オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第118回 取り返せない夏の思い出のウラガワ(1)
◆もくじ◆
・取り返せない夏の思い出のウラガワ(1)
・最近の志麻子さん
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
10/7(金)「韓流アフタヌーン ~岩井志麻子のイイオトコ図鑑~」開催
10/23(日)「オメ★コボシ36 ~台湾珍道中SP~」開催
10/28(金)「岩井志麻子のもんげ~恐いHALLOWEEN NIGHT!!」開催
10/29(土)NHK文化センター(梅田)講座「志麻子流 これがオンナの生きる道」開催
「岩井志麻子の千夜玩具物語」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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秋の真っただ中の十月だけど、夏への未練は尽きぬもの。
しかもその夏は、数か月前のあれこれではなく、昔のことだったりする。
取り返せない夏の思い出をつづる今月。
親しい編集者に、「志麻子さんに会いたがっている社長がいる」と言われて行ったファミレス。
その初老の社長は、ある高名な政治家の側近だったというが、
とんでもない提案をしてきて……。
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2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ」
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ」
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ」
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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十月といえば、秋の真っただ中だ。行楽、運動、読書、食欲と秋を満喫すればいいのだが、なぜかしらこの季節になると、何かを夏に忘れてきた、何かまだ夏にやり残したことがあると、夏への未練で一杯になってしまう。
しかもその夏というのが、ついこの前のこと、数か月前のあれこれではなく、十年くらい昔だったり、子どもの頃のそれだったりする。
そうだ、意外にといってはなんだが、二、三か月前の夏の出来事はあっさり忘れ去っている。私が今さらどうしようもない後悔をしたり、別に今は問題やトラブルにはなってないのにしつこく蒸し返してしまうのは、昔の夏のことばかりだ。
今月はそんな、なぜそれが今頃になって気になるのかわからない、取り返せない夏の思い出を書いてみる。秋には秋を想いたいと、ため息をつきながら。
※
もう、五年くらい昔のことになるか。親しい編集者に、「志麻子さんに会いたがっている社長がいるので来てほしい」と、近所のファミレスに呼び出された。
実は編集者も、その社長と親しいわけではなかった。編集者もまた知り合いに、
「あなた岩井志麻子と仲良しなんだよね。ある人をつないでやっててくれないかな」
というふうに頼まれたという。私としては、その編集者の紹介なら断れなかった。
私達が先に着いて、二人で社長を待った。そこはファミレスの中では値段が高く、デートや商談に使われる方が多い。夏休みに入っているのに、子ども連れは少なかった。
編集者によると、その初老の社長はある高名な政治家の側近だったのは間違いなく、しかし私に会いたい理由は、かつて側近を務めた政治家とは何の関係ないそうだ。
編集者も、彼が何の理由で岩井志麻子に会わせろといっているか、詳しくは知らないといった。ただ、ファンだから会いたいというそうだ。
私としては何かおもしろい話が聞けて、ネタにできればいいなと思ったが。正直、社長から何か仕事をもらえたらうれしいなと、私としてはそれを一番の会う理由にした。
そして「業界の大物」といわれつつ、一人でやってきた社長。ここでは仮に、夏川さんとしておく。夏川さんは一見すると上品な大人しい雰囲気で、物腰も柔らかい。アクの強いギラギラ感はない。
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