オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第194回 しみじみしんみりな出来事のウラガワ(2)
◆もくじ◆
・しみじみしんみりな出来事のウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
河崎実監督映画「シャノワールの復讐」DVD発売
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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感傷的な季節に思い出す、岩井さんをしんみりとさせたあの人。
岩井さんがまだホリプロに入っていなかった時代、イベントをやりたいと声をかけてきた青年がいた。
彼の企画でトークライブをやったことなどすっかり忘れていたのだが、思いがけず思い出すことになったのは、ある歌手とグラビアアイドルの女の子たちと話したことがきっかけだった……。
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2014年11月~16年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ」
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ」
4月「木の芽時な人達のウラガワ」
5月「五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ」
6月「面識なしでも喜怒哀楽を喚起する人々のウラガワ」
7月「ほんのり怖い人達のウラガワ」
8月「真夏なのに秋の予感な有名人たちのウラガワ」
9月「私が見たテレビの中の人のウラガワ」
10月「大人だけど枯れるには早い人たちのウラガワ」
11月「年下韓国人夫とのアジア旅のウラガワ」
12月「捨ててもいいじゃないかのウラガワ」
2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ」
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ」
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ」
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ」
5月「良い季節でも人は病むウラガワ」
6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ」
7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ」
8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ」
9月「大人になりきれない人達のウラガワ」
10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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感傷的な季節といえば、我が国ではたいてい秋だ。そして私個人の場合、十一月だ。九月はまだ夏の名残があるし、十月は運動会やら遠足やらで、なんだか健全な明るい雰囲気に満ちている。そして冬の十二月となれば、いろんな行事が目白押しで忙しない。
ということで今月は、私を柄にもなくしみじみ、しんみりさせた人や物事を書かせてもらう。例によって、話の大筋を損ねないくらいの設定変更や背景の脚色をしておく。
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今から十年ちょっと昔。私がまだホリプロに入っておらず、一部ではいまだに語り草となっている虚言症の押しかけマネージャーL美も現れておらず、ただもう来る仕事をそんな深く考えもせず選びもせず、引き受けていた頃。
尾張くんというちょっと年下の男性が、あなたのイベントをやりたいといってきた。全体的にもっさりして毛深く、熊を思わせた。ややコワモテに見えたが、話してみればおもしろい気さくで陽気なおにいちゃんだった。
彼は関西の出身で、普段は大阪を拠点に活動しているといった。音楽に演劇に講演会、とにかくイベントをプロデュースし、ときおり自分も舞台に立つともいった。
パソコンが一部のマニアのものから一般的になりつつあった時代で、まだブログやツイッター、インスタグラムといったものは存在しなかった。スマホもないし、携帯電話は通話とショートメールだけだった。
だから、尾張くんの活動歴や経歴などをほぼ知らないまま、彼が自分でいう経歴やその他いろいろを、すべて信じて引き受けた。
私の人生には確かに、ビフォーL美、アフターL美という区切りがある。L美に会うまでは、あからさまに怪しい奴でなければだいたい本人がいうことを疑いもしなかった。
人を疑うことを知らないといえば、ずいぶん私が純粋な人みたいだが。ただぼーっとした田舎者だった、というだけだ。
L美に出会ってからは、なんだか大きなことをいう人や華麗すぎる経歴を並べ立てる人は、後でこっそり第三者から裏を取るようになった。都会で汚れてしまった私、ではなく、普通に生きて行くために常識を身に付けた私、だ。
ともあれ、尾張くんはビフォーL美。彼の語る話を、すべて事実として信じた。
「国立大学を出て一流企業に勤めたんですが、とにかくつまんなくて。何かもっと大きな夢に向かって生きたいな、と。そしたらあの有名音楽プロデューサーや、世界的デザイナーと知りあえて可愛がってもらえて。
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