちにおいで」と言ってくる怪し気な大人と一緒です。そして、忘れてはいけません。E.T.が政府機関に捕まった時、悪意なんて微塵も見せずに、謎の共生通信でエリオットを殺そうとまでしました。E.T.は歴史的にも、非常に危険なモンスターと言えるでしょう。
12 イウォーク 『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』
彼らを可愛くて小さなテディベアだと思っていませんか? 縫いぐるみのような外見をしていますが、よく見ると彼らの目はホオジロザメのように黒々と冷酷です。そして、彼らは反乱軍の助けがなくとも、訓練された帝国軍を叩きのめすくらい強く賢いのです。そのことからも、このテディベアは冷酷な殺人マシーンだと言えるでしょう。
そして、忘れてはいけません。彼らは人間を食べます。確実に、彼らはハン・ソロを丸焼きにして食べようとしていました。しかも、ルークが助けにこなければ、生きたまま焼き殺そうとしていたのです。そこで疑問が沸いて来ます。ラストシーンでイウォークがドラムのかわりに叩いていたヘルメットは、人間を補食した後に記念品として取っておいた物なのではないか? と。だとしたら、あの宴で奏でられていた陽気な音楽は、裏で生きたまま丸焼きにされているストーム・トルーパーの悲鳴をかき消すためのものかもしれません...。
[via io9]
(中川真知子)
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