オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第283回 子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ(1)

◆もくじ◆

・子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ(1)

・最近の志麻子さん 
 『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より6月発売予定
 万年アクリルカレンダー再販中
 【配信版】月刊オメ★コボシ 5月号  5/18(火)開催
 2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録
 映画『遊星王子2021』に出演
 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

 「岩井志麻子のおんな欲」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

===

5月といえば子どもの日。
いくつになったら子どもではなくなるのか。周りを見回せば、四十路、五十路を過ぎても子どもみたいな人も。
今月は、子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のエピソードをお届け。

現在進行形の話なのだが、三年ほどプロの漫画家をしていたことがある眞子(仮名)がある日、憧れの漫画家と知り合いになることが出来た。
出会って一か月ほどしたとき、その憧れの相手から驚きの連絡が来たのだが……。



バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
3月「どこか心残りの別れのウラガワ
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ


※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

===

 五月といえば、アイコンは鯉のぼり。真っ先に思いつく祝日は、子どもの日。しかし子どもとは、いったいいくつまでなのか。

 確か児童というのは、小学校までだ。でも人口統計学では、十五歳未満が子どもらしい。アダルトなものは勤めるのも利用するのも十八歳以上、という規制がある。未成年は十九歳まで。しかし何歳になろうが、親にとって子どもは子ども。 

 周りを見回せば、中学生くらいで心身ともに大人になっている子もいたし、四十路、五十路を過ぎても子どもっぽい、子どもみたいといわれる人もいる。 

 というわけで今月は、子どもっぽい大人、大人になっても子ども、という人々をテーマにしてみる。例によって、全編に渡って登場人物はすべて仮名。職業だの容姿だの、本人を特定できるものには脚色を加え、ときには家族構成や住所、年齢なども変更してある。

                    ※

 この話は現在進行形なので、まだ決着が見えてこないし、来月も続き、もしくは想定外の怒涛の展開を書いている可能性もある。

 岡谷眞子は、三年ほどプロの漫画家だった。家出同然に上京し、いろんなバイトをしながら苦労し、メジャーな少女漫画誌で描けるようにもなり、コミックスもさほど売れなかったが何冊か出た。子どもの頃からの夢がかなったと、三年間は幸せだった。

 しかし、行き詰まりも早くに感じていた。水商売のバイト先で出会った人との結婚を機に、自然と引退状態になった。それを、大人になったから、と表現していた。
 とはいえ夫は有名企業の管理職となり、四十を過ぎた今は実に優雅な有閑マダムだ。子どもはいないが夫との仲もよく、漫画にも未練はなかった。 

 そんな眞子が先日ある都内のレストランで新州しな乃に会い、かなり舞い上がった。今は六十も半ばを過ぎ、こちらも半ば引退状態だが、伝説の漫画家といった位置づけだ。
 眞子が漫画家になった頃は、しな乃はすでに大御所だった。眞子もしな乃の漫画に夢中になり、目標とする漫画家の一人にしていた。

 ほっそり小柄で若く見えるしな乃は夫との間に息子が三人いて、今は都内近郊の街で夫と末息子との三人暮らしだという。憧れの漫画家と会えた眞子は、自分も漫画を描いていたことや、今は主婦だという話などもした。

 しな乃はにこやかに聞いてくれ、自分の話もいろいろしてくれ、意気投合した、と少なくとも眞子は思った。問われるままに、自慢話ではないが夫の社会的地位なども話した。

 いろいろ話すうちに、自分はまだ漫画への未練、というよりやり残した後悔みたいなものがあるのかな、とも感じた。しな乃に、そんな話も聞いてほしかった。

 そんなしな乃の方から連絡先を交換しましょうといわれ、さらに舞い上がった。しかしラインでつながったものの、一か月ほどはほとんど、しな乃からラインは来なかった。

 眞子からのラインも既読にもならないので、お忙しいのか、あるいはさほどラインはお好きじゃないのかとも思い、あまり連続して一方的に送るのもどうかと遠慮していた。

 それが出会ってから一か月ほどして、いきなり息もつかせぬ、口も挟ませぬ、といった怒涛の勢いのラインと電話が入った。

「はい。私は今、本当に困っているの。生きていればいいことあると信じて、頑張りぬいてきましたが、この年になってここまでピンチになるとは思いませんでした。すべてコロナのせいです。