もし、貴方が視聴者を魅了するスペース・オペラを作りたいと思っていたら、「スペース・オペラのルール」を知るべきだと思います。『スタートレック』や『バトルスターギャラクティカ』がどうして長きに渡って人々を虜にしてきました。それは、きっと人をワクワクさせる要素が沢山詰まっているからでしょう。そこで今回は、愛すべきスペース・オペラ達を参考にして、スペース・オペラ創作に必要な知識を学びたいと思います。
それでは、以下から詳細をどうぞ。
1:宇宙に巨大な物体を設置すること
目的は何でも構いません。時空を行ったり来たりしていようが、惑星を爆破しようが、悪の要塞だろうが巨大なゴミの圧縮機であろうが、何でも良いのです。ただ、とんでもなく巨大であるのが鉄則です。カメラをパンさせ、その巨大さを視聴者に見せつけるのです。形は幾つかの棘らしき物体と、最低でも1カ所は奇妙な記号や象形文字が描かれたエリアが欲しいところです。それと、兵器があると良いでしょう。爆破されたり、海賊に乗っ取られるとボーナスポイントが加算されます。
2:非常に複雑な宇宙の政治体勢の変化の中にキャラクターを追い込むことで、物語を進ませること
例えば、数百の惑星と連合から成る大規模な政治組織が、ワームホールと次元のポータルで繋がれた数千の海岸線で戦争を引き起こす古代エイリアンの遺物を発見したり、6つの部族と、エイリアンスパイの大群がギャラクティックエンペラーの椅子を巡って争ったりという具合です。
3.:反乱軍に属する少人数の人間グループは、月や小惑星に潜んでいること
反乱軍の住処はアパートではありません。彼らはいつだって地下の隠れ家や、奇怪な天気のエキゾチックな隠れ空中都市なんかに住んでいるものです。最終的に、反政府勢力はそこで対決しますることになります。しかし、その対決までの間に、隠れ家の近くで最低でも10種類の奇妙なローカル生物と遭遇させることを忘れてはいけません。
4:巨大な母船を登場させること。しかも、その母船は必ず小さい戦闘船の集団に襲撃されること。
戦闘機間で交わされる緊迫した会話も忘れてはいけません。酸素マスクを付けているような荒い呼吸音や、未来を思わせる造語の使用、ファイターがフランクにあだ名で呼び合うのもポイントです。ファイターのひとりは母船を解体したり、超低空飛行したりと無謀な作戦に従事する必要もあります。
5:宇宙船と銀河間ポートには、いつも様々な星から来たエイリアンや変な顔をしたクリーチャーを登場させること
ただし、重要な役割は与えてはいけません。視聴者は光り輝く銀色の女奴隷やニキビ面のエイリアンを見たいと思っています。しかし、それはあくまで背景として。人間がフレームインしてきたら黙ってもらわないといけません。自己顕示欲が強いキャラクターでは困ります。エイリアンは素晴らしい存在ですが、自分たちの立場をわきまえた上で地球人を助けてくれるからに他なりません。彼らは相棒やエキストラにはなりますが、主役ではありません。ただ、例外として、彫刻並に美しい姿だったり、耳が尖っている人間そっくりなエイリアンだったら重要な任務を担う脇役にしても構いません。
6:ヒーローは悲劇が起こって人々が一掃された古い戦地を再び訪れること(ただしヒーローが望んでいない場合に限る)。
ヒーローが戦いに消極的であるという設定は、モチベーションをあげられない、もしくは暗い過去を引きずっていることを簡略的に説明してくれます。例えば、「嫌だ、そこには行きたくないんだ。」とヒーローが言い、それに対して誰かが「考えてみろ。これが最後の仕事になるんだ。俺らには君が必要なんだ。あの悲劇の地を知っているのは君しか居ない。」と返します。続けてヒーローが「分かったよ。でも、俺はやりたくないんだ。」と言えば、これだけで、このヒーローには何か深い心の傷や理由があるのだということを視聴者に理解してもらえます。
7:男性の悪役を登場させるなら、薬物でハイになっているような体か素晴らしい武器を持っている設定にし、女性であればキラキラした丈の高い襟が付いた服を着ているか、タイガーマンっぽい名前の相棒を連れていること。
それ以上の説明は必要なし(キリッ
8:最低でも3種類の武器と3種類の宇宙船を登場させること。また、個々の名前は劇中で繰り返し口にされるようにすること。
「隊長!シャークに向けてパルス砲の発射準備完了です!」「ヘビータイガーのプラズマライフルをパワーアップしろ。」「士官、レーザー銃を装備してスターマッシャーに乗り込むのだ!」といった具合です。
9:キャプテンを登場させること。
もし、キャプテンが出て来ないのであれば、代役としてスペシャルエージェントを登場させます。スペシャルエージェントも出て来ないのであれば、将来性のある候補生を。それすら出て来ないのなら、暗い過去を持つ傭兵を。暗い過去を持つ傭兵も無理なら、皮肉が好きな密航者。それも出て来ないのなら、魔女。魔女が駄目なら科学者。科学者も駄目なら、素晴らしいスペース・オペラを作ろうなんて考えないで、『SW』の優秀なパロディである『スペースボール』をリメイクするのが無難でしょう。
10: 賢い誰かが何かを予測するが、誰も耳をかさない、もしくはその予測の内容を理解することが出来ないこと。
使い古された展開ですが、このパターンはスペース・オペラの王道です。
ボーナスルール!
ヒーローはセックスします。ヒロインは忠誠心を試すという名目で恋愛に発展することがあります。残念なことに、エイリアンは機械と奇妙な関係を築いたり、憧れを抱いたりします。ロボットのことは、この際無視しましょう。
[via io9]
(中川真知子)
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