オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第95回 接点がないのに気になる人たちのウラガワ(2)
◆もくじ◆
・接点がないのに気になる人たちのウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
女子SPA!にインタビュー記事掲載
「韓流アフタヌーン~岩井志麻子のイイオトコ図鑑」次回は4/15(金)
「ひかりTV」4Kホラードラマ「伝染る物語 ~KADOKAWA 怪談実話~」に原作提供
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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直接の接点がないのに、なんだか気になってしまう人たちが居る岩井さん。
そんな人たちへの思いを今月は綴っていきます。
あるイベントで男性が打ち明けてきた、マンションの向かいの部屋に住む、中国人夫婦についてのエピソード。
中華料理店を営んでいるという夫婦だったが、店に行こうとすると予想外の反応で……。
そして怖ろしい事件が! (今号、ぞっとします)
バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga
2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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年が改まってもきれいさっぱり切ったり発展させたりもできず、ずっとそのまま引きずっているものがたくさんある。それに関わる人達も、少なからずいる。
直接的な面識がなかったり、もう会うこともなかったりする人達。つまり、切ろうとすれば切れるというより、最初からさほどつながってはいなかった人達。なのに来年も再来年も、ずっと私の心に引っかかり続ける人達。
前月はそれでも、彼らの方は私を知っているとか、共通の知人がいるとか、本人には会えなくても遺族などには会えるかもしれない、といった人達を取り上げた。
今月はもっと遠い関係性で、本人や身内どころか知り合いに会うことすら困難な人達だ。
存在していることはしているのだろうが、私にとってはほとんど架空の人物みたいな人達。それでもこんなに気にして変な物語にまで仕上げてしまうあたり、何かのつながりはあるのだ。決して、あちら側はそんなことを望みはしないとしても。
……仲良しのある文化人女性に頼まれて、彼女の主催するイベントに出た。そこでちょっとした余興として、私が人生相談を受けることになった。
部屋の片隅に設えたコーナーで相談者と向かい合って座り、なんでも話を聞いてそれなりのアドバイスをする。一応、五分くらいを目安にする。相談料は私にではなく、被災地への寄付金として出していただく。そんな感じだった。
すでにけっこう酒も入っていたし、会場でもいろんな人としゃべっていたので、その相談コーナーでのことは鮮明に思い出せない。
若いOLの恋愛話に耳を傾けたり、中年看護師の職場での悩みにひたすらうなずいたり、やや不安定な雰囲気の会社員男性から同僚の悪口を垂れ流されたり、けっこうな有名人から秘密の恋の話を打ち明けられたり……
いや、それらは私への相談ではなく、普通に会場で出会った人達と乾杯しながらかわした雑談だったかもしれない。
イベント会場には、主催者の顔の広さを証明する人達がいた。誰もが知る芸能人もいれば、今は表舞台に出てこないけれど伝説と称される文化人もいたし、一般企業の社員もいれば専業主婦もいた。
その彼は、もう顔かたちも背格好も年齢も何もかも覚えていない。少年ではなく老人でもなかったから、たぶん三十代から五十代、容姿にも大きな特徴はなかった。職業も身分も聞いたはずだが、これも特に強い印象に残るものはなかった。
なのに私は、彼を一番覚えている。いや、正確には彼の話に出てきた女をだ。そう、彼自身はまったくといっていいほどに覚えていないのだった。
私は霊感もないし彼も亡くなってはいないだろうが、彼をここに呼び寄せるため、彼になりきって彼の話を再現してみる。
「怖いというより不思議、不思議というより腑に落ちない記憶があるんですよ。
学生時代のぼくは、都内だけれど静かな住宅地にあるマンションで一人暮らしをしたんです。近所付き合いは、ほぼゼロでした。
ぼくは角部屋で、隣は空き部屋だった。向かいの部屋には、中国人の旦那さんと日本人の奥さんが住んでて、ちょっと離れた下町で中華料理店をやっていました。
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