オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第119回 取り返せない夏の思い出のウラガワ(2)


◆もくじ◆

・取り返せない夏の思い出のウラガワ(2)

・最近の志麻子さん
 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中 
 10/23(日)「オメ★コボシ36 ~台湾珍道中SP~」開催
 10/28(金)「岩井志麻子のもんげ~恐いHALLOWEEN NIGHT!!」開催
 10/29(土)NHK文化センター(梅田)講座「志麻子流 これがオンナの生きる道」開催
 「岩井志麻子の千夜玩具物語」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

===

夏に特別な思いのある岩井さん。
韓国人の夫と、ベトナム人の愛人と。彼らにまつわる思い出はやはり「夏」なのだ。
数年前、十八歳年下の夫との、二度目の離婚問題の真っただ中にあった岩井さんは、ベトナム近隣の南国に行くことに。現地で親しくなった日本人社長と奥様から、ある女性の話を聞いて……。

バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ​
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ

6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ
7月「異国の夏休みのウラガワ
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ

※上記以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

====

 私は冬の生まれで、ずっと四季ある国で生きてきたのに。なぜか夏に特別な思いを抱いている。暑いのはかなりがまんできるが、寒いのは耐えられない。

 初めてベトナムに行ったとき日本は二月で、なのにホーチミンは真夏の中にあり、私は楽園を見つけたと陶酔した。そこから南国に恋する日々か始まり、ベトナム以外にもタイやシンガポールなどに何度も渡った。

 常夏の国にも雨季と乾季という季節の変化はあるが、いずれにしても暑い。永遠の夏休みの国ベトナムには、愛人まで作ってしまった。

 だからか、秋になるといつも夏を恋しがる。冬よりも、秋にその気持ちは強くなる。それもつい何か月か前の夏ではなく、はるか遠い昔の夏だ。常夏の国での出来事だと、そのとき日本ではどんな季節であっても「夏の思い出」になってしまう。

                    ※

 今現在は、何事もなかったかのように落ち着いてしまっているが。四、五年ほど前の今頃は、二度目の離婚問題の真っただ中にあった。 

 十八歳も若い韓国の夫は、ソウルに女ができていた。夫も、その頃はもちろん彼女にも傾いていたが、私と正式に別れるのも嫌で逃げ回っていた。

 親しい女性弁護士に相談したところ、彼女は弁護士としても友人としても別れることを勧めてくれた。弁護士のいうことも友達のいうことも聞いた方がいいのはわかっていたが、私もまた夫と別れがたくて逃げ回っていたのだ。 

 そうして日本ではそろそろ冬の気配も感じる頃、ソウル経由で某南国に行くのを決めた。私にもベトナムに長年の愛人がいたのだが、そのときは別の近隣の南国に飛んだ。

 確かその頃は、その南国の小説を書いていたのだ。仕事で行くというのは、まったくの嘘ではなかったが。とにかく南国に行く、確かな口実が欲しかった。

 さらに、前後の飛行機を韓国の仁川空港にするのが重要だった。私はどこよりも、ソウルに行きたかったのだ。ただ、あまりにも行くと夫にうるさいと思われるのではないかと、南国に行くのを言い訳にした。そのときのソウルはもう、冬のようだった。

 ベトナムではない南国の空港には、現地で親しくなった日本人社長と、その奥様が迎えに来てくれていた。現地の人である奥様とは、親子ほど年が離れている。ここも我が家ほどに、いろいろな事情のある夫婦だった。