オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第291回 ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ(3)
◆もくじ◆
・ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
8/2(月)配信トークイベント「それぞれの”ヤバい”歌舞伎町百景」出演
【配信版】月刊オメ★コボシ 7月号 アーカイブ配信中
【配信版】月刊オメ★コボシ 8月号 8/13(金)開催
徳光正行さんとの共著『凶鳴怪談 呪憶』発売中
『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中
万年アクリルカレンダー再販中
2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録。重版!
映画『遊星王子2021』に出演 8/27公開!
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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大人になって夏休みがなくなっても、夏が来たと気持ちが盛り上がる7月。
先月出た新刊『でえれえ、やっちもねえ』でぜひ涼んでください!
そして、こちらでは実話の怪談エピソードをお届け。
同世代の主婦・花代に聞いた話。高校時代の仲良しグループは卒業後もたびたび会っている。集まると必ず出てくる話が、二十歳過ぎのときに、なつかしの高校に夜忍び込んだときに皆で見た「あるもの」の話で……。
歌舞伎町で働いていた良平から聞いた話。「兄貴」と呼ぶ人からある日頼まれたのは、死体のふりをしてほしいという変な依頼で……。
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2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ」
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ」
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ」
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ」
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ」
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ」
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ」
5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ」
6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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もう私には夏休みなんてないのに、七月になると夏が来た!とわくわくする。
年がら年中、怖い話を書くのが仕事になってしまった私だけれど。先月も角川ホラー文庫から『でえれえ、やっちもねえ』を出してもらった。これは、創作の怪談。
多少嘘っぽくても、いろんな語り手の「これは本当にあった怖い話」もたまらない。というわけで、今月は現実の怖い話を書いてきた。
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怪奇現象、心霊体験ではないのかもしれない、単なる勘違いや思い違いかもしれないが、何か妙だなという話もいろいろある。たとえば同世代の主婦、花代に聞いた話だ。
花代はごく普通の会社員の夫がいて、子どもも孫もいる。たまに編集やライター仕事もしていた。そんな花代は、高校時代からの仲良しグループが今も続いている。住む場所もみんな離れてしまったが、年に一度は集まっている。
美鳥は会社社長と結婚して子どもは産まず、自分も経営する会社が生き甲斐だという。
風子は独身で親と同居したまま元の会社に勤め続け、淡々と平穏に暮らしている。
親から受け継いだ不動産などがあって働いてない月美は結婚離婚を繰り返し、すべて父親違いの子どもが四人いる。
性格も生き方も境遇も違うが、だからこそ続けられているのかもしれないと花代はいう。そんなグループが集まると、今も必ず出てくる話があった。
二十歳を過ぎた頃、地元の繁華街へ酒を飲みに出かけた。それなりにみんな酔っていたので、なつかしの高校まで行ってみよう、となった。当時はまだいろいろゆるく、校庭にも簡単に入り込めたのだ。
「田舎町だし、外灯も少なくて、でも真っ暗ってこともなく、いろいろぼんやり校舎も周りの景色も、みんなの顔も見えてたのね。
飲み会の続きで、他愛ない思い出話や、知り合いの噂みたいな話をしてたと思うんだけど。突然どこからか、犬と子どもが現れたんだわ。
犬と子どもが追っかけっこしたり、たわむれたり。どこから来たか、いつの間に入ってきたか、まったくわからなかままに、気がつけば近くにいたの。
でも、犬と子どもだけ、なぜか真っ黒。輪郭、シルエットしかわからない。犬種もわからないし、子どもが男の子か女の子かもわからない」
しばし、グループに沈黙が訪れた。みんな何かしら、異様なものを感じ取っていたのだ。怖いとか、何あれ、とか口にしら、もっと怖いことが起きそうな予感に支配された。
どれくらい、沈黙していたか。最も近所に住んでいた花代が、うちで飲み直そう、と叫ぶようにいって、みんなワーッと校門まで走った。自宅まで無言で、花代の部屋に入ってから、誰かがやっと口にした。校庭に何かいたよね、と。
「ところが、みんなちょっとずつ違ってるの。ううん、大きく違ってるのかな」
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