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スパイダーマンは本当に『アベンジャーズ2』に出られないのか? アメコミ映画の権利の話

2012/10/28 21:00 投稿

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アメコミヒーロー大集合映画『アベンジャーズ』をご覧になった方の中には、「なんでスパイダーマンやウルヴァリンは出ないんだろう?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。同じマーベル原作でありながら彼らが共演していないのは「権利」という壁があるからなんです。 今回の記事では、そんな疑問を持った方に向けて、権利という壁についての解説とその壁を超えてスパイダーマンやウルヴァリンなどのキャラクターが映画『アベンジャーズ』シリーズに登場する可能性について考えてみたいと思います。
 
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まずは基本的なお話から。アメリカの漫画出版社マーベル・コミックス(以下、マーベル)から出版されている作品に登場するキャラクターはその多くが同じ世界を共有しているため、原作上アイアンマンがキャプテン・アメリカのコミックスに登場することはおかしくないし、よくあることなんだということはご存知の方も多いはず。 ちなみに、そういう形での他作品への登場は「クロスオーバー」と呼ばれ、マーベルの作品に限らずアメリカのコミックス業界では当たり前の話。だからこそ、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソーなどがまとめて登場する『アベンジャーズ』というコミックスが成立しており、それが映画にもなったりするわけです。 もちろんマーベルのキャラクター、スパイダーマンやX-Menのウルヴァリンなども世界を『アベンジャーズ』のメンバーらと共有しており、原作上で彼らは共演しています。というわけで、映画『アベンジャーズ』にスパイダーマンやウルヴァリンが絡んでくるのは、原作から見れば当然ありえる話です。 ところが、原作上ありえるからいう理由で簡単に『アベンジャーズ vs X-Men』といった映画が作られることはありません(ちなみにこの対決を描いた同名シリーズが原作には存在します。記事冒頭の画像はそのシリーズのもの)。ここに、権利の壁が登場するわけです。 その権利とは映画版を製作し、その映画に関するものに対して持つ権利の事。映画そのものだけでなく、キャラクター商品などが含まれる場合もあります。そして、それらの権利は主に配給(製作)会社が原作側と契約を結んで(お金を払うなどして)獲得するもので、例えば『スパイダーマン』はソニー、『X-Men』は20世紀フォックスがマーベルと契約を結び、その映画版に関する権利をを獲得しています。 それら権利の契約は多くの場合、独占契約。そのため、例えばマーベル側がX社と契約と結び製作された作品『Y』を、自身の関連企業であるマーベル・スタジオで再び映画化しようと思っても、X社に渡した権利の契約をどうにかしないと新たな映画化できません。 また、映画としての『Y』の権利はX社のものであり、原作側のマーベルが『Y』のキャラクターを映画『アベンジャーズ』シリーズに登場させたいと思っても、マーベルの独断では実現しないものなのです。 このような壁があるとはいえ、マーベルが映画版の契約を他社と結んでいる作品のキャラクターが、マーベル自身が権利を持っている『アイアンマン』や『アベンジャーズ』などの映画シリーズに登場する可能性は完全にゼロではないはず。それではここから、私の考える2つの可能性についてご説明いたします。 まず1つ目の可能性は契約の期限切れ。映画版に関する権利の多くは更新制で、一定の期間のうちに映画を作らないと更新できないようになっている場合が多く、契約が切れてしまえば映画に関する権利が元の持ち主に戻るので、別の相手と交渉するもよし、自分で映画を作るもよしとなるのです。 例えばマーベルの作品である『デアデビル』は2003年に公開されましたが、それ以降続編が作られることはなく、今年の8月に権利契約が切れ、マーベル(厳密にはその親会社であるディズニー)の元に権利が戻ったと言われています(参考)。というわけで、主人公のデアデビルはもちろん、原作『スパイダーマン』シリーズにも登場する悪役キャラ、キングピンなどが他の作品に登場する可能性が出てきています。 また、契約更新のために急ピッチで映画が製作されたこともあります。1993年に製作された映画『ザ・ファンタスティック・フォー』はその最たる例で、配給会社コンスタンティン・フィルムが契約更新をするために、低予算映画の王者ロジャー・コーマンの協力を受け、超低予算で映画を製作するだけ製作し公開しませんでした(参考)。 それでも少なくとも製作はしたので契約は更新され、2005年には『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』がコンスタンティン・フィルムが持つ権利で製作・公開されました。2007年にはその続編も作られ、最近はスタッフ・キャストを一新しての新シリーズの製作が噂されています(参考)。 というわけで、最近映画が公開されて続編も製作中の『アメイジング・スパイダーマン』や『X-Men』の場合、期限切れは当面起こりそうにもありません。現在、『デアデビル』の他に『ブレイド』も期限が切れ、権利がマーベルに戻ってきています。また、続編の話を聞こえてこない『パニッシャー』も可能性があるかも(素敵なショート・フィルムはありましたがね!)。 そして2つ目の可能性は権利者の協力。映画版に関する権利を持った映画会社が映画界の『アベンジャーズ』を結成し、共同で超大予算の映画を製作...という路線は正直難しいとは思いますが、互いに利益がある形であれば、特定のキャラクターを例外的に映画に出す権利などの交渉が行われ、権利の壁を超えた夢の共演が実現する可能性は十分あると思います。 実際、『アベンジャーズ』と『アメイジング・スパイダーマン』の2つの映画シリーズに関してはそういった契約交渉がソニーとマーベル間で行われたのではないか? というがありました(参考)。この話は、あくまで噂ではありますが、今後の作品で2つの映画の世界が何らかの形で(原作同様に)、重なりあう可能性はあるはず。実現したらすごい利益が発生するでしょうからね! この2つが私の考える権利の壁を超えたマーベルキャラの映画での共演の可能性です。もちろん、そんな共演が実現するかどうかはわかりませんが、マーベル原作のアメコミ映画が今まで以上にいい作品になることを期待しておきましょう。そして、『バットマン』や『スーパーマン』などのDCコミックス系のヒーローとマーベル系のヒーローが共演するクロスオーバー映画が観られる日が来ることを願います。とにかく、アメコミ映画に栄光あれ!
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