岩井志麻子「オンナのウラガワ ~名器大作戦~」

第271回 ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ(1)

2021/01/05 11:00 投稿

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オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第271回 ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ(1)

◆もくじ◆

・ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ(1)

・最近の志麻子さん 
 万年アクリルカレンダー発売中
 「岩井志麻子の大人の福袋」抽選受付中
 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

 「岩井志麻子のおんな欲」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

===

あけましておめでとうございます。
去年はまったくもって、こんな年は初めてだということばかりの一年でした。
感染症も、完全な撲滅は今すぐには無理と分かってしまったので、しばらくは状況を受け入れてゆるく戦っていくしかないのかも……?
そういった状況は、個人の人生全般にも言えること。そんなエピソードを今月はお届け。

とある週刊誌の取材でお話を聞いた、レディースコミックの大御所先生が語った半生は……。

 

バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
3月「どこか心残りの別れのウラガワ
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ


※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 何はともあれ、新年あけましておめでとうございます。去年はまったくもって、こんな年は初めてだ、ということばかりの一年だった。半世紀以上も生きてきて、こんなに行動を制限され、マスクを手放せず、常に感染の恐れを意識し、なんて初めてだった。

 それは年が明けた今も、続いている。みんながんばっているが、新型肺炎は今もって完全終息は見えてこない状態にある。でも、なんとか今年は「やっと落ち着いた」くらいに持っていける……夢は持ちたい。

 しかし、完全な撲滅は今すぐには無理とわかってしまったので、この状況を受け入れてゆるく戦っていく、必要以上に怖がらず受け入れて対処する、というふうになっている。

 これは新型肺炎に限らず、個人の人生全般にもいえることだ。というようなことを、今月のテーマにしてみる。例によって登場人物はすべて仮名、設定にも多少の変更有りだ。

                    ※

 ある週刊誌の取材で、レディースコミックの大御所先生のお宅にインタビューにうかがった。略してレディコミは、バブル期に大人気となって今はブームは去ったものの、根強い読者は存在している。

 よく知らないという人にも、成人女性のための漫画といえば、なんとなくわかってもらえるか。コンビニの雑誌売り場には、必ず置いてある。不倫、ご近所トラブル、嫁姑問題、といったものが主要なテーマだ。そこにたいてい、けっこう激しい性描写がある。
 買って読んだらほとんどは捨てられ、本棚に飾られることはあまりない。ブームの頃はメジャーな少女漫画雑誌でも人気の漫画家が描き、ヒット作はドラマ化されたりもした。
 ブームが去ると、レディコミ専門の漫画家だけが描き、ほぼガラパゴス化している。レディコミ界は特定の漫画家のファンではない、レディコミ全般が好きだという人達に支えられているのだ。

 読者も漫画家も持ち上がりというのか、ずっと同じ人が描き、同じ人達が読んでいる。
 二十代でレディコミにハマった人が、四十代になっても変わらず買っている。そして専門の漫画家も、メジャーな漫画雑誌には描けなくても、漫画家を続けていけるのだ。

 正直、稚拙な絵柄やストーリーも多い。そこもまた魅力の一つで、その中から掘り出し物や、自分だけの名作を探し当てられるのだ。
 レディコミ界の中で独自の進化も起き、ホラーだの歴史ものだの実話系だの、特定ジャンルも確立されていった。世界に類を見ない、日本独特のカルチャーらしい。

 仮に伊達先生としておくが、とうに還暦を過ぎてもレディコミ界の女王であり続ける彼女は、元はメジャーな少女漫画でも活躍していた。

 伊達先生はストーリーも絵柄も華麗で、女のドロドロした情念や男女の濃い性愛を描き続けている。ご本人は実に気さくで陽気な人柄で、
「少女漫画からレディコミにいったのは、ずばりお金のためよ」
 と、明るくいい切る。しかしその半生を聞けば、ご本人がレディコミそのものなのだった。面食いの伊達先生は一目惚れした男性と結婚まで突っ走り、

 

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