2000年より主流な家庭用ゲームコンソールが禁止されている中国。しかし、中国ではそれ以前から現在まで、どこか昔懐かしいゲームが怪しげなサードパーティー製のゲーム機で遊ばれてきました。
その中のひとつがこの「小霸王」。エリック・ジョウ記者によれば、「物事がよりシンプルで、ゲームが家族でできる楽しいものだった頃」を思い出せる、懐かしのゲーム機だそうです。一体どんなモノなんでしょうか? 詳細は以下より。
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任天堂のファミコン、そして後にスーパーファミコンのコピー版として登場した小霸王は、多くの中国の家庭の必需品でした(ただ、「小霸王」というブランド名はキッチン製品から車載GPSまで、様々なものに使われているものでもあります)。中国の人が「赤と白のコンソール(红白机)」を持っている、と言った時にそれが意味するものは、もちろん任天堂のファミコンなのですが、現実には小霸王を持っているというのが一般的だったそうです。
小霸王は日本のスーパーファミコンのような形をしており、カラーリングはファミコンのよう。ボタンは電源ボタンとリセットボタン、そしてカートリッジ用のスロットがついています。
カートリッジは任天堂の正規のコンソールによく似たものでしたが、違ったのはその色と絵。コントローラーはどうかというと、小霸王一台につきファミコンに似たコントローラーが付いて来ました。ただ、コントローラーにはふたつの「ターボ」ボタンが、まるでスーパーファミコンのX、Yボタンを置き換えるかのようについています。グラフィックに関して言えば、8から32ビットのシステムです。
馬力の足りなさを補うのはその安さ。小霸王は1台たったの6ドル(約560円)で、4種のゲームの入ったカートリッジがひとつついてきます。小霸王用ゲームの価格は大体1ドルから5ドル、そしてその大半は複数のゲームがひとつのカートリッジに入ったものなんです。小霸王はNES/ファミコンゲームのエミュレーションボックス、と言ってもいいかもしれません。
ゲームのほとんどは、古き良きゲームです。例えば、『ボンバーマン』、『マリオブラザーズ』、『テトリス』、『ギャラクシアン』などなど。基本的に、カートリッジを小霸王に刺して電源を入れると、適当につくられたゲーム選択メニューが現れて、遊べるゲームの一覧をずらっと表示します。シングルプレイのものもあれば、2人プレイのものもあります。
現在、小霸王は中国中のガレージセールやフリーマーケットなどで見られます。しかし最近の中国の若い世代の間では、ヒップスタームーブメントとして新たに命を吹き返した小霸王の姿も見受けられるようになって来たのだとか。中国のバーなどで小さなテレビに接続された小霸王、それを現地で受け入れられたい若者や外国人がプレイする光景がよく見られるようになっているそうです。
あまり知られていないイカした北京のバーで小霸王を見つけたジョウ記者は、カールスバーグを飲みつつ、思い出に浸りながら『カラテカ』を小一時間遊んだそうです。今はオンラインで自分用に買おうかどうか悩んでいるんだとか。
米コメント欄でも「僕も持ってた!」とか「南アフリカ、ロシアでも人気だった」なんていうコメントも見受けられました。国によって、若いころ楽しんだ懐かしのゲーム機は違っても、それによって体験した楽しい思い出は変わらないんでしょうねー。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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