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【平直行「東方武術見聞録」】その22 合気と気合。(前半)

2014/11/11 13:10 投稿

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その22 合気と気合。(前半)

古流の武術、柳生心眼流が徳川家そして江戸時代に与えた影響は“活殺”という概念。その思想は世界史上でも例を見ない270年間内戦のない豊かな国家を創り上げたという見えざる根幹でもある。


活殺と言う概念を語るには、格闘技や武道とは違い、技を仕掛ける前に行う独自の仕掛けについて知らなければただの概念で終ってしまう。そして古流独自の仕掛けを知るには“合気”と“気合”についても知る必要がある。


合気といえば現代では合気道を一番に思い浮かべることが多いだろう。気合といえば大声を思い浮かべる。実は古流の時代には合気道は存在していなかった。合気道の源流は大東流合気柔術のような気がする。柔術にはもともと合気という術が存在していたのです。


柔術の中の合気という術にこそ極意があるとして合気柔術が生まれ、そこから様々な合気道が派生した。これは妄想で暴走ではなく、史実。ただし僕の勉強不足はあるような気もしたりする。まあ当たらずとも遠からじといった感じで読んでください(笑)。


柔術の根幹はスポーツや武道ではない。殺人術である武術。柳生心眼流とは暗殺者とも闘える武術である。暗殺者とはいきなり襲ってくる。暗殺とは本来暗闇で行う。闇夜に紛れ密かに殺しに来るから“暗殺”という文字が生まれたのだ。


暗殺とは準備が整わない状態で行われる。スポーツや格闘技、武道のように試合の時間は決まっていない。場所も決まっていない。もちろんルールもない。暗殺にそんなものがあったら、そもそも可笑しい話だ。


人は咄嗟の出来事に出くわすと身体が固まって動けなくなる。そこを何とかしなければ暗殺者から身を守ることはできない。身を守れなければ殺されてしまう。本当に命を暗殺者から狙われることを現代の暮らしの中で想像するのは不可能に近い。妄想で暴走でも難しい……。


難しいけれどこれだけは分かる気がする。本気で殺されないような知恵を絞ったに違いない。想像でも妄想でも暴走でもなく、本当に真剣に命がけで絞った知恵。その発想は現代の武道や格闘技と全く違っていても何ら不思議ではない。その発想こそが武術と武道の違いでもあるのだ。


人は咄嗟の出来事や予期せぬ出来事に出くわすと思わず身体が固まり、思考も停止したりする。パソコンがフリーズするように、情報を処理できなくなってしまう。その際は時間をかければ元の状態に戻る。パソコンの電源を切り、また電源を入れるとなぜか元に戻るように……。


ところが、目の前には暗殺者がいるのだ。しかも刀とか普通に持ってたりするのだ。一瞬の隙が命取りになってしまうのに、完全に思考も動きも停止した状態。そこから身体をリラックスするのでは間に合うはずがない。スポーツをする前の準備体操みたいなことをやってる暇なんぞないのだ。


 

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