第24回 あなたは無作法でお下劣な変態と対峙すべきなのか?
その日、人生のあらゆる局面において運のない私はまたも電車で座席を確保出来なかった。
吊革にぶら下がり満員電車に揺られる。すると右隣で同様にゆらゆらしている若い女性の顔がひきつっていることに気づいた。私と女性の前、ちょうど見下ろすような位置に会社員風の男が座っていた。年齢は50才くらいか。その男は夕刊紙を両手で広げて読んでいた。よくある光景だ。問題は夕刊紙特有の風俗店情報を私や女性の方にこれでもか!というふうに向けていたことだった。
「無作法な!」義憤にかられた私は満員電車のなかで上体を左に曲げ、男の視界に怒りに満ちた表情を入れ、見せた。男の顔が見えた。満面の笑みを浮かべてお下劣な紙面を女性に向けていた。「君!やめたまえ!」と注意するだけだ。
だが、そこで私は躊躇してしまった。臆したわけではない。決して。救おうとした女性が平均的な外
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