ノーム・チョムスキー氏といえば、生成文法を提唱する言語学者として広く知られています。同氏は、去年開催されたMITの「脳・心・機械」のシンポジウムで、AI理論家が行動心理学と同等のアプローチを採用したことに対して批評し、その内容は後にGoogleのピーター・ノービン氏を始めとする大勢から反感を買うこととなりました。
そんなチョムスキー氏が、Atlanticのロングインタビューに応じ、現状なぜ人工知能の開発が実現していないのか? についての見解を語ったようです。非常に長いインタビューなので、一部抜粋してご紹介します。
それでは以下から詳細をどうぞ。
チョムスキー氏は、多くのAI理論家達が脳の限られた部分での動作ばかりに着目しており、どのように認識作用が関係しているのかという全体像に目を向けずに、沼にはまっている状態であると主張しています。そして、同氏はAIの開発者と神経化学者が共に、彼らが研究している問題のインプットとアウトプットを描写していかなくてはならない、とも語っています。
例として、視角に関してなら、ビジュアルシステムの持つコンピューター型のタスクが何なのかを考えることから始めるでしょう。「それが持つであろうコンピューター操作のアルゴリズムを探り、そのアルゴリズムを成り立たせるメカニズムを調べるのです。そうしなければ、何も発見することは出来ません。」とチョムスキー氏。
また、こうも続けています。
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もし、アリの神経学を学びたいのなら、アリが何をするかを問い、経路積分のような複雑なことをすると知るのです。それがミツバチであれば、太陽の位置などが関係してくる非常に複雑に計算された「ミツバチのダンス」の存在を知ることになります。
ところが、一般的にこれが動物や人間の認知力に目を向けるとなると、コンピュータの型にはまった考え方になってしまいます。その結果、計算の構成部分に目を向けたくなるのです。1936年に数学者のチューリングが考案した最も単純な仮想計算機の「チューリングマシン」のことを考えてみて下さい。
「読む」「書く」「処理する」というような最小のプロパティー構成が必要であれば、それに相当する脳の働きを調べるでしょう。それはシナプスの繋がりを強くしているものや、フィールドプロパティーを探し求めている限り、見えて来ないのです。そこに何があって、どのように働いているのかを見ることから始めなければいけないのです。
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ネタ元のAtlanticにはより詳しいインタビュー内容が掲載されています。
トップ画像 via flicker
[via io9]
(中川真知子)
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